ル・ゴルフナショナルは当初からトーナメント開催を目的に1990年開場
フランスには約600のゴルフ場しかなく、いまだゴルフは富裕層のものだが、18年に行われたライダーカップを潮目に、大衆化の兆しが見えてきた。今年は世界アマも開催され、来年の五輪がさらなる起爆剤となるか注目される。
今回、同協会が訪問したのは6コース。うち5コースは会員同伴でしかプレーできないプライベートコースだ。もう1つは五輪開催コースのル・ゴルフナショナル。その6ゴルフ場を紹介しよう。
●サンクルー/1911年開場。設計は近代コース設計の始祖、ハリー・コルト。コース評は同協会監事の佐藤祐康氏だ。「クラシカルの典型というべきコルトの作品」。
●サンノム・ラ・ブルテシュ/1958年開場。設計フレッド・ハートリー。世界女子アマチーム選手権開催コース。「クラシカルななかにも適度に起伏のあるコース」。
●サンジェルマン/1909 年開場。設計ハリー・コルト。「ワイドなフェアウェイからナローなグリーンへの道。グリーンは遠いところから大きな起伏で錯覚を起こさせる造形でコルト特有」。
●フォンテンブロー/1909年開場。設計トム・シンプソン。「高低差を上手く使っている。古い歴史があるのに新しいデザイン、難易度の高さを感じた」。
●シャンティ/1909年開場。設計トム・シンプソン。「ゆるやかな起伏は貴婦人のような風格」。
英米より閉鎖的なプライベートコースにビジターを迎え入れたのは、パリ在住の仏PGA副会長のナタリー・ジャンソン氏とJSGCA理事長、川田太三氏の尽力による。
ナタリー氏は80年代、日本女子ツアーに参戦し、引退してからは日仏協会を設立、仏から毎年20人ほど連れてきてツアーを組んでいる。日本の名門、廣野GC、東京GCなどを紹介したのが川田氏で、2人は私的に日仏親善をしていたのだ。ナタリーが五輪強化委員になったのを機に、今回のツアーが実現できたわけである。
最後に五輪会場のル・ゴルフナショナル。パリ近郊、ベルサイユ宮殿付近に1990年開場。最初からトーナメントを開催する目的で造成され、所有は仏ゴルフ協会。ライダーカップや世界アマも開催している。"光と影の魔術師”の異名を持つロバート・ボン・ヘギーら3人の設計。池を絡ませたスタジアムコースなどまさに“マンメイド"で、前述した5コースとは全くテイストを異にする。
来年の五輪を今は静かに待ち構える。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月19日号「バック9」より