●水シャワーを浴びて、新しいシャツに着替えた
中学1年生のとき、夏休みに山中湖で野球部の合宿がありました。1日目、1年坊主は出ずっぱりなうえ、僕はキャッチャーなので守備でも攻撃でも休めない。その頃は水を飲んではいけない規則。2日目に熱が出てしまったのですが、引率の先生が「夏風邪だな」と。そこから2日間寝てました。喉は渇くんですが、つらくて水すら飲み込めない有様。とうとう帰りのバスで意識を失い、親に迎えに来てもらいました。その後、病院に行ったら、熱射病と言われました。当時は熱中症とは言わなかったからですね。3日間は点滴だけで退院する頃にはすっかり痩せてしまい、夏休み明けに学校に行っても誰もオレとはわからないくらいでした(笑)。
近年では、習志野CCで開催された16年の日本シニアオープン最終日。暑くて湿気の多い日でした。同組の選手が8番ホールで動けなくなってカートで迎えに来てもらいました。僕自身はハーフターンで水シャワーを浴びて、シャツも着替えました。動けなくなった選手は、冷房の効いているフロアで横になっていて、だいぶ回復していましたが、その後、同じ組のもう1人も熱中症になって2人で回った記憶があります。水は飲むだけでなく、体全体に浴びるのも効果があると思います。サウナがある浴室なら水風呂も設置されているので、お試しを。(タケ小山、テレビ解説者・プロゴルファー)
●目を覚ましたら周囲の人が氷を当ててくれて…
今夏、練習場での話です。その日の気温は30度ちょっとでしたが湿度が高かった。しばらく打って、休憩しようとベンチに腰掛けたら、頭がフラーッとして「貧血かな」と思ってから、その先の記憶がない。気を失っていたようで、目を覚ましたら周囲の人が氷を当ててくれていました。半室内なのもあって油断していました。(50代男性、東京都)
●①我慢しない②ゴルフは早めにやめる③すぐ救急車を呼ぶ
10年前、茨城県にあるコースでのコンペのときのこと。暑くて湿度も高いという予報を聞いて前の晩は飲酒もせず睡眠も十分。スコアも調子良く、7番もナイスドライブ、2打目地点に向けて歩き始めた時、突然汗が吹き出て動悸が早鐘を打つよう。その後はチョロばかり。8番で休憩し、後続をパスさせたものの頭がボーッとしたまま。涼しいハウスで冷やし中華を食べたら回復したようでしたが、10番ティーでまた動悸が激しくなりました。このままだと周囲に迷惑をかけると思ったのでプレーを中断。ハウスに戻って休みました。
その場で気分は良くなったのですが、夜、自宅でまた動悸が速くなり、救急車を呼びました。病院で検査してもらったら不整脈。その頃はまだ熱中症という言葉が出始めた頃でしたが、それが不整脈を悪化させ、脳梗塞の一歩手前だったそうです。熱中症になったので、それがわかったとも言えるのですが……。
もうひとつ、監督を務めている大学ゴルフ部の合宿でのこと。学生2人が熱中症のようだと自己申告してきたのでロッジで休ませました。その後、気分が良くなったというので、夕食を食べ始めたのですが、2人がガタガタ震え始めたんです。すぐ救急車を呼び、その後、点滴を打って大事には至りませんでした。以来①我慢しない②(プレーは)早めにやめる③すぐ救急車を呼ぶ、この3つを徹底しています。(田中徳市、法政大学ゴルフ部監督)
●"ケチらずに"寝ている間もクーラーをつける
一日中冷房をつけているのは気が引け、明け方にスイッチをオフ。朝7時ごろ暑さで目を覚ましたら、立ち上がれないほどの頭痛。家族に飲み物を持ってきてもらい、横になったままでいたらマシになりましたが、寝ている間も熱中症になるという記事を読み、ゾッとしました。(40代女性、愛知県)
●上司の言葉を「断る勇気が必要」
ゴルフ初心者の頃、前日、仕事でろくに眠らずラウンドへ。「クラブを3本持って走れ」と言われ、実践していたら、だんだん頭痛がし出しました。同組は上司で、申し出にくかったのですが「頭が痛い」と言ったら「なんで早く言わないんだ」と怒られ、「日陰で休め」と怒鳴られました。何をしても怒られる日でした。断る勇気も必要なんだなと思いました。(40代女性、千葉県)
●試合前のアルコール摂取は控え、大びん1本に制限
僕自身は熱中症にはかかったことはありませんが、前の組にいたプロが痙攣して倒れたのを見たことがあります。後ろから見てもはっきりわかるほどで、すぐに救急車で搬送されました。熱中症の怖いところは症状が自分では認識できずに、認識したと思ったら重篤な状態ということでしょうね。
酒好きの僕でも試合前のアルコール摂取は控え、大びん1本にしています。たくさん飲むと寝つきはいいのですが、夜中に目が覚め眠れない、これが最悪です。熱中症を引き起こす原因の2つは、前の晩のアルコールの過摂取と、睡眠不足だと聞いたことがありますから。
あと、カートならばアイスボックスを積んで、冷水、氷嚢など用意できるでしょうが、試合での歩きラウンドでは、そうもいかない。ビタミンCのサプリを飲んで、日傘を放さない。それが僕の夏ゴルフの鉄則です。(髙橋勝成、プロゴルファー)
●冷水シャワーに直行
数年前、真夏の河川敷コースの後半でなりました。頭が痛くなり一歩進むたびに頭がガンガン状態。頭が揺れるだけでも痛い。これ以上ひどくなったらプレーをやめようと思いながら、頭を揺らさないようにそーっとそーっと打ち続けて何とかホールアウト。その後、冷水シャワーに直行しました。(50代男性、千葉県)
●マグネシウム、カリウムの粉末を水に溶かして飲む
今年のファンケルクラシックに出場したときのことです。夜、雨が降って、翌日はカンカン照り。気温は高く、それ以上に湿度が高くて参りました。中嶋(常幸)さんは熱中症気味のため棄権、キャディさんもそうだったと聞きました。やはりキャディは大変だと思います。(プラヤド・)マークセン、片山晋呉のキャディも熱中症になったと言っていました。キャディの仕事は熱中症になる悪条件を満たしています。
僕が所属する鳴尾GCのキャディにはファン(扇風機)付きベストを支給しています。僕自身は熱中症になったことはないです。もともと夏は好きだったのですが、僕たちの若い頃の夏の暑さと今の暑さは全く違っていますね。熱中症対策としては、カミさんが薦めるマグネシウム、カリウムの粉末を水に溶かして飲んでいます。冷やして塩をふりかけたトマトをラウンド中、食べたりもしますね。
日傘は欠かさなくなりました。若い時は、日傘は女性が差すもの、プロが差すのはやる気がないんじゃないかなどと言われましたが、今は必須ですよ。水を飲んでも喉に入っていく頃には口の中はもう乾いている……その状態は半熱中症状態だと聞きまして、水は多めに摂るようにしています。(水巻善典、プロゴルファー)
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月12日号「山を動かす~あなたの熱中症体験を教えて」より