2メートル強のウィニングパット(バーディ)を沈めたホブランはすぐさまカップからボールを拾い深い息を吐いた。5打差の圧勝にガッツポーズはなし。ボーカーフェースだった25歳はそこでようやく表情を緩め笑顔になった。
メモリアル・トーナメント、BMW選手権に続く今季3勝目は対戦相手を脱帽させるような鮮やかな勝利。「これほどいいプレーができたことはない。ショットからパットまで全ての要素が噛み合った」と最高のタイミングで最高のプレーができた達成感に笑いが止まらない。
一時3打差まで詰め寄ったシャウフェレは「彼は信じられないくらい素晴らしいプレーをしていた。日頃からハードワークしている姿を見てきたけれど、プレーオフシリーズに入ってからもその姿勢は変わらなかった。自分も遅くまで練習するタイプだけれど、暗くなってからいつもホブランがそこにいた」と勝者を称えた。
最終戦の優勝賞金はボーナスを含めて1800万ドル(約27億円)。それに前週優勝分を加えると優に30億円を突破。単純計算して1打あたり600万円を稼いだことになる。
「このパットを外したらいくら損するとか、そんなことはラウンド中まったく考えていない。ただ勝ちたい一心でプレーしているのにテレビでこの1打で何億損をしたなどといわれることにイライラする」とジョン・ラーム。
ただ2位で650万ドル(約9億5千万円)、18位タイに終わったラームで67万ドル(約9500万円)、最下位でも50万ドル(約7300万円)なのだから放送する側も観る側も賞金に注目せざるを得ない。
ちなみにポイントランク50位に終わった松山英樹にも19万6千ドル(約2800万円)のボーナスが支給される。
PGAツアーバブルといわれて久しいがこれほど天井知らずの高騰が続くとは。「日本ツアーは稼げる」といわれた30年前が懐かしい。