レジェンドに学んだ大会直前の"リラックス法"を実践
“レジェンド”とは、メジャー最多の18勝を誇るジャック・ニクラス。
ラームはニクラスにメジャー直前にどんな準備をするかを尋ねたのだが、その答えは予想外のものだった。
「ジャックはメジャーの前週に会場へ出向き、水曜から金曜まで大会を想定して徹底的に練習を行っていたとか。そして金曜日に自宅へ戻り、バッグをクローゼットにしまって、週末はクラブを一切握らず過ごしたと話していました」
これを聞いたラームの頭のなかは、疑問符でいっぱいに。
「土日にクラブを握らないのはどうして?」
するとニクラスは、
「家族との時間を楽しんで、ゴルフのことは何も考えなかった」
つまり、それが重圧から解放されるためのニクラス流の鍵だったらしい。
そこでラームも、
「マスターズの前週オーガスタに入り、火曜から木曜までかなり激しい練習に取り組んだ」
その後、自宅のあるアリゾナ州スコッツデールに戻り、週末は近所のシルバーリーフGCで仲間と遊びのゴルフを楽しんだという。スキンズゲームを楽しみながら、ラームはほろ酔い。
「8杯飲んだところまでは覚えている」が、そのあとも無限に飲み続けた。
「妻にも『大いに楽しむぞ!』と宣言しました。友達がいて音楽が流れて、お酒を飲んで葉巻を燻く ゆらせる。ティーショットはすべてドライバーのマン振り。スコアは60だった。ベストスコアかって? いやシルバーリーフで2回59を出したことがあるよ(笑)」
さすがはローリー・マキロイ、スコッティ・シェフラーと並ぶ現代のビッグ3だ。
ゴルフを忘れ、家族と過ごしたニクラスとは少し違っていたが、仲間と遊びのゴルフを楽しみ、本番に臨んだことが、勝利の一因であることは間違いなさそうだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月26日号「バック9」より