大会初日午前のフォーサムマッチで4戦4勝と覆すのが不可能とも思えるリード（4-0）を奪った欧州チームは午後のフォアボールでも負けなしの1勝3分けで2.5ポイントを加算し、米チームの出鼻を挫いた。
キャプテンであるルーク・ドナルドのもとで、第44回ライダーカップを制した欧州チームメンバーたち（写真/Getty Images）
大会前の月曜日、ドナルドは選ばれし12名の選手にそれぞれの家族から幸運を祈る短いビデオを贈った。「彼らにとって大切な人たちだけを2分間のビデオにまとめました。愛する人たちのために戦う。それは我々がいつもこのゲームをプレーすることの理由ですから」。
「チームで話し合ったのはただお互いのためにプレーするのではなく自分にとって、自分にとってもっとも意味のある人たちのためにプレーすることが重要だということでした」とドナルド。
フォア・ザ・チームといっても個人競技のゴルフでは常にお互いがライバル。ライダーカップの間だけ結束しろといっても難しい。しかし考え方を変えフォア・ザ・ラブ・ワン、つまり愛する人たちのために戦うのだと選手に改めて気づかせることでドナルドは選手たちの心を掌握。ライダーカップを特別なものにしている理由をキャプテンは明確に示したのだ。
チームルームには12人の幼少期から現在に至るまでのフォトコレクションが飾られ、各選手のキャリアでもっとも輝いた瞬間を捉えたビデオが流されていた。
土曜日の朝にはヨーロッパチームにとって象徴的な意味を持つカリスマ、故セベ・バレステロスを讃える巨大な横断幕が1番ティー横のスタンドに飾られた。欧州勢が負け続けていた80年代、セベの登場で一気にライダーカップが変わった。情熱的なプレーでチームメイトを鼓舞、激励しアメリカ優勢の時代からヨーロッパ優勢の時代へと潮流を変化させた立役者はいまでも若い世代のインスピレーションになっている。
技術は互角。いや米チームの方が上回っていたかもしれない。しかしカップ奪還に懸ける熱い思いはヨーロッパが圧倒的に上回っていた。
キャプテンに決まっていたヘンリック・ステンソンがLIVに移籍したことで更迭され、短い準備期間しかなかった代役のドナルドがチームを勝利に導いた。
「明らかに何かが我々の心を突き動かしたのです。グループとして持っていた強い感情とエネルギー。僕らは信じられないくらい強い絆で結ばれていました」。最年長メンバー43歳のジャスティン・ローズはそういった。
ドナルドには次回のアメリカ大会でのキャプテン続投を願う声が広がっている。
