「OB……。大丈夫、何とかなるぐらいに考えていた」(岩井)
4月の初優勝以降、3度のプレーオフ敗退を含めて2位が5回。
2勝目への道のりは最後まで険しいものとなった。2位との差を4打に広げて迎えた14番パー4、バンカーから残り106ヤードの2打目はグリーンを大きくオーバーし、まさかのOB。
このホールをダブルボギーとすると、1つ前の組で回る小祝さくらが15番パー5でバーディを奪い、その差は1打にまで縮まった。
独走から接戦へ、大きく状況は変わったが、本人は意外なほど落ち着いていた。
「今日はOBをしてもやっちゃったとは思わなくて、大丈夫、何とかなるぐらいに考えていたので、そこは今までの自分と違うなと感じました。ミスやトラブルは付き物。最終日最終組で優勝争いをしているとトラブルが1回は来る。自分のゴルフはそうなんです」
悔しい思いを重ねる中でメンタル面の強さを蓄えてきた。
嫌な流れで迎えた終盤も16番パー3では、5UTで80センチにつけるスーパーショットを見せてバーディ。上がり2ホールも危なげないパーで逃げ切った。
残り10試合、年間女王争いで申ジエと山下美夢有の背中が見えてきた
メンタルの強さとともに積み上げてきたのがメルセデスランキングのポイントだ。
ランキングは3位のままだが、今大会で200ポイントを加え、2000ポイントの大台に到達。トップとの差は242.4ポイントまで縮まった。
メジャー(優勝400ポイント)や4日間大会(同300ポイント)であれば、1試合でひっくり返る。
年間女王については
「今のところ考えていないので、一試合一試合、上を目指して戦っていくだけですね」
と話したが、現在トップの申ジエと昨季の女王・山下美夢有の争いに割って入る可能性は十分だ。
この日のOBのように粗さを感じさせる部分はあるが、年間トップ10回数は14回で山下と並んで1位。
平均ストロークも山下に続く2位(70.0877)につけており、抜群の安定感を誇る。
さらに強味である飛距離にはここに来て磨きがかかってきた。
シーズントータルのドライビングディスタンスが255.04ヤードで7位なのに対し、直近の2試合はいずれもトップ。
1週前は275.625ヤード、今週は265.333ヤードと飛ばしまくっている。
これは女王を争う山下や申が持っていない大きな武器。
その他にもパーオン率、平均バーディ数で1位に立っている。
今季のツアーは残り10試合。さらに残り試合が少なくなる中で、女王争いの輪の中に残っていれば、明愛もより意識せざるを得ないはず。
2勝目までの苦しい期間に鍛えられたメンタルがシーズン終盤にもきっと生きてくるはずだ。