ゴルフの腕前はアドレスを見ればわかる
ゴルフを始めた当初は、成長を実感できるものだ。練習場に通えば通うほどに飛距離は伸び、ラウンドの回数を重ねれば、スコアは着実に縮まってベストスコアを更新していく。
ところがゴルフ歴が長くなってくると、飛距離もスコアも伸び悩んでしまうことがある。いわゆる「停滞期」というものだ。ラウンドを重ねてもベストスコアを更新することは滅多になくなってしまった……というベテランゴルファーの方は、武田登行プロの声に耳を傾けてみよう。
「伸び悩みを感じているのであれば、まずはアドレスを見直すことをお勧めします」
テークバックの仕方やトップ、インパクトの形など、スウィング中の動きや形は、絶えず意識するゴルファーでも、アドレスについては意外と気に掛けないという人は多い。
「でもプロや上級者はアドレスを念入りにチェックしています」
アドレスがしっかりしていないと、意図する場所にボールが運べなくなる。いくら会心のショットを放ったとしても、明後日の方向に飛んで行ったのでは、スコアがよくなるはずはない。さらに、スウィング中の動きや形を気にして修正を加えたとしても、そもそもの出発点が間違っていれば、スウィングに無駄な動きが生まれたり、上達へは随分と回り道になってしまうということが起こるのだ。だからこそ、伸び悩みを感じたら、まずはアドレスを見直してみることが大事だと武田プロは言う。
そこで、伸び悩みを感じている人に多いアドレスの“NGポイント”を武田プロに聞いてみた。
「まず、私が感じているのが、8割のアマチュアの方はボールに近く構えすぎているということです。これでは、ダウンスウィングで手の通り道になる懐が狭くなり、スウィングが窮屈になります。さらに手の通り道がなくなると、インパクトでの伸び上がりやチキンウィング(インパクトで左ひじが引けてしまう)の原因にもなります。
胸を張りすぎて背中をが反ってしまったり、右肩が前に出る、かかと体重になっているというのも伸び悩みの方に多い特徴と言えるでしょう。まずは、いま挙げたポイントが、自分に当てはまるかどうかをチェックしてみましょう」
ターゲットの見方にもプロとアマの差が出る
スコアに伸び悩んできたらアドレスを見直そうという武田プロに具体的なポイントを聞いてみた。
「ある程度のゴルフ歴がある人であれば、両肩のラインや両ひざのラインをスクエアにするというのは、意識されていると思います。
そこで、私がアドバイスしたいのが腕をできるだけ長くして構えましょうということです。アドレスで胸を張りすぎて背中が反ってしまう人が多いと先ほどお伝えしましたが、背中が反ってしまうと腕は短くなってしまいます。これとは逆に、腕をできるだけ長くするのです。
クラブを持たずにアドレスの状態を作り、輪っかを作るように両手を腰の前で組んでみましょう。そのときできるだけ腕を長くすることを意識してください。すると、背中には適度な丸みが生まれ、懐にスペースができます。このスペースがダウンスウィングでの手の通り道になります。この通り道がないとスウィングが窮屈になりますし、カット軌道や伸び上がりなどの原因にもなる。腕を長くして構えるというのは、上体が脱力した状態でもあり、実はアドレスの大切な要素なんです」
さらにもうひとつ、重要なポイントとして武田プロが教えてくれたのが、ターゲットの見方だ。
「グリーンやピンなど、ターゲットとする目標をアドレスするときに確認すると思いますが、この見方にもポイントがあるんです。よく顔を起こして目標を見る人がいますが、これではアライメントがズレてしまいますし、肩が開いてしまうので右肩が前に出る原因にもなります。ですからプロや上級者は必ず左肩越しにターゲットを見ます。この目標の見方だけで、ゴルフの腕前がわかると言っても過言ではありません。プロとアマの差が出るポイントです」
さらに武田プロは続ける。
「最後にもうひとつだけ大事なことをお伝えします。それは、練習場では必ず“照準の調整”をしようということです。アドレスを見直すときに形を修正することは、もちろん大事ですが、必ず狙ったところにボールを運べているかをチェックしてください。これを忘れると見直す意味がないです」
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/松原ゴルフガーデン
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月12日号「伸び悩みを感じたらアドレスを見直してみませんか?」より