今夏、甲子園に出場する球児のサングラス着用が話題になった。ツアーで着用するプロゴルファーも多いが、アマチュアゴルファーはどうか。かける? かけない? 識者の意見と合わせて聞いた。
画像: 日本女子オープンで優勝し、女子ツアーでファッションリーダー的な存在でもある原英莉花。「眼がダメージを受けるから」と試合中にサングラス(オークリー)をかけていることが多い

日本女子オープンで優勝し、女子ツアーでファッションリーダー的な存在でもある原英莉花。「眼がダメージを受けるから」と試合中にサングラス(オークリー)をかけていることが多い

プロゴルファーはかけないほうがいい!?

●米国ではジュニア時代から必須アイテム

今、米国のスポーツ界ではサングラスは目を守るための重要なアイテムと認識されていて、特にジュニア時代から帽子とサングラスは必須アイテムとして推奨されています。ビーチなどでは、子どもに帽子+サングラスは半ば義務化されているほどです。

米プロツアーでもそのことは浸透していますが、プレー中はしない人がいるのも確かで、それは選手の判断に任されていますね。ただプレー中でも日の陰りや、ショットの状況でかけたり、外したりしていますが、プレー以外では100%といっていいほどかけています。タイガーもティーイングエリアに上がるまでしていたりとか……。

サングラス自体も数年前とは違って進化しています。以前は鼻と耳で支えるだけだったのが、現在では顔全体でぴったり支え、紫外線のほか、ゴミなども防ぎます。僕自身、若い時からサングラスをしないで取材してきたのがあだになったのか、右目が黄斑変性症(紫外線が原因の大きな要素とされる)になりました。早期発見で手当てはできたのですが、まだ見るものがゆがんでいます。サングラスで目の保護をしてこなかったことを悔やんでいます。(佐渡充高、テレビ解説者)

●偏光レンズのサングラスはマスト

グリーンの照り返しが軽減される偏光レンズのサングラスはもはやマストアイテム。視界がクッキリします。紫外線の悪影響が心配なので小学生の子ども用も買いました。アウトドアなどで喜んでかけています。( 40 代男性、東京都)

●試合では"邪魔"だからしない

実は僕は「翼状片」なので、ゴルフだけでなく日常生活でも屋外ではサングラス着用が必須なんです。翼状片とは白目(結膜)の部分が異常繁殖して、黒目(角膜) にかぶさるようになってしまう目の病気で、ほとんど乱視に進むといわれています。原因の多くは紫外線で、病気の進行を遅らせるには屋外でサングラスは絶対必要なんですが、ゴルフの試合のときだけはしてないんです。

練習中はかけますが、試合ではしない。"邪魔"だからです。スウィングだけでなく、汗が出ると、拭かなきゃ駄目だし、プレーに集中できません。またグリーン上などでは、レンズが湾曲しているために、平らなところが平らに見えないケースもあります。あと、僕らの世代はサングラスをすると、キザだと思われる風潮があったので、それも影響しているかも。だからシニアの試合ではしてない人が多いでしょう。

白内障の手術をすると、サングラスは手離せないといいますがね。僕は鼻筋の低い日本人にはサングラスは似合わないという先入観を持っていてフロリダのゴルフ場で働いた時、サングラスをしていなかったので発病したようです。あそこは紫外線強いですからね。この病気の人はかなりいて、芹澤信雄さんもそうだと聞いています。

最近は若い人、特に女子ツアーではサングラス姿は多く見ます。かけなくても帽子の上や後ろに引っ掛けたりして。これはコンタクトレンズを着けてる人が若い人に多いからではと思いますね。コンタクトを装着してると、紫外線がいっそうまぶしく感じます。サングラスをかけていれば、風が強い時にホコリなどを防ぐ効用もありますから。(タケ小山、テレビ解説者・プロゴルファー)

●グリーンに上がったらサングラスは外します

私自身は状況に応じてサングラスは使います。朝日や西日で斜光、逆光でまぶしい時などは必須ですね。天高く太陽が上がれば、日の強さ、雲に隠れたりといった状況によってかけたり外したりします。ただ、どんな時でもグリーンに上がったらサングラスは外します。陰ったり光ったりで形状を判断するので。ただ、かけるときもレンズの色は薄いものにしています。

若い時は濃い色でも平気だったのですが、加齢で視力が弱くなったからでしょうか、薄い色のほうがいい。ただ薄くてフレームのないタイプは"怖い人"に見えるので、必ずフレーム付きにしています。学生たちにはサングラスの着用は個人の判断に任せています。ルールにも、マナーにも学生ゴルフだからといって禁止条項はないので、プレー向上に役立つならどんどん着用してほしいです。

着用しているのは、男子より女子の方が多いと感じています。女子の方がコンタクト着用率が高いからではないでしょうか。ある大会で別の大学の若い監督が「マナー面でしないほうが……」と、学生に話していたのを聞いて「サングラスがマナーで云々はどこにも書かれてないし、個人の目の事情もあるのだから自由にさせていいのでは」と助言したことがあります。近年のような日差しの強さには健康面からいっても、したほうがいいと思います。芝やバンカーの砂からの照り返しは強烈です。(都内の大学ゴルフ部監督)

●パフォーマンスも上がる

普段は偏光レンズのものをかけています。フィット感も抜群でズレたりといった不快感はほぼない。パフォーマンスも上がると思います。でも、年上の取引先の方などと回るときは外すようにしています。生意気に見えてしまうかなと(笑)。( 30 代男性、神奈川県)

●サングラスをするのは、プロ意識に欠けている!?

サングラスがプロツアーで市民権を得たのは、僕が覚えている限り、宮里藍ちゃんからじゃないでしょうか。目を守る意識があったのでしょうね。僕らの時代はサングラスをする雰囲気ではありませんでした。現在のようにレンズも良くなかったですし、するにしても"ただの日除け"くらいの意識だったと思います。僕自身、目に何の支障もなかったので、かけない癖がついています。

米ツアーでは、タイガーもマキロイもしませんよね。ミケルソンはちょっと"いっちゃてる人"だから気にしないのかな(笑)。タイガーやマキロイはゴルフでお金を稼いでいるのだから、ギャラリーの前やテレビ中継ではしっかり顔を見せようと思っているのではないですかね。

心の動きは目に表れます。ギャラリーやテレビの視聴者はそれを見て勝負の行方に固唾を飲んで観戦できるわけです。サングラスをするのは、プロ意識……見てもらうという意識に欠けているのかなとも思いますね。(水巻善典、プロゴルファー)

●サングラスは冬こそ必須です

夏場はいいのですが、太陽の位置が低くなる冬、特に西日が差すとまぶしくて何も見えなくなってしまいます。ホールと時間帯によっては、サングラスをかけなければ狙い所さえ見えない状態。サングラスは冬こそ必須です。あとは風の強い日は、目を乾燥からも守ってくれると思います。( 70 代男性、千葉県)

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月10日号「山を動かす~ラウンド時、サングラス着用する?」より

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