自分にとって"不足している性能"は何か、を考えてみよう
クラブフィッター小倉です。今年は人気の高いアイアンのモデルチェンジが多く、どれも高性能と高い評価を受けているものばかりです。アイアンの買い替えを検討されている方にとっては、悩ましい状況になっていることでしょう。私も様々なアイアンを打たせてもらいましたが、方向性が明確かつ、個性が際立つモデルが多いと感じています。
今回は、そんな多種多様なアイアンが増えてきたなかで、改めてアイアンの役割を考えてみました。アメリカでは、グリーンを狙うショットをすべて「アプローチショット」と呼ぶそうです。そもそも「アプローチ」とは接近とか、近づくという意味ですから、目標、カップがあるグリーンに向かって打つショットは、確かにすべて「アプローチショット」ですね。
前述の表現を使ってアイアンを表現すると、より正確な「アプローチショット」を打つためのクラブだと私は考えています。正確なアプローチとは、グリーンをとらえることはもちろん、いかにカップに近い位置でボールを止めることができるか、ということ。この正確なアプローチを実現させるモデルこそが、それぞれのゴルファーにとって結果の出る、やさしいアイアンであると思うのです。
そんな自分自身にとって”やさしい”アイアンを見つけ出すには、今の自分にどんな球質が必要なのかを明確にする必要があります。高さが必要なのか、スピン量なのか、飛距離なのか、ミスへの寛容性なのか、様々な項目のなかから、優先順位を整理し、現在の自分の球質にどの項目が強化されれば「アプローチ」の精度を高めることができるのかを知ることができれば、おのずと手に入れるべきアイアンが見えてきます。
最近は、弾道測定器付きの練習場が増えてきており、自身の弾道を分析することが比較的誰でもできるようになってきています。またフィッティングを行っている施設やメーカーも増えてきていますので、自身にとって足りないものを見つけ出すのは、決して難しくなくなりました。
そこまでスコアを追求せず、楽しくプレーすることを主眼に置いている方であれば、自身が気に入ったモデルを使うのが最も幸せになれると思います。しかしスコアを追求していくとなると、どうしてもこういったこだわりはある程度必要です。
グッドショット時だけでなく、ミスショット時の性能も考えるべきことだとは思いますが、まずは自身にとって不足している性能は何なのかを考えてみてください。
たとえば、飛距離が足りないと思うなら、飛び系やロフト角の立ったモデル 。スピン量が足りないと思うなら、マッスルバックなどのアスリートモデルに多いロフト角の立っていないモデル。 高さが足りないと思うなら、ロフト角のあまり立っていないキャビティモデル。 ミスへの寛容性が足りないと思うなら、ポケットキャビティや中空モデル 。という感じのモデルからアイアン選びをスタートし、実際に打ってみて、自身の求める性能を持っているか、イメージ通りの弾道が出るかどうかを確認してみましょう。
練習で補えるなら、それはそれでよいと思いますが、クラブによって補える部分があるのであれば、そういった道具の性能を生かした方が、絶対にゴルフはやさしくなるはずですよ!