金谷、中島、蝉川。3人の共通点は日本ツアーでの"安定ぶり"だ
全英オープンが開幕しました。会場はローリー・マキロイが優勝した14年以来、9年ぶりのロイヤルリバプールで、ボクはゴルフネットワークのラウンドレポーターの仕事で、少し興奮気味に渡英しています。
さて、151回目となる今大会には松山英樹、蟬川泰果、比嘉一貴、星野陸也、平田憲聖、中島啓太、金谷拓実、安森一貴、岩田寛の9人が出場。そのなかから今回は、かつて世界アマチュアランク1位に輝いた実績のある蟬川、中島、金谷の3人についてお話ししたいと思います。
もう一つの3人の共通点は、現在の日本ツアーでの安定ぶりです。金谷、中島が1、蟬川はゼロ。実はこれプロデビュー以降の日本ツアーでの予選落ちの回数で、さらに言えばほかの選手に比べ、トップ10の率も群を抜いています。3人のなかで年長の金谷くん。何よりその魅力は勝負強さです。
21年、最終戦のJT日本シリーズで、バーディフィニッシュならマスターズ……という場面でしっかりと決めた精神力。また今年のツアー選手権も接戦でしたが、他を圧倒する勝ち方でした。(片山)晋呉が「今の若い選手は金谷くんのゴルフを勉強したらいい」とツイート。永久シードの名選手をうならせるほどです。
昨年まで海外で跳ね返されていた感もありましたが、それを打ち破っていくのも金谷くん。2月のオマーンでアジアンツアー初優勝。試合後のインタビューでの冷静な感じも魅力かもしれませんね。現在の調子をもって全英に挑むでしょうから楽しみです。
勝負どころでスイッチの入る金谷くんに対し、マラソンにたとえるなら「ロングスパート」、長距離をコンスタントにハイペースで走れるのが中島くんでしょう。途中ダメかなと思っても、バック9でジワジワと追いかけてくる粘り強さもあります。4月のミズノオープンから6月のJAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIPbyサトウ食品まで、実に5試合連続で最終日最終組。
実はこの時期、久しぶりにボクもスポーツ紙の取材を受けました。何でもジャンボさんが最多6試合連続、晋呉とボクが4試合連続だったそうです。その記録も、中島くんにいとも簡単に破られましたが、あのショット力をもってすれば当然です。まだ優勝は1回ですが、何連勝もする可能性を秘めた選手であることは間違いありません。JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIPでは人生初のホールインワンを達成。喜び方も若者らしく可愛いし、またラウンド後に放送席で気の利いた面白いコメントもしてくれます。その辺も人気の理由なのでしょう。
プロは見せる、魅せるのが仕事! と、強いプロ意識を持っているのが中島くんと同級生の蟬川くんです。普段のインタビューなどで常に「お客さんが喜ぶようなプレーを」「お客さんがすごいと言ってくれるようなプレーをしたい」など、常にギャラリーを意識したコメントが素晴らしい。何より「自分が一番になりたい」という思いは、一番の"プロ根性"。
全英での3人の活躍が楽しみですね。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月1日号「うの目 たかの目 さとうの目」より