LIVゴルフの出現でゴルフ界賞金高騰傾向が続いている。ひところ前は優勝賞金1億円と聞くとワオ! と思ったものだが最近は2億、3億、4億と聞いても驚かなくなった。それでも予選落ちすれば賞金はゼロ。稼ぐためには経費を捻出しなければならず、予選落ちが続けば経済状況は苦しくなる。22-23年シーズンのツアールーキーでポイントランク63位のベン・グリフィンがお金の話をTikTokで赤裸々に告白し話題になっている。

先週ライダーカップに出場した選手たちは全員プライベートジェットでイタリア(ローマ)に飛び、欧州チームとの対戦に挑んだ。

しかし普段からプライベートジェットで移動する選手ばかりではない。27歳のグリフィンは「それ(プライベートジェット)が日常の選手もいるけれど僕らは自分でフライトを手配し、できるだけ経費を節約し、お金を賢く使う模索しています」という。

倹約家の彼をもってしてもツアーを転戦するには「1週間最低でも6000ドルかかる」というから、週に90万円近くの出費を覚悟しなければならず、それがハワイやペブルビーチなど高級リゾートならさらに出費はかさむという。

画像: 2022-23シーズンからPGAツアーに参戦したベン・グリフィンが、ツアー転戦の費用について語った(写真/Getty Images)

2022-23シーズンからPGAツアーに参戦したベン・グリフィンが、ツアー転戦の費用について語った(写真/Getty Images)

移動にかかる航空券代、ホテル代、キャディへの支払いやコースへの支払い、食事代などなど。コーチやトレーナーが同行すればその費用も選手が負担することになる。幸いツアーは今シーズンはじめて15試合以上出場した選手に対して年間50万ドル(約7000万円)を最低保証することになった。

31試合に出場したグリフィンの場合、合計20万ドルかかっていた経費はツアーの最低保証でカバーされることになった。

めでたし、めでたし? いや、そうともいえない。じつは彼、わずか2年前にミニツアーを転戦していたときバーンアウト(燃え尽き症候群)した経験を持つ。「このまま続けてもPGAツアーに出られる希望はない。ゴルフに対するモチベーションも愛情もすべて失ってしまった」。

「15000ドル(約200万円)のクレジットカードのローンを抱えてプレーするストレスが苦痛になってゴルフを辞めました。そして住宅ローンの担当者として働き始めたのです」

会社勤めをはじめてから1カ月はまったくクラブを触らなかった。しかしある朝、自宅を出た彼は「うっかり会社ではなくゴルフ場に車で行ってしまった」。そんなとき知り合いからあるイベントに招待され出場したことで転機が訪れる。

その大会で65をマークしコーンフェリーツアー(下部ツアー)への出場権を獲得すると、友人たちが「Qスクール(予選会)までの費用をサポートしてくれることになったのです」。金銭的な不安から開放され再びゴルフに対する情熱を取り戻した彼は、会社を辞めQスクールに挑戦。22年には同ツアーで3度2位に入りPGAツアー昇格を果たしたのだ。

「PGAツアーは我々プロゴルファーにとって最高の場所。ゴルフ以外の場所を見てきた自分にとっては素晴らしいところです」

しかし華やかな舞台がいつ暗転するかわからない。そうならないようグリフィンは「ここに立ち続けたい」と必死の戦いを続けている。

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