「最近、プロの間で目立ってきたパットの打ち方がある」というのはクラブ試打のスペシャリスト、堀越良和プロ。その打ち方とは「中尺パターのグリップを余らせてストローク」というもの。どんなメリットがあるのか、堀越プロに聞いてみた。

"ファウラースタイル"には様々なメリットがある

今年の全米オープン、最終日に最終組で回ったウィンダム・クラークとリッキー・ファウラー。オクラホマ州立大の先輩・後輩でもある2人のパターは同じモデルで、オデッセイの中尺マレットを使用。クラークが、ファウラーの使用しているパターを見て、まったく同じモデルを「私にも作ってほしい」とメーカーに頼んだと言う。

さらに、キーガン・ブラッドリーも同じモデルを使用しており、この『オデッセイJAILBIRD』パターに注目が集まった。クラークが優勝した全米オープンの翌週の「トラベラーズ選手権」でブラッドリーが優勝。さらに翌週の「ロケットモーゲージクラシック」ではファウラーが復活優勝を果たし、3週連続で同じモデルの中尺パターがPGAツアーを制覇するという快挙が達成された。

「これだけのことが起これば、プロの間でも注目されないわけがありませんよね」と堀越良和プロは言う。実際、ツアーでも中尺マレットを試す動きはあるようだが、堀越プロが注目するのは、その打ち方。

「クラークはグリップを長めに握っていますが、ファウラーとブラッドリーはグリップを余らせて握っています。大里桃子選手もこの握り方ですね」

画像: 「長めのグリップの中尺パターで、グリップを余らせて持つ」タイプのプロたち。左からリッキー・ファウラー、キーガン・ブラッドリー、大里桃子

「長めのグリップの中尺パターで、グリップを余らせて持つ」タイプのプロたち。左からリッキー・ファウラー、キーガン・ブラッドリー、大里桃子

中尺パターを使うプロはほかにもいるが、握り方はそれぞれ。ブライソン・デシャンボーは"アームロック"という左腕に密着するような握り方をするのをご存じの方もいるだろう。

「中尺パターにも様々なタイプがありますが、マレットに17インチくらいの長めのグリップを挿して使用する選手が多いと思います。そして打ち方も様々ですが、私がアマチュアの方にオススメしたいのは"ファウラースタイル"。つまりブラッドリーや大里選手と同じようにグリップを余らせて握る打ち方です。様々なメリットがあるんです」

パターが動きたがるので、ヘッドが進む方向にフォローを出せばいい

画像: 中尺パターのグリップを余らせて持つと、余らせた部分がカウンターバランスになり、グリップの右手と左手の間を支点とする振り子のストロークになりヘッド軌道が安定する

中尺パターのグリップを余らせて持つと、余らせた部分がカウンターバランスになり、グリップの右手と左手の間を支点とする振り子のストロークになりヘッド軌道が安定する

「中尺マレットに長めのグリップを挿しグリップを余らせて握る」という"ファウラースタイル"のメリットを堀越プロに聞いてみた。

「まず中尺パターにすると、自然に上体をやや起こして構えます。すると目線が高くなるので、ピンまでの遠近感が出て、距離感を出しやすくなります。さらに、わきが自然に締まることにも気づくはずです。
そして最大のメリットは、グリップの余らせた部分がカウンターバランスとなって、振り子のストロークになり、ヘッド軌道が安定するということです。加えて、中尺マレットはクラブ全体の慣性モーメントが大きいので、クラブが動こうとする力が大きくなり、手が悪さをしにくく、フォローでヘッドが自然に出る。これだけのメリットがあるので、ぜひ一度試してほしいです」

堀越プロは、とくにショートパットが打てない人、あるいはパッティングをオートマチックに打ちたい人にオススメと言う。

「中尺マレットを上手く打つには、パターが動きたがるので、それを無理やりコントロールしようとするのではなく、パターに任せてやるのがコツです。パターに仕事をさせるという意識でストロークしてみてください」

いいことずくめの中尺パターだが、実際に使用する際には注意したいポイントがあると堀越プロはいう。

「『ライ角』と『グリップ』です。中尺パターに長めのグリップを挿せばグリップ位置の自由度は高いですがが、そもそものライ角が合っていないと違和感の原因になってしまいます。合っていない場合はショップで調整してもらいましょう。
また長めのグリップはモデルにより重量が様々です。極端に重いものもあるので注意が必要。ヘッドが利かなくなりますから。『スーパーストローク』が人気なのは長くても軽いモデルがあるからなんです」

※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月22・29日号「中尺パターでグリップを余らせて打ってみよう!」より

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