近年の酷暑は日本だけの問題ではない。米航空宇宙局NASAが「7月としては過去数千年で最高の暑さを記録する可能性がある」と発表すれば、ワシントンポスト紙は世界の平均気温が17.18度に達した7月4日を「史上最高の気温」と解説し、その3日後には世界気象機関が世界の平均気温が17.24度になったと発表。そんななか、ゴルフビジネス誌が紹介したモーリシャスにあるヘリテージGCの”グリーンルーフ”が注目されている。
“グリーンルーフ”のメリットは、断熱効果や光熱費削減
モーリシャスにあるヘリテージGCのグリーンルーフとは、文字通り「緑化された屋根」のこと。
今年12月、欧州ツアー開催経験を持つ同コース内に新設予定であるクラブハウスの屋上を緑化するという。
「このリゾートに滞在するゲストやクラブ会員にとって、この特別なロケーションをリラックスして楽しめるはず。ほかに類を見ないクラブハウス体験が生まれるでしょう」
と同クラブ支配人。
グリーンルーフを採用したクラブハウスは、イギリスではすでにいくつかのゴルフコースで見られる。
たとえばロンドン近郊にあるリッチモンドパークGCのクラブハウスは屋根全体が緑化されておりコースの自然に溶け込んでいる。
日本のゴルフ場では、まだ全面緑化の例はないが、関西方面で屋上緑化を手がける企業の担当者によれば、
「最大のメリットは断熱効果で、夏場は階下の室内温度を下げることができ、光熱費の削減にもなります。都市部ではすでに屋上緑化を義務付けているところも少なくありません。クラブハウスはモダンなデザインが多いと思いますが、屋上緑化はモダンな建物を自然の景観になじませる効果もあります」
と語る。
初期投資やメンテナンス費用を光熱費で回収するのは難しそうだが、地域によっては助成金が出るところもある。
何より、ヒートアイランド現象やCO2の削減につながるグリーンルーフ。
光熱費の高騰がささやかれる昨今、一考の価値は十分にありそうだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月15日号「バック9」より