ゴルフの変質はプロの世界だけではない
今年の開催コースは鳥取県にある大山GC。1970年開場。名匠・上田治の設計で7056ヤード・パー72。
ここで「61」のスコアを叩き出したのは専修大3年の福住修選手。
主催するJGAに残っている記録によれば、これまでの単日最少スコアとなる。
同選手権が開催されたのは1935年だが、4日間72ホールのストロークプレーとなったのは69年から。そこから優勝スコアを見ていくと、明らかに”アンダー合戦”となっていくのは91年からだ(12アンダー・丸山茂樹)。
93年と01年にオーバーパーの記録はあるものの、他の年度はアンダーパーが続いている。
11年、12 年連覇の松山英樹は17アンダー・19アンダーで圧勝。17年(17アンダー・清水大成)、18年(15アンダー・桂川有人)、19年(20アンダー・砂川公佑)、20年は中止で、21年(12アンダー・平田憲聖)。
昨年に至っては、3日間競技だったにもかかわらず、22アンダー(宇喜多飛翔)が出ている。
「これらの要因にはボールやクラブの進化があります。振りちぎっても曲がらないし、ある意味怖さを知らないからどんどんいってしまう」
とは、ある大学ゴルフ部の監督。
ちなみにドライバーを例にとると、79年にメタルが登場し、93年にはチタン素材、03年カーボンコンポジット、460CCの大型ヘッドが出現。
確かにこの過程と同選手権のスコア向上は軌を一にしており、さらに近年、アマチュア選手も”アスリート化”が進み、今や大学生ゴルファーでも平均飛距離300ヤード超えの選手は少なくない。
「コース自体が時代に合わなくなっています。420ヤードのホールで2打目がウェッジですよ。夏は水やりが必要なため、グリーンを硬く速くはできません。それでもピン位置でロングアイアンなら止まらなくもできるでしょうが、ウェッジでは手の打ちようがありません」
とはコース設計家で、同選手権のディレクターも務めた川田太三氏。
ゴルフが変質しているのは、プロの世界だけではない。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月12日号「バック9」より