ゴルフ場造成向きではなかった"へき地"に井上誠一が設計した
春日井CCが改修設計を依頼したのは米国、ゴルフプラン社のデビッド・デール。同社はロナルド・フリームが興し、日本ではボナリ高原GCが代表作だろう。
フリームの後を引き継いだのがデールだが、世界中に110コースを設計し、韓国済州島の「ナイン・ブリッジズ」は開場して4年後には世界トップ100入りしている。
ここで春日井CCの歴史をひも解いてみよう。同CCは1964年開場。設計はかの名匠・井上誠一。
設立したのは「中京ゴルフの父」と呼ばれた中部日本放送社長の佐々部晩穂。佐々部は当時の第一人者である井上に同CCや愛知CCなど4コースの設計を依頼。
用地は当時、へき地といわれ、山並みが入り組んだ起伏の多い第三紀層の瓦礫層であることから、ゴルフ場造成向きではなかったという。
井上の診断により、18ホールで100万立方メートルを動かす大工事。そのうえで井上特有の"女体が横臥"したような柔らかいマウンドがうねるコースへと変貌した。
今回、改修するポイントは
「井上先生の特徴を残しながら、当初の1グリーンへの回帰、さらに育ちすぎた樹木の剪定、上級者にとってハザードにならないバンカーを廃し、新設するなどして戦略性を高めます。景観を整え、地域のゴルフ場の道標となるようなコースを目指したいと思います」(同CC支配人、岸直樹氏)
改修工事は今年12月初旬から来年9月末日まで東コースをクローズして行う予定。
工事期間中も西コースは通常通り営業し、12月は現状、定休日である金曜日も営業する。
36ホールある強みを生かして、会員サービスに努めるということだろう。次世代への"投資"というべきか。リニューアルオープンが楽しみではある。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月3日号「バック9」より