飛距離を伸ばしたいと願うアマチュアは多いが、ほとんどのゴルファーは伸ばせていないはず。飛ばしの秘訣はどこにあるのか? 飛距離に特化したレッスンで人気を集め、USGTF公認ティーチングプロの服部公翼プロに聞いてみると、そのコツはひじ先を使う“手打ち”にあるという。さっそく教えてもらおう!
画像: 2019年に50歳で全米プロを制したフィル・ミケルソン。「ひじ先を回転させる技術は世界イチです。体を使わず、腕を上手に使うから長くプレーができる」と服部プロ

2019年に50歳で全米プロを制したフィル・ミケルソン。「ひじ先を回転させる技術は世界イチです。体を使わず、腕を上手に使うから長くプレーができる」と服部プロ

「マキロイやラームのような体を使ったスウィングをアマチュアが実践しても飛ばなくなるだけ」(服部プロ)

世界ランク2位のローリー・マキロイの平均飛距離は325.8Y(今季ランク1位※データは7月27日現在)を誇る。マスターズを制したジョン・ラームは平均313.3Yを飛ばす。世界のトップ選手は300Y超えが当たり前であり、雑誌などのメディアでもトッププロのスウィング解説やレッスンが展開されるが、飛距離アップに特化したレッスンが人気の服部公翼プロによると、

「マキロイやラームのような体を使ったスウィングをアマチュアが実践しても飛ばなくなるだけです。世界のトップ選手たちはあえて飛距離を抑え、方向性を重視しています。つまり飛ばすよりもコントロールしやすいように打っているわけです。ですから飛ばない打ち方と同じなのです。それよりもアマチュアはもっと腕を使うべきです。腕の振りが速くなれば、ヘッドスピードは上がりますし、実戦においてもさまざまなメリットがあります。腕使いだけで飛距離は十分に伸ばせます。そのコツがひじ先の回転にあるんです」 

画像: マキロイのような打ち方はフェースの開閉が少なく、腕は使わず体を使うのが特徴。服部プロは「カプルスやミケルソンのように腕が使えるようになるとヘッドスピードは確実に上がります。フェースの開閉がともなうので球もつかまります」と語る

マキロイのような打ち方はフェースの開閉が少なく、腕は使わず体を使うのが特徴。服部プロは「カプルスやミケルソンのように腕が使えるようになるとヘッドスピードは確実に上がります。フェースの開閉がともなうので球もつかまります」と語る

服部プロはアマチュアこそ“手打ち”でいいんだ、と断言する。手打ちといえば、ミスの根源とされているが、それは正しく腕が使えていないからだという。

「私も昔はマキロイみたいに体を使って飛ばすタイプでした。ですが、歳を重ねたことで体が動かなくなってきたのです。そこで考えたのが腕の振りでした。腕を使うことで体が動かない分をカバーしようと思ったんです。ひじから先の前腕には骨が2本ありますが、この関節によってひじ先は回転します。この前腕の回転がスウィング動作のベースになるんです」

「椅子に座ってボールを真っすぐ飛ばせれば、ひじ先の回転は完璧」(服部プロ)

画像: 椅子打ちで「正しい手打ちなのか、悪い手打ちなのか」をまずチェック。「ひじは動かさず、手のひらを上下に入れ替えるようなイメージ」で振ってみよう

椅子打ちで「正しい手打ちなのか、悪い手打ちなのか」をまずチェック。「ひじは動かさず、手のひらを上下に入れ替えるようなイメージ」で振ってみよう

ひじ先の回転とは、どういうものなのか? 服部プロは、

「椅子に座ってボールを真っすぐ飛ばせれば、ひじ先の回転は完璧です。椅子に座ると下半身はまったく使えませんから、正しい手打ちなのか、悪い手打ちなのか、すぐに判断できます」 

服部プロが実演しているが、これがなかなか難しい。ボールの手前をダフったり、左に引っかけたりと、あらゆるミスが出るのだ。 

ひじ先の回転は手のひらが下を向く「回内」と、手のひらが上を向く「回外」の2種類ある。

「ひじは動かさず、手のひらを上下に入れ替えるようなイメージです。この回内と回外がひじ先の回転になります。アマチュアは内側に絞るような回内は得意ですが、外側に回す回外が苦手といえます。この回外ができないと、トップで右ひじが高く上がったり(フライングエルボー)、フォローで左ひじが畳めない(左ひじ引け)などのミスにつながります」 

画像: 手のひらが上を向く「回外」が大事。ひじが下がればスウィング軌道は安定する

手のひらが上を向く「回外」が大事。ひじが下がればスウィング軌道は安定する

ひじ先の回転では、回内と回外が同じ方向に動くのが理想だという。そうすることでスウィング軌道が整い、さまざまなメリットがもたらされるのだ。あとは手首の角度を保つことがポイントになるというが、どういうことなのか?

「手首の角度が0度に近くなるほど、ヘッドの運動量は小さくなります。これは回内&回外してもフェースが開閉するだけだからです。一方、手首の角度が90度に近くなるほど、ヘッドの運動量は大きくなります。剣道の竹刀のようにクラブを構えた状態でひじ先を回転させるとヘッドは左右に大きく移動します。

運動量が増えれば、当然ヘッドスピードも上がります。ですから、この手首の角度が重要です。クラブにはライ角があるため、手首の角度を90度にすることは難しいですが、その角度を保つ意識はとても大切です」

ひじ先の回転には4つのポイントがある

ポイント① ひじ先の回転は「回内」と「回外」

画像: トップは左手が回内で右手が回外、フォローは左手が回外で右手が回内

トップは左手が回内で右手が回外、フォローは左手が回外で右手が回内

ひじ先の回転は、手のひらの向きで簡単に判断できる。

手のひらが上を向けば回外、下を向けば回内だ。

この回内&回外の組み合わせでトップ~インパクト~フォローというスウィングが作られるのだ。

ポイント② 手首の角度を保つ

画像: インパクトで腕とクラブの角度があるとヘッドの運動量が大きく、腕とクラブの角度がないとヘッドの運動量は小さくなる

インパクトで腕とクラブの角度があるとヘッドの運動量が大きく、腕とクラブの角度がないとヘッドの運動量は小さくなる

アマチュアに多い伸び上がったインパクトでは、手首の角度は0度に近くなり、ヘッドの運動量が小さくなる。

手首の角度を保ちつつ、ひじ先の回内&回外ができれば、ヘッドの運動量は増し、スピードが上がるのだ。

ポイント③ グリップ内でテコを作る

画像: グリップ内では、プロは左手を押し右手を引くが、アマチュアは右手を押して左手を引いている

グリップ内では、プロは左手を押し右手を引くが、アマチュアは右手を押して左手を引いている

「アマチュアは右手を押し、左手を引く逆テコになっています。これだと手首の角度も保てません。理想は左手を押し、右手を引く。このテコが作れるとトップの右ひじの回外、フォローの左ひじの回外がスムーズになります」

と服部プロ。

ポイント④ 左手リードを意識する

画像: 左手リードならハンドファースト=スクエアインパクトになり、右手が強いとハンドレイト=引っかけやすくなる

左手リードならハンドファースト=スクエアインパクトになり、右手が強いとハンドレイト=引っかけやすくなる

アマチュアは右手が強い。右手でリリースするとハンドレイトのインパクトになる。

そのためにも左手リードを意識したい。

左手を意識すれば、ハンドファーストになり、フェース面の管理もしやすい。

※後編に続く(2023年8月10日11時30分公開予定)

PHOTO/TadashiAnezaki、Blue Sky Photos、Getty Images 

THANKS/オークラランドゴルフ練習場

※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月15日号「飛ばしのコツはひじ先の回転にある」より

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