20代の若手がレギュラーでシードを取れているのはABEMAのおかげ
時松 去年はABEMAツアーで2勝して賞金王になられましたが、ABEMAツアーは初めての参戦ですか。
大堀 いや。プロ入り2年目の年に1年間、当時のチャレンジツアーに出て、それですぐ裏シードが取れてその次の年にレギュラーでもシードが取れたんだよね。その後19年に左足をケガしてレギュラーのシード落ち。だからABEMAツアーになってからは初めてだけど、下部ツアーとしては昨年が2度目かな。
時松 ABEMAツアーになって変わりましたか?
大堀 前と比べてすごく”試合感”が出たよね。
時松 試合感ですか?
大堀 うん。前は2日間競技だったのが3日間競技になったし、Abema TVさんがサポートしてくれるから毎試合テレビが入っていて、優勝争いなんかもすごくよい緊張感のなかでやれたなと感じた。以前は2日間だったから”運のゲーム”みたいな感じで、優勝賞金も180万円だったしホンマに下部ツアーというイメージだったけど、今は3日間競技になって”試合”という感じが出てきてる。
だから本当、ABEMAツアーはレベルが上がってるよ。今、20代の若手がどんどんレギュラーに入ってきてシードを取れているのはABEMAのおかげだと思う。
時松 昨年は結婚もされたんですよね。
大堀 シーズン前に籍を入れて、ホンマに頑張りたいなと思っていたときに結果を出せてレギュラーツアーに復帰もできて、よい波に乗れた感じです。
時松 奥さんとは昔からの知り合いですか。
大堀 2年前に足を手術してリハビリして、ゴルフができないし、やることがないし、というときに知り合ったんだけどね。
時松 ゴルフされてる方ですか。
大堀 いや。だから初めて会ったとき、彼女はほぼゴルフを知らないのでプロゴルファーといっても普通に教えるプロなのかと思っていたらしい。ずっと家におるし、「何してんのやろ、この人」みたいに思っていたというから(笑)、底辺の印象からスタートした感じだと思う。
時松 あとは印象が上がるだけですから、それはよかったかもしれません。今はゴルフのことわかってこられたようですか。
大堀 いや、全然わかってない(笑)。テレビでスコアを見て、さっきまで上位にいたのに30分後に見たら何でいきなり下にいるのかなんて聞いてきて。「それはダボとかトリを打ったら一気に下がるんだよ」なんて教えてる、まだそんなレベル。
「PGAのトップ選手がガンガントレーニングやってる。僕らもしないと」(大堀)
時松 籍を入れて何か変わりましたか。
大堀 変わったことは特にないけど、ゴルフ以外の部分ですごくサポートをしてくれるので、そこはありがたい。食事も栄養面など考えてくれてるし。トレーニング以外の体のケアに関してピラティスも紹介してくれて。今年のオフは週に3~4回ウェイトトレーニングをやって、その間にピラティスを取り入れてという感じでやったんだけどね。
時松 ピラティスってどんなことやるんですか。
大堀 基本的には体の可動域を広げたりバランスを整えることをやる。イチロー選手がやっている初動負荷のマシンみたいなものを使って可動域を広げたり。トレーニングを週に3回もやると体が硬くなるので、それをほぐす意味でも取り入れたけど、結果的にはよかったと思う。
時松 そういえば、体が大きくなられましたよね。
大堀 うん。プロに入った直後に比べて10キロ以上増えたね。
時松 幸せ太りってやつですか(笑)。奥さんはスポーツをされるのですか。
大堀 まったく。
時松 じゃあ大堀さんのために調べてくれたんだ。
大堀 もともと、起業して仕事をめっちゃ頑張ってる人で。
時松 え、社長さんってことですか。
大堀 はい。だからそもそも尊敬するところばかりで。
時松 年上ですか。
大堀 そう。源ちゃんも絶対、年上がいいよ。
時松 よくそう言われますが自分じゃ分からないんですよね。
大堀 大事な人は年上やろ。
時松 ですかね。
大堀 体が大きくなったのは、2020年にアメリカに行ったときに、ゴルフ場で僕らがトレーニングをしていたら、PGA選手のティレル・ハットンとかアン・ビョンフンとかが来て。今週試合ないのかなと思っていたら、試合出て5アンダーとか出してて。その日にこんなにガンガントレーニングしてるんだというのを目の当たりにして、PGAのトップ選手がこれだけやってるんやったら、僕らもしないとダメだなって。
時松 では最後に、ツアーはもう後半戦になりますが、目標を教えてください。
大堀 やっぱり優勝したいね。
時松 ありがとうございます!
TEXT/Masaaki Furuya
※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月1日号「時松プロ ご指名プロと技トーク わかったなんて言えません」より