「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は、いまどきのドライバーの重心距離、重心深度について教えてもらった。
画像: ピンの「G430MAX」の重心距離は45.7ミリ、重心深度は46.5ミリ。ただし「数値だけで判断するのは難しい」と宮城氏は語る

ピンの「G430MAX」の重心距離は45.7ミリ、重心深度は46.5ミリ。ただし「数値だけで判断するのは難しい」と宮城氏は語る

「重心距離率」と「重心深さ率」を参考にしたい

みんゴル取材班(以下、み):「G430MAX」の重心距離は45.7ミリ、重心深度は46.5ミリ(週刊ゴルフダイジェスト調べ)あるそうです。また、最近のドライバーの平均は重心距離、重心深度ともに40ミリ前後といわれています。

宮城:ふた昔くらい前は35ミリ前後でしたからずいぶん大きくなりましたね。昔はフェースやクラウンが重くて重心位置をコントロールすることが難しかった。

み:その結果、ドライバーは相当進化したといえますか?

宮城:ボディを軽く大きく作れるようになったという意味で製造技術は進化しました。また、昔のヘッドはディープでしたが、いまのヘッドは押し並べてシャローでフェース長、前後長ともに大きくなりました。その結果、重心距離が長くなって芯が広かったり、重心が深くなって球が上がりやすくなったり寛容性は高くなっています。

ただし、クラブは人間が振るものなのでそれが行き過ぎると振りにくさを感じたり、過剰なトウダウンやヒップダウンでボールコントロールが難しくなったりします。現にそういうドライバーも出てきています。

み:アマチュアは何を基準にして選べばいいのでしょうか。

宮城:40ミリとか45ミリという数値だけでは判断できません。ヘッド体積や投影面積がまちまちだし、ロフト角によっても数値は変わってくるからです。参考になるのは「重心距離率」と「重心深さ率」です。

み:あまり聞き慣れない用語ですね。

宮城:重心距離率と重心深さ率はヘッドの左右前後の長さに対して重心がどこにあるかを表す数値です。

み:たとえばヘッドを上から見たときに重心がど真ん中にあれば重心距離率も重心長さ率も50%ということですね。

宮城:その通りです。人間は無意識にヘッドの真ん中にボールを当てようとするので、重心が真ん中近くにあるほうが打ちやすく感じるはずです。ただし、一番初速が出てスピンや打ち出し角の条件もいいのは、打点が重心よりも約10ミリトウ寄りです。したがって重心がセンターよりも少しヒール寄りにあるヘッドを選んで、センターでボールをヒットするのが飛ばすためのもっともいい方法といえます。

ちなみに重心がセンターよりトウ側にあるクラブはありません。重心距離が40ミリ超えるようなヘッドでもたいてい真ん中かヒール側に寄っているはずです。

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