
6月某日「横浜スポーツコンプレックス」にて試打を敢行。30名のゴルファーのジャッジは?
圧倒的な弾きのよさで“カーボンウッド”としての地位を盤石なものとしたテーラーメイドのステルスシリーズだが、その中でも「つかまりがよく、やさしく飛ばせる」とされるモデルが2つある。『ステルス2 HD』と『ステルス グローレ』だ。この2つ、具体的にどのような違いがあるのか、また実際アマチュアにはよりどちらが合って飛ばせるのか。両モデルを練習場に持ち込み、調査した。
クラブデータ的にはともに
“適度に”つかまるモデルだった
やさしく飛ばせる“カーボンウッド”の『ステルス2 HD』と『ステルス グローレ』。練習場に持ち込むその前に、まずはクラブデータ的にどのような差があるのか、クラブデザイナーの松尾好員氏に分析してもらった。
「まずステルス2 HDですが、ステルス2(スタンダード)よりもアップライトでややフックフェース。よって球を左に打ち出し、つかまったイメージが出やすいのは確かです。しかし、ヘッドの重心がヒール寄りではないこと、またヘッドの返りやすさを表すネック軸回りMOIが非常に大きい(小さいほど返りやすい)こともあり、大きくつかまるクラブではありません」
HDと謳いつつも、つかまり“すぎる”クラブではないようだ。

ステルス2シリーズのなかでは最もつかまり性能の高い『ステルス2 HD』。HDは“ハイドロー”を意味する
「一方の『ステルス グローレ』は、ステルス2 HDよりもフェースがかぶっておらず、データ上はオープンフェース。ただライ角がよりアップライトで、かつクラウンのトウ側が高いので、つかまるイメージが強いです。またリアルロフトが大きいので、アドレスでフェース面がよく見えてやさしく上げられる印象があります。ステルス2 HD同様、ヘッドの返りはゆっくりですので、こちらもつかまり方はゆるやかです」

『ステルス グローレ』にも“カーボンフェース”を搭載し、軽量で楽に振り切れるカーボンウッドとして人気
もうひとつ、ステルス グローレには弾道調整機能の付いた『ステルス グローレ プラス』があるが、こちらはどうか。
「ライ角がステルス グローレよりもフラット、かつ少しフックフェースなので、構えた印象は結構違います。またステルス グローレよりもヘッドの操作性が高いので、自分でつかまえにいける感じがあります」

ヘッド形状は同じだが、弾道調整機能がプラスされた『ステルス グローレ プラス』
『ステルス2 HD』はフックフェースで、『ステルス グローレ』はアップライトなライ角で、そして『ステルス グローレ プラス』はヘッドの返りやすさで球を“つかまえる”。三者三様の特性だが、いずれも過度につかまることはなく、極めてストレートに近い球が打ちやすいというのが、松尾氏の見立てだ(以下、計測データは松尾氏主宰のジャイロスポーツによるもの。※クラブ重さはメーカー公表値)

松尾好員氏による『ステルス2 HD』の計測データ。非常に重心が深く、ミスへの寛容性が高い設計だ

『ステルス グローレ』の計測データ。クラブ、ヘッドともに軽量で楽に振り抜ける仕上がり

弾道調整機能付きの『ステルス グローレ プラス』の計測データ。3モデルのなかでは最もフェースターンしやすい値を示している
『ステルス2 HD』は
意外にもシニア層に人気があった!
では、『ステルス2 HD』『ステルス グローレ』に『ステルス グローレ プラス』を加えた3本を練習場に持ち込んで行った試打の模様へと移ろう。30人のゴルファーがそれぞれ試打したところ、以下のような結果になった。

【ステルス2 HD推し 主な意見】
・左に巻き込む感じがなく、球がまとまる(Kさん)
・不思議とヘッドスピードが上がる(石島さん)
・ヘッドの重さを感じながら振れる(内田さん)
・カーボンフェースの初速アップ効果を感じる(石川さん)
・打球音がいい。弾きが良くて飛ぶ(大内さん)
【ステルス グローレ推し 主な意見】
・とにかく軽くて振りやすい(近江さん)
・弾道が高くてキャリーが伸びる(吉村さん)
・馴染みのある形状で打ちやすい(谷さん)
・芯を外してもカーボンフェースの高初速を味わえる(中尾さん)
・構えたときつかまりそうな安心感がある(松岡さん)
【ステルス グローレ プラス推し 主な意見】
・球をつかまえにいくスウィングに合う(八田さん)
・単純に一番飛ばせた(桐生さん)
・カーボンウッドの飛距離性能の高さを一番体感できた(島田さん)
・こすったな、という当たりがストレート(菊地さん)
・自分の球の低さをカバーしてくれる(新山さん)

今回最も若い世代の桐生さん(左)は、『ステルス グローレ プラス』で最長飛距離をマーク。逆に最年長のしゅうほうさん(中央下)は『ステルス2 HD』で好記録。年齢やヘッドスピードで対象クラブを決めつけず、いろいろと試してみることが肝心だ
まず、『ステルス2 HD』を推した人たちは、意外にもキャリアの長いシニア層が多かった。クラブが重すぎないか、と聞くと「ヘッドの重さを感じながら振れるからいい」という意見が多く、確かにクラブ任せに振るとつかまったナイスショットが出ることが見て取れた。また、ステルス2シリーズになってより爽快さを増した打球音も、「飛んでいる感じがするし、実際に初速が凄く速い!」と高評価。ステルス2シリーズは、ヘッドスピードが速くないと威力を発揮できないのでは?という噂も一部にあったが、そんなことは微塵も感じない結果となった。

ヘッドスピードの速い桐生さんは『ステルス2 HD』でも290Y飛ばしたが、『ステルス グローレ プラス』ではその上を行く300Yに迫る飛距離を記録!
一方の『ステルス グローレ』。もちろんシニア層の支持も得たが、意外にもパワーのあるゴルファーが好結果を出すことも多かった。特に弾道調整機能のついた『ステルス グローレ プラス』はもっともつかまりがよく、「思い切って体全体を使って振っていける」との声も。つかまり性能はクラブに任せ、体の回転スピードを上げて飛ばしていく、そんなタイプのゴルファーにもマッチするようだ。確かに男子ツアーで活躍する若手選手も『ステルス グローレ プラス』を実戦投入したケースもある。ヘッドスピードが速くない人向けと判断するのは早計なようだ。
自分にとっては“対象外”と思っていたクラブが
意外にもマッチすることがある!
今回、スウィングタイプもヘッドスピードもさまざまなゴルファー30名に3モデルを打ってもらい、以下のことが浮き彫りとなった。
●『ステルス2 HD』は中~高弾道。『ステルス グローレ』は高弾道。
●3モデルともしっかりつかまるが、引っかけやチーピンは出づらい。
●より弾き感を求めるなら『ステルス2 HD』。
●ヘッドスピードが速くなくても『ステルス2 HD』は打ちこなせる。
●逆にヘッドスピードが速めでも『ステルス グローレ』で吹き上がるような球は出にくい。
固定観念を一度捨てて、これまで対象外と思っていたクラブを打ってみると、予想しないところに最高の1本が潜んでいることも。今回の『ステルス2 HD』&『ステルス グローレ』の試打レポートを、ドライバー選びのヒントにしてみてはいかがだろうか。