いま、全国のあちこちで”名門”といわれるゴルフ場が、クラブの価値を上げるための改造や改修を行っている。愛知県にある春日井CCもその1つ。同CCは来年、開場60周年を迎えるにあたり、36ホールのうち、東コースの18ホールを改修する。
画像: 井上誠一設計の春日井CC。改修工事は今年12月初旬から来年9月末日まで東コースをクローズして行う予定

井上誠一設計の春日井CC。改修工事は今年12月初旬から来年9月末日まで東コースをクローズして行う予定

ゴルフ場造成向きではなかった"へき地"に井上誠一が設計した

春日井CCが改修設計を依頼したのは米国、ゴルフプラン社のデビッド・デール。同社はロナルド・フリームが興し、日本ではボナリ高原GCが代表作だろう。

フリームの後を引き継いだのがデールだが、世界中に110コースを設計し、韓国済州島の「ナイン・ブリッジズ」は開場して4年後には世界トップ100入りしている。

ここで春日井CCの歴史をひも解いてみよう。同CCは1964年開場。設計はかの名匠・井上誠一。

設立したのは「中京ゴルフの父」と呼ばれた中部日本放送社長の佐々部晩穂。佐々部は当時の第一人者である井上に同CCや愛知CCなど4コースの設計を依頼。

用地は当時、へき地といわれ、山並みが入り組んだ起伏の多い第三紀層の瓦礫層であることから、ゴルフ場造成向きではなかったという。

井上の診断により、18ホールで100万立方メートルを動かす大工事。そのうえで井上特有の"女体が横臥"したような柔らかいマウンドがうねるコースへと変貌した。

今回、改修するポイントは

「井上先生の特徴を残しながら、当初の1グリーンへの回帰、さらに育ちすぎた樹木の剪定、上級者にとってハザードにならないバンカーを廃し、新設するなどして戦略性を高めます。景観を整え、地域のゴルフ場の道標となるようなコースを目指したいと思います」(同CC支配人、岸直樹氏)

改修工事は今年12月初旬から来年9月末日まで東コースをクローズして行う予定。

工事期間中も西コースは通常通り営業し、12月は現状、定休日である金曜日も営業する。

36ホールある強みを生かして、会員サービスに努めるということだろう。次世代への"投資"というべきか。リニューアルオープンが楽しみではある。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月3日号「バック9」より

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