昨年の日本オープンで歴史的なアマチュア優勝を飾った蟬川泰果や先週のABEMAツアーでアマチュア優勝した清水蔵之介ら、プロの試合で活躍する学生アマたちが増えている。そこで今週日本オープンに出場する日本アマ覇者の中野麟太朗や鵜瀬璃久ら、期待の大学生ゴルファー7人を紹介しよう! 彼らのスウィングは、多くのアマチュアゴルファーたちを見てきた武市悦宏プロが解説する。
画像: 今年の日本アマ覇者で今週開催の日本オープンに出場する早稲田大学2年の中野麟太朗。主な戦績:2021年全国高校ゴルフ選手権優勝、2023年日本学生2位、2023年フジサンケイクラシック15タイ位など

今年の日本アマ覇者で今週開催の日本オープンに出場する早稲田大学2年の中野麟太朗。主な戦績:2021年全国高校ゴルフ選手権優勝、2023年日本学生2位、2023年フジサンケイクラシック15タイ位など

日本アマ覇者で日本オープン出場! 中野麟太朗(早稲田大学2年)

ゴルフを始めたきっかけは父が読んでいたゴルフ漫画が面白かったからです。何でかわかりませんが、トイレに置いてあって(笑)。よく読んでいたのは『黄金のラフ』『DAN DOH!!』『KING GOLF』ですね。いまでも『KING GOLF』は見ますよ。小学校3年か4年で競技を始めて、ゴルフにハマりました。

もともとはドローというかフッカーだったのですが、このままでは上手くなれないと感じて高校2年くらいのスウィング改造しているときに八王子CCのメンバーさんに坂詰和久コーチを紹介されました。そこからフェードに修正して、もうフェードしか勝たんですね(笑) 

画像: 「早稲田は部活だからといって、基本授業を休めないんです。だから効率を考えて練習します。足りないウェ イトは監督の斉野恵康さんと考えながら鍛えています」(中野)

「早稲田は部活だからといって、基本授業を休めないんです。だから効率を考えて練習します。足りないウェ
イトは監督の斉野恵康さんと考えながら鍛えています」(中野)

日本アマには勝ちましたが、まだまだ足りないことが多くて、とくに体力面(ウェイトトレーニング)ができていないと感じます。中島啓太さんの体つきを見ると自分は本当にまだまだだなと思います。あとは食ですね。昨年の日本学生で蟬川泰果さんと一緒になったときに食べ物の話を聞いたら、すごくストイックで。遠征では外食をするものの、カップ麺で十分と思っちゃうんですが、それもあまり良くないかなと思ってきました。

画像: 「トップで右の肩甲骨が背骨に寄るのは、軸がブレずにしっかり回転できている証拠。またトップが浅いように見えますが、背中がここまで見えているので十分回っていて飛んで曲がらないスウィング」(武市)

「トップで右の肩甲骨が背骨に寄るのは、軸がブレずにしっかり回転できている証拠。またトップが浅いように見えますが、背中がここまで見えているので十分回っていて飛んで曲がらないスウィング」(武市)

憧れはスウィングも似ていて世界一のジョン・ラームと石川遼さんです。遼さん主催の大会がきっかけでレギュラーツアーに出られましたし、プロの最前線で10代からやってきている人なので。そのレベルまで行きたいですね。(中野)

日本アマ2位&日本オープン出場! 鵜瀬璃久(帝京大学4年)

画像: 鵜瀬璃久(うのせ・りく)は練習器具集めが趣味のひとつ。「お気に入りは『三角先生』。これしか勝たんです!」(鵜瀬)。主な戦績:2023年日本アマ2位

鵜瀬璃久(うのせ・りく)は練習器具集めが趣味のひとつ。「お気に入りは『三角先生』。これしか勝たんです!」(鵜瀬)。主な戦績:2023年日本アマ2位

関東学生ゴルフ連盟に入ったのですが、大学1年時にQTを受けたことで、その資格がなくなって……。とはいえ、大学ゴルフ部には所属していて、自分の練習をしながら部員に教えてって感じです。試合勘はホームコース(JGM笠間)の月例や関東ゴルフ連盟が主催する大会などで養っています。 

画像: 「ローテーションが多いのでイマドキのスウィングとはいえないですね。ただ、左ひじと下半身の使い方が上手で近藤智弘さんっぽい。天才肌だと思うし、僕の好きなタイプ」(武市プロ)

「ローテーションが多いのでイマドキのスウィングとはいえないですね。ただ、左ひじと下半身の使い方が上手で近藤智弘さんっぽい。天才肌だと思うし、僕の好きなタイプ」(武市プロ)

趣味はゴルフ関係が多く、練習器具を集めたり、プロのスウィングを見たりですね。だいたいゴルフのことを考えているので『自分はゴルフジャンキーだな』って思っています(笑)。

好きなスウィングはトミー・フリートウッドとラスムス・ホイガード。フリートウッドは猫背の感じが自分と似てるのも理由のひとつです。(鵜瀬)

山下美夢有の弟、山下勝将(近畿大学3年)

画像: 2022年シーズン、圧倒的な強さで年間女王に輝いた山下美夢有は1歳年上の姉。勝将(まさゆき)の主な戦績:2022年ダンロップフェニックス・チャレンジinふくしま優勝、2023年日本アマ9位、2023年日本学生9位タイなど

2022年シーズン、圧倒的な強さで年間女王に輝いた山下美夢有は1歳年上の姉。勝将(まさゆき)の主な戦績:2022年ダンロップフェニックス・チャレンジinふくしま優勝、2023年日本アマ9位、2023年日本学生9位タイなど

父のゴルフ練習に姉と僕が付いて行き、姉が『やりたい』と言ったので、『僕も一緒に』という感じで始めました。姉は小さい頃から熱心で父に『どうすればいいか』と聞いて上達していったのですが、僕はそれほどではなかったので姉の後ろで見よう見まねで練習していました(笑)。

画像: 「小さな体(163㎝)で飛ばすにはフェースローテーションが必要で、山下くんはそれが抜群に上手。あとダウンスウィングでお尻が下がりガニ股になるのも飛ぶ形。よく考えられている」(武市プロ)

「小さな体(163㎝)で飛ばすにはフェースローテーションが必要で、山下くんはそれが抜群に上手。あとダウンスウィングでお尻が下がりガニ股になるのも飛ぶ形。よく考えられている」(武市プロ)

高校までそんな感じだったのですが、大学では真剣にやろうと思い、父に師事したらだんだん上手くなって。昨年にABEMAツアーで勝てたのも父の教えのおかげだと思います。タイガー・ウッズの人を沸かせるプレーが魅力的で、そういったプレーができるプロになりたいです。課題はショートゲームでグリーンからこぼれたときにパーを必ず拾えるようになりたいです。(山下)

岩井ツインズの弟、岩井光太(日本大学1年)

画像: 史上初の双子ツアー優勝を達成した明愛、千怜を姉に持つ光太。「トレーニングとかも一緒にしますし仲いいですね」と光太。主な戦績:2023年日本アマ4位タイ、2023年関東アマ優勝など

史上初の双子ツアー優勝を達成した明愛、千怜を姉に持つ光太。「トレーニングとかも一緒にしますし仲いいですね」と光太。主な戦績:2023年日本アマ4位タイ、2023年関東アマ優勝など

日大の練習量や練習に対する姿勢を見ると、自分もやらないとなって思っていつも刺激を受けています。だいたい練習は毎日2時間ちょっとと、ウェイトトレーニングで、土日にラウンドって感じです。まだ1年ですが、学生で獲れるタイトルはできる限り獲りたくて、日本アマ、日本学生、あとはアジアアマも勝ってマスターズに行ってみたいですね。 

画像: 「高校時代に取材したときから推しだけど、スウィングがさらに洗練されたね。フェースローテーションが少ないイマドキのスウィングでインパクトはまさにマキロイ!」(武市プロ)

「高校時代に取材したときから推しだけど、スウィングがさらに洗練されたね。フェースローテーションが少ないイマドキのスウィングでインパクトはまさにマキロイ!」(武市プロ)

プロで憧れているのはマキロイ。スウィングもそうなんですが、ファン対応とかも礼儀正しくて、めちゃめちゃカッコいいと思いますし、ああいう選手になりたいです。姉たちとの関係は昔と変わらなくて、特にゴルフの話はしないんですが、会うとくだらない話をずっとしています(笑)。(岩井)

岩井姉妹の次は福住ツインズ!? 福住将&修(専修大学3年)

画像: 右から兄の将(しょう)と弟の修(しゅう)。兄の主な戦績:2023年日本アマ50位タイ、2021年四国アマ5位など。弟の主な戦績:2022年日本学生ゴルフ王座決定戦優勝、2022年日本アマ5位タイ、2023年日本学生14位タイなど

右から兄の将(しょう)と弟の修(しゅう)。兄の主な戦績:2023年日本アマ50位タイ、2021年四国アマ5位など。弟の主な戦績:2022年日本学生ゴルフ王座決定戦優勝、2022年日本アマ5位タイ、2023年日本学生14位タイなど

中学高校と出身の神奈川から高知・明徳義塾へ越境した双子の兄弟。そして、大学は出身の神奈川に戻ってきた。そのことを尋ねると、

「中高と高知・明徳義塾の寮生活で、親から『大学は近くにいて』と言われたこともあり、強くて家から通える専修大学に」と将が言えば、修は「親の話もありますが、それ以上に明徳義塾の一学年上に岡田晃平さん(東北福祉大)がいて。岡田さんに勝つためには同じ環境ではダメだと思ったんです」と話す。 

画像: 「修くん(左)のようにここまで手が体の近くを通るスウィングは久しぶりに見ました。手元が近いとスウィングの回転スピードが上がるので飛ぶんです。また将くんはフェースローテーションが少ない、叩けるインパクトで高い球が好きそう」(武市プロ)

「修くん(左)のようにここまで手が体の近くを通るスウィングは久しぶりに見ました。手元が近いとスウィングの回転スピードが上がるので飛ぶんです。また将くんはフェースローテーションが少ない、叩けるインパクトで高い球が好きそう」(武市プロ)

また、取材していると、やはり将は兄、修は弟だなと感じることが多々ある。話の聞き方も真逆で、しっかり頭で考えて話す将と、会話のキャッチボールを楽しむ修という感じだ。彼らにそれぞれについて聞くと、

「修は一番身近なライバルですが、やっぱり弟なんですよね。いい意味でワガママなんですが、憎めなくて。修がいるから負けじと頑張れる、いい関係です」(兄・将)

「頭の片隅に絶対に将がいて、『将がこれくらいやるなら僕はそれ以上やろう』って思う。自分にとって基準ですね」(弟・修)

21&22年GDジュニアカップ連覇! 新井龍紀(中部学院大学1年)

画像: 『ピンG425 LST』の1Wを手にする新井龍紀(たつのり)は「直ドラは低弾道で風に負けないし、左が消せるのもメリット」という。主な戦績:2023年日本アマ18位タイ、2021年・2022年中部ジュニア優勝、2021&2022年GDジュニアカップ優勝など

『ピンG425 LST』の1Wを手にする新井龍紀(たつのり)は「直ドラは低弾道で風に負けないし、左が消せるのもメリット」という。主な戦績:2023年日本アマ18位タイ、2021年・2022年中部ジュニア優勝、2021&2022年GDジュニアカップ優勝など

兄(新井隆一プロ)がゴルフをしていたので小1のときに僕も始めました。なぜかわからないけど、家から2番目に近い練習場で週3~4回、兄と練習が習慣でした。小3から近くのゴルフ5のスクールに通い始めて、いまもそこのプロに教わっています。

画像: 「バックスウィングで右に向かず軸のなかで収まってるのはロスしていない証拠。バックスウィングとフォローの手の形が左右対称でフェースコントロールが上手いね」(武市)

「バックスウィングで右に向かず軸のなかで収まってるのはロスしていない証拠。バックスウィングとフォローの手の形が左右対称でフェースコントロールが上手いね」(武市)

得意クラブは9番アイアン。王子ゴルフガーデン春日井のターゲットグリーンが当時、ちょうど9番の距離で、そこに乗せようと思ってずっと9番しか打たなくて(笑)。いつの間にか得意クラブになりました。タイガー・ウッズのスウィングはカッコ良くて憧れます。(新井)

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、ARAKISHIN、Hiroaki Arihara、Shinji Osawa 、Tadashi Anezaki

THANKS/よみうりゴルフガーデン、アコーディア・ガーデン東京ベイ、王子ゴルフガーデン春日井

※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月12日号「ネクストヒーローを青田買い」より

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