ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。ルーキーイヤーの今季、2勝を挙げた25歳のスウェーデン人選手、ビンセント・ノーマンについて語ってくれた。
画像: バーバゾル選手権で初優勝。恋人のプロゴルファー、フリダ・キンハルトとキスするビンセント・ノーマン(Photo/Getty Images)

バーバゾル選手権で初優勝。恋人のプロゴルファー、フリダ・キンハルトとキスするビンセント・ノーマン(Photo/Getty Images)

ビンセント・ノーマンはディビジョン2から2勝したルーキー

7月のバーバゾル選手権(昨年から欧州とPGAの共同開催)で、ルーキーイヤーで初優勝を飾ったビンセント・ノーマン。先週のアイルランドオープンでも6打差逆転で勝利し、早くも欧州2勝目です。ちなみに22‐23シーズン、ルーキーで優勝したのはプエルトリコでのニコ・エチェバリアと2人しかいません。

ノーマンは25歳のスウェーデン人。実はこの大会、3日目が終わった時点で優勝を狙える位置にいたのが同じスウェーデンのマーカス・キンハルト。このキンハルトの妹は、かつて世界アマランク1位になったプロゴルファーのフリダ・キンハルトで、ノーマンの恋人なのです。

マーカスは前半途中で優勝争いからは外れましたが、もし最後まで手に汗握る展開となった場合、「さて妹はどっちを応援するのだろう?」と、余計な心配をしたものでした。

ちなみにこの日、フリダもLPGAの試合の最終日。ホールアウトをするとすぐにオハイオ州から、バルバソルの会場である隣のケンタッキー州まで車を走らせました。その距離約500㎞。ノーマンが2mの厳しいボギーパットを沈め、プレーオフに持ち込んだことで、恋人の初優勝シーンにギリギリ間に合いました。兄のマーカスとともに3人のスウェーデン人が抱き合い、恋人同士のキスはとても微笑ましいものでした。

これだけ速いスピードで階段を駆け上がったケースは極めて稀だ

さて、彼のプロフィールを見ると、ブルックス・ケプカと同じフロリダ州立大出身とあります。ところがここに通ったのは実は1年だけ。4年間はジョージアサウスウエスタン州立大に通いました。同大はディビジョン2で、ゴルフ界ではあまり名前を聞きません。おそらくノーマンは高校卒業時、強豪校から声のかかる選手ではなかったのでしょう。

しかし大学に進んで腕を磨き、コロナ禍で7試合しかなかった19‐20年シーズンは5勝を挙げ、パーマーカップの選手にも選ばれました。そしてやはりコロナ禍で5年間試合に出場できるというNCAAの特別ルールにより、5年目をフロリダ州立大に移って戦い、ここでも1勝を挙げてオールアメリカンにも選出されたのです。

ボクがビンセントを取り上げた理由は、実はここにあります。ディビジョン2の大学出身で、プロで活躍する選手がいないわけではありません。ただ、これだけ速いスピードで階段を駆け上がったケースは極めて稀だからです。

大学5年目を終えてすぐにQスクール通過、翌年はコーンフェリーでトップ25に入りPGA昇格。そして今年、初優勝。ショットメーカーで、スタッツを見るとパット以外はすべてプラスです。恋人のフリダもフロリダ州立大出身。ただ2人が付き合い出したのはノーマンが転校する前のようです。

エリートたちのなかでもまれたフロリダ州立大での1年も大きな経験となったのでしょうが、ひとつ言えるのは、大学で着実に強くなり、花を咲かせたという事実。いずれにせよこの階段を駆け上がるスピードの速さは、今後注目する選手の一人であることは間違いありません。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月3日号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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