1980年に第1回が開催されたスタンレーレディス。2003年からは現在の静岡県裾野市の東名CCを舞台とし、昨年からはスタンレーレディスホンダゴルフトーナメントに名称を変更。毎年、数々の名勝負・名場面が生み出されてきた“東名決戦”、今年はどんなドラマが生まれるか?
画像: 昨年優勝の小祝さくら、21年優勝の渋野日向子、20年優勝の稲見萌寧

昨年優勝の小祝さくら、21年優勝の渋野日向子、20年優勝の稲見萌寧

歴代優勝者は豪華な顔ぶれだ

スタンレーレディスは1994年から9年間中断されていたが、スタンレー電気が主催者となって女子ツアーを応援したいという強い思いから再開が検討され、関係各社が中部圏と関東圏に多かったことから、ちょうどその中間地点での開催を模索。東海道新幹線・三島駅が最寄り駅で、東名高速にも近いというアクセスの良さに加え、男子トーナメントを長らく開催した実績がある静岡県裾野市の東名カントリークラブに白羽の矢が立った。

2003年に東名CCで初めて開催されると、"東名高速”と呼ばれる高速グリーンに選手たちは大苦戦。だが、当時圧倒的な力を見せていた不動裕理が最終日に4打差を逆転しチャンピオンに輝くと、この年10勝を挙げ年間最多勝利の新記録を達成し、4年連続賞金女王への足掛かりとする。翌年も2日目に首位に立った宮里藍をかわして2連覇し、この年も賞金女王に。

不動のほかにも07年の上田桃子、15年のイ・ボミが、そしてアン・ソンジュは2度、今大会を制した年に賞金女王を獲得。古閑美保、稲見萌寧は、それぞれ翌々年、翌年に賞金女王に戴冠するなど飛躍のきっかけにもなっている。また有村智恵や渋野日向子、小祝さくらといった、実力と人気を兼ね備えた女子ツアーを代表する選手がトロフィを獲得している。

アマチュアが活躍するのもスタンレーレディスの特徴。04年には当時14歳だった宮里美香が初日トップタイでスタート。16年には4位タイに畑岡奈紗、7位タイに勝みなみとアマ2人がトップ10入り。21年には佐藤心結が首位タイに並びプレーオフまで進み、敗れはしたもののアマ優勝まであと一歩に迫るなど、この大会で活躍した後にプロになり、再び東名の舞台に戻ってくる選手も多い。

2012年までは7月開催だったが、13年から10月開催に変更されると、今や初秋の風物詩ともいえる大会になった。その盛り上がりに比例するかのように、この20年間で賞金総額は6000万円から1億2000万円に倍増。多くのトップ選手が集い、年間女王争いやシード権の行方を占う意味でも重要な試合となっている。

大会初制覇を狙うホストプロたち

今大会では7選手がホストプロを務める。岩井姉妹に菅沼菜々と今季好調な選手も多く、笹生優花は久しぶりの国内女子ツアー出場。昨年12月にティーチングプロの資格を取った三浦桃香は4年ぶりのレギュラーツアー出場となる。

画像: 2人で今季5勝の岩井明愛・千怜姉妹(21歳)、3年ぶり出場の笹生優花(22歳)、ホストプロとして参戦の三浦桃香(24歳)

2人で今季5勝の岩井明愛・千怜姉妹(21歳)、3年ぶり出場の笹生優花(22歳)、ホストプロとして参戦の三浦桃香(24歳)

Honda所属の岩井姉妹。姉・明愛は4月に初優勝を挙げると東海クラシック、ミヤギテレビ杯で2週連続完全優勝。妹・千怜は今季2勝。東名CCで行われる、ゴルフダイジェスト・ジャパンジュニアカップで3連覇するなどコースとの相性は抜群だ。

笹生優花は7カ月ぶりの国内参戦。3月のTポイント×ENEOSで2位。全米女子プロでは優勝争いを繰り広げ、単独2位。Hondaとは22年にスポンサー契約を結び、スタンレーレディスは20年大会で12位タイになって以来、3年ぶりの出場になる。

三浦桃香はスタンレー電気契約。19年大会で13位タイに入って以来、4年ぶりのレギュラーツアー出場となる三浦。昨年12月にLPGAティーチングA級を取得し、LPGA会員としては初の参戦となる。ホストプロとして試合を盛り上げてくれるはずだ。

画像: 今季初優勝を果たした菅沼菜々(23歳)、2012年優勝の斉藤愛璃(33歳)、若手の台頭の一矢を報いたい金田久美子(34歳)

今季初優勝を果たした菅沼菜々(23歳)、2012年優勝の斉藤愛璃(33歳)、若手の台頭の一矢を報いたい金田久美子(34歳)

菅沼菜々は今季開幕前にスタンレー電気とスポンサー契約を締結。8月には念願の初優勝も果たして勢いに乗る。昨年大会は1打差の2位タイと苦杯をなめたが、ホストプロとして臨む初の大会で一皮むけた姿を見せられるか!?

スタンレー電気契約の斉藤愛璃。12年の開幕戦で初優勝を飾ってから、はや11年。近年はステップ・アップ・ツアーを主戦場とし、今季レギュラーツアーでは出場⓸試合ですべて予選落ちだが、ここ3年で予選通過したのが、すべてこの大会と相性がいい。

金田久美子は2014年にスタンレー電気所属となってから今年で節目の10年目。昨年10月の三菱電機レディスで11年ぶりに優勝を果たしシードに返り咲いたが、スタンレーレディスでは15年の22位タイが最高位。今年こそ上位を狙う。

「ダイヤモンドカット」でフェアなコンディションに!

スタンレーレディスホンダの舞台となる東名CCは”東名高速”と呼ばれる高速グリーンに定評があるが、フェアウェイの手入れにも相当なこだわりがある。それが「ダイヤモンドカット」。しま模様の「ゼブラカット」は縦方向に交互に刈り込んでいくが、ダイヤモンドカットは斜め方向に交差するように刈り込むため、「ゼブラカット」よりも倍以上手間がかかるはずだが、なぜこの刈り方にこだわるのか。

画像: 「ゼブラカット」よりも倍以上の手間がかかる「ダイヤモンドカット」。見た目が美しいだけでなく、芝の目を消し合うためにランが良く出る

「ゼブラカット」よりも倍以上の手間がかかる「ダイヤモンドカット」。見た目が美しいだけでなく、芝の目を消し合うためにランが良く出る

「もちろん、見た目に美しいことがひとつの理由ではありますが、もうひとつ、大きな理由があって、それは芝のクセをなくすことなんです。ゼブラカットだとどうしても芝にクセが出て、芝が波立ってしまいます。1回クセができてしまうと、逆から刈ってもシーズン中は、そのクセが収まることはありません。それをどうにかできないかと考え、ダイヤモンドカットを採用したところムラのないフェアウェイになりました。ボールがよく転がるし、不運な転がり方をしないのでプレーヤーにとってはフェアな状態なんです」(東名CCグリーンキーパー・勝又政一さん)

ティーイングエリアからグリーンまで往復するように刈る「ゼブラカット」は、グリーン方向に刈ると順目で白く、ティーイングエリアに向かって刈ると逆目で黒くなるため、しましまに見える。だが順目と逆目の境界線では芝が波立ってしまいクラブが突っかかりやすくなる。そこでフェアウェイを斜めに横切るように交互に刈り込むのが「ダイヤモンドカット」。この方法だと、順目と逆目の互いのクセを打ち消して、滑らかで転がりのいいフェアウェイに仕上げることができ、どこからでも打ちやすい状況になる。

今年も極上のフェアウェイに仕上げられた東名CCで、スタンレーレディスホンダは明日10月6日に開幕する。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月17日号「今週開幕、スタンレーレディスホンダ。富士の麓で頂上対決!」より

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