若武者がつかんだ欧州ツアー初優勝
DPワールドツアー(欧州ツアー)に参戦している久常涼選手がやりました!最終日に5アンダーの66(パー71)で4打差を逆転し、欧州ツアー初優勝を手にしました。
久常選手は昨年の「ZOZOチャンピオンシップ」最終日の最終ホールをボギーとし、10位以内に与えられる翌々週のPGAツアーの出場資格を逃した姿が印象に残っているゴルフファンも多いはず。ラウンド後の会見では「頭が真っ白になる経験は初めてでした」と大ギャラリーや10位以内ならPGAツアー出場権獲得という自身の置かれた状況がミスを誘い、パーパットを決められずに涙しました。
久常選手は、高校卒業後には渡米し米国の大学に進学するつもりでいたところ、コロナ渦により渡米を断念。その後日本ツアーの下部から這い上がりレギュラーツアーでも活躍していました。海外志向が強い久常選手にとって、ZOZOの最終ホールでの出来事は彼を大きく成長させる糧になったはずです。
始めて久常選手を見た2年前の「ゴルフパートナープロアマ」ではスウィングも性格と同じように物怖じせずに"ブチかます"ようなドライバーショットやピンを果敢に攻めるアイアンショットに魅了されましたが、プロ3年目を迎え、荒削り感が消え、ショットもメンタルもコントロールする術を身に付けてきていました。
早い段階で背中をターゲットに向けコンパクトなトップを作る
23年の開幕戦「東建ホームメイトカップ」で撮影したドライバーの連続写真を見てみましょう。オーソドックスなスクェアグリップで握り、スタンス幅はやや広め。テークバックで右ひざを伸ばしながら早い段階で背中をターゲットに向けます。腕を上げる動きが少ないので背中や胸が回ればトップになるため、トップでのシャフトの角度はコンパクトに収まっています。
トップで左に乗ってから切り返し、シャフトへの負荷をかけて行きます。どのタイミングでシャフトへ負荷をかけるかというのがスウィングのタイプにもなってきますが、あるシャフトメーカーによるとスウィングを変えてもシャフトに負荷をかけるタイミングは変わらず、それが個性だといいます。久常選手は切り返したあと、左腕が地面と平行になる位置でシャフトに負荷をかけていることが見て取れます。
トップで左へ乗せたあと回転し、縦方向の力を使って左足でブレーキをかけると上半身、腕、クラブへとエネルギーが移ります。インパクトでは左手の甲がターゲットを指し、フェース向きと合致するスクェアグリップの特徴が見て取れます。
帽子の向きが変わらないことからも、回転の軸がブレることなく正確で再現性の高いスウィングであることが確認できます。
DPワールドツアーのQTを経てルーキーイヤーとして参戦。優勝インタビューではツアー生活で培った英語で受け答えし「明日、日本に帰る便をビジネスクラスにアップグレードできるかな」と笑いを誘い、物怖じしない久常選手らしい姿が見られました。10月12日から開催される「日本オープン」には出場するようなので、大きく成長した姿を見せてくれるでしょう。