女子ツアーは、後半戦に入って、櫻井心那、小滝水音、菅沼菜々、蛭田みな美が初優勝を飾り、初優勝者の優勝が続いている。そこで、この4選手のスウィングを女子プロコーチの南秀樹プロが解説する。
画像: 資生堂、楽天、ゴルフ5レディスと2カ月の間に3勝を挙げた櫻井心那を中心に、小滝水音(大東建託・右下)、菅沼菜々(軽井沢72・右上)、蛭田みな美(Cat・左下)が次々に初優勝を飾った

資生堂、楽天、ゴルフ5レディスと2カ月の間に3勝を挙げた櫻井心那を中心に、小滝水音(大東建託・右下)、菅沼菜々(軽井沢72・右上)、蛭田みな美(Cat・左下)が次々に初優勝を飾った

櫻井心那は、上半身の脱力が飛ばしに直結!

画像: 「トップから下半身のリードでクラブを引っ張っていくことでクラブが加速する」。これが櫻井の飛距離の源だ

「トップから下半身のリードでクラブを引っ張っていくことでクラブが加速する」。これが櫻井の飛距離の源だ

櫻井心那は、資生堂レディスで初優勝し、楽天スーパーレディースで2勝目を挙げ、ゴルフレディスで"10代3勝"を達成。ツアートップレベルの飛距離が櫻井の武器になっている。

「今やツアーの飛ばし屋のひとり。その原動力は力感を出さないスウィングです。コンパクトな位置にトップを収めていますが、右腰は大きく回転。その反面、上半身からは力感を全く感じず、上手に脱力できています。トップから下半身のリードでクラブを引っ張っていくことでクラブが加速、それが飛距離につながります。

画像: 「インパクト前後は右ひじの角度を変えず押し込んでいくことでレベルブローとなる」。これが低~中弾道の強い球につながる

「インパクト前後は右ひじの角度を変えず押し込んでいくことでレベルブローとなる」。これが低~中弾道の強い球につながる

また、早めに胸をボールに正対させることで男子プロ的なタメを生み出し、インパクト前後は右ひじの角度を変えず押し込んでいくことでレベルブローとなり低~中弾道の強い球になります」(南、以下同)

小滝水音は、アンダースロー的フォローで球筋安定

小滝水音は、5月に台湾で行われた下部ツアーのCTBCレディスでプロ初優勝を飾ると、直後のヨネックスレディスで8位タイに入ったことで、リランキングで出場権をゲット。

そして7月の大東建託・いい部屋ネットレディスで初優勝を挙げた。

画像: 「コンパクトなトップから、インパクトからフォローでボールをアンダーハンドで投げるように伸ばしている」。これが小滝の得意なライン出しを生んでいるという

「コンパクトなトップから、インパクトからフォローでボールをアンダーハンドで投げるように伸ばしている」。これが小滝の得意なライン出しを生んでいるという

「小滝選手は、昨年までトップがオーバースウィングで、背中と腕がクロスしていましたが、今年はコンパクトになって上手くスウィングプレーンに乗っています。切り返しで手をスッと下ろしているので、インパクトで右ひじが体の近くを通ります。そして、インパクトからフォローでボールをアンダーハンドで投げるように伸ばします。頭を無理に残さず自然に打ち出し方向に向けていく点も、方向性の安定を生み出しています。飛距離よりもライン出しが得意なスウィングだと思います」

菅沼菜々は、手を使わず左軸キープ個性的でも再現性は超高い

画像: 「トップはリバースピボット気味」という個性的なスウィングも菅沼の持ち味だ

「トップはリバースピボット気味」という個性的なスウィングも菅沼の持ち味だ

菅沼菜々はNEC軽井沢72で初優勝を挙げた。

「前半戦はパットが不調のように見えましたが、夏前にパットの上手さが戻ってきた感じで、それも優勝できた要因だと思います。スウィングは左軸を保ち続ける独創的なもので、トップはリバースピボット気味ですが、軸を左に倒し過ぎないことと、切り返しで右肩を下げないようにすることでオンプレーンを保っています。

画像: 「腰を早く切って右足を上手く送ることで、ハンドファーストでコンタクト」。これが再現性の高さを生んでいるという

「腰を早く切って右足を上手く送ることで、ハンドファーストでコンタクト」。これが再現性の高さを生んでいるという

そこから腰を早く切って右足を上手く送ることで、ハンドファーストでコンタクト。また、最後まで右ひじを伸ばし切らないことでクラブをコントロールしています。手を全くといっていいほど使っていないので、狙ったラインに再現性高くボールを打ち出すことができます。アイアンでピンを刺すショットが多い選手ですが、このスウィングならば納得です」

蛭田みな美は、下半身の強化が軸の安定を生み出した

画像: 「切り返しから下半身リードでクラブを戻してインパクト」。基本に忠実なスウィングが安定感を生んでいるという

「切り返しから下半身リードでクラブを戻してインパクト」。基本に忠実なスウィングが安定感を生んでいるという

蛭田みな美はCAT Ladiesで、プロ8年目にして悲願の初優勝を挙げた。

「今年に入ってドライバーの精度が安定したことが、飛躍につながりました。女子では珍しく両ももを外側へ向けてアドレスしています。このときにできる太ももの“張り”により安定した軸を作り出しています。手を使わず体の回転で上げるのでトップはコンパクトに収まり、切り返しから下半身リードでクラブを戻してインパクト。まさに基本に忠実です。

画像: 「アドレスからフォローまで頭の位置とひざの高さが変わらず、軸が全くブレません」。これも安定感を生む理由だという

「アドレスからフォローまで頭の位置とひざの高さが変わらず、軸が全くブレません」。これも安定感を生む理由だという

アドレスからフォローまで頭の位置とひざの高さが変わらず、軸が全くブレません。下半身がかなり強くしっかりしてないとできないですし、この点が今年大きく進化したようです。おそらくオフに相当なトレーニングを積んで、その成果がドライバーをはじめ、すべてのショットの安定につながったと思います」

PHOTO/ Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara

※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月12日号「First Winners Swing Laboratory」より

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