紫外線アレルギーでトーナメントから撤退
黄金世代の一角としてジュニア時代から頭角を現していた三浦桃香。現在は消滅した単年登録制度でQTを突破し、2018年〜19年シーズンはレギュラーツアーをフル参戦した。持ち前の飛距離を活かし、明るいプレースタイルでひときわスター性を感じる選手だった。
しかし、紫外線アレルギーによる体調不良によりツアーから撤退。最後の女子ツアー出場が2019年のスタンレーレディス(13位タイ)だった。
ツアー撤退後はティーチングプロ資格を取得。現在は、レッスンをメインに、メディア出演やイベントなどで幅広く活動している。ティーチングプロの実技講習で「65」をマークするなどその実力は今でも健在だ。
「レッスンを受けていただいているお客様から、また試合でプレーしているところを見たいという声をたくさんいただいた」のが、試合出場を決めた理由だという。現在、JLPGAティーチングプロが推薦等で可能な出場数はレギュラーツアーで3試合と規定されている。今回はホステスプロとして、この推薦枠で出場したかたちだ。
ツアー撤退の原因となった紫外線アレルギーは完治したわけではなく、普段から日光を浴びすぎないように注意して生活しているという。夏場はプレーをなるべく控え、日傘をさしながらレッスンを行っている。食事や他の面でも注意することは多く、プロアスリートとしては、決して万全ではない状態だ。
4年ぶりのレギュラーツアーで躍動!
三浦はこの試合に先立って、ステップアップツアーのSkyレディースABC杯(9月26日〜9月29日)に出場、予選落ちを喫している。「ひさびさのツアー出場で、緊張感を自分で作ってしまっていたかも」と三浦は言う。
スタンレーレディスホンダでは初日から一進一退。序盤はショットがなかなか安定せず、フィニッシュでクラブを放すシーンも多かったが、アプローチとパッティングでしのぎ、後半の盛り返しにつなげた。ボギーが先行したものの、後半の15番16番は連続バーディーで、駆けつけた大勢のギャラリーを沸かせた。
予選通過がかかった2日目は、前半4バーディーと猛チャージして、上位進出もあるかと思わせた。後半は落としてしまったものの通算2アンダー。見事予選通過を果たした。
最終日は上位陣も苦戦するほどの厳しいピン位置ということもあって、スコアを落としてしまったが、4年のブランクがありながら、堂々としたプレーぶりにファンの間からは称賛する声が多かった。
「最後かもしれないと思ったから、思い切って攻めた」
ひさびさのツアー出場を振り返ってみての感想を聞くと「まず一番に言えるのは、楽しかったです。この3年余りはレッスンを受けていただくお客様のためにゴルフをしていましたが、本当にひさしぶりに自分のためにプレーしました。いつもと違って、ギャラリーのみなさんに応援されながらプレーする感覚を思い出しました」。
現在はレッスンやメディア出演で多忙の三浦。「仕事を入れすぎてたのも良くなかったんですが、日中はレッスンなどで埋まることが多いので、夜に食事を作ってから、深夜に練習場に行ったりしていました」という。
「練習量が確保できないので、ドライバーと試合で残りそうな距離を集中して練習したのですが、その成果が上手く出たかなと思います。寝る間も惜しんで練習したという経験は初めてでした」
最終日はスコアを落としたが、それは「思いっきりピンを攻めるゴルフを貫いた」結果だ。
「疲れはないんですけど。ひょっとしたら試合出場するのも最後になるかもしれないので。最終日は思いっきりピンを攻めるゴルフを貫きたいと思いました。もし、最後のラウンドを守って中途半端なスコアで終わったりすると、後で悔いが残ると思うので。パッティングもタッチを合わせにいった予選ラウンドとは違って、強めに狙いました」
また、ティーチングプロでの経験で「無理しないゴルフが上手くなったと思います」という。
「お客様には、難しいショットのときは刻みましょう、とレッスンしていたので、自分もそれが出来るようになりました。4~5年前にツアーに出ていたころの自分は、怖いもの知らずで若いゴルフをしていました。バーディーも取れるのにダボも多い選手で、そのときに比べると、今週は大人のゴルフが出来た気がします。大人になりました(笑)」
思えばツアー参戦当時の三浦は飛ばし屋のイメージがあった。本人は「あの頃は、飛ばないともったいないと思ってて(笑)」と当時を振り返る。
「ツアーでは上手い人はたくさんいるので、飛距離だけでも誇れるものがあれば、見てもらえるんじゃないかと考えていました。飛ばないと三浦桃香じゃない、と自分でも思ってましたね」
久々のツアー、緊張感のある試合を経験したことで、今後のレッスンにも「役立ちそうです」と三浦。
「普段は全く緊張しないゴルフをしていたので、今回の2試合ではゴルフならではの緊張感を味わいました。今までも緊張する人に色んなアドバイスをしたんですけど、やっぱり、そう簡単にはいかない緊張がゴルフにはあるなあと。今回、レッスン生の皆さんが大勢ギャラリーにきてくれたんですけど、試合であのときはこう考えてこうだったよ、みたいな話がしたいですね」
気になる今後の試合出場は?
気になる今後の試合出場だが、全くの未定とのこと。今回の結果で推薦出場も十分可能だろうが、試合中に左親指をケガしてしまったこともあり、当面はゴルフ自体の予定もないという。
プロテストに合格していない三浦が、ツアーに出るためには推薦出場か、QTを受験して上位にくることが必要。昨年、規約が改定になりティーチングプロ資格を持つ選手がQTを受けるには「JLPGAツアーの競技優勝1回以上の者及び、トーナメント事業部が別途定める基準を満たした者」となった。
別途定める基準とは、具体的にはティーチングプロ会員のための競技会で上位にくること。そのハードルは三浦にとってはそう高くなさそうだが、紫外線アレルギーへの影響を考慮し、今年の夏に開催された競技会には出場しなかった。
今回の戦いぶりを見ると、また試合で躍動する姿を見たいファンも多いだろうが、多くのレッスン生を抱えて多忙を極めていることもあり、今後のツアー参戦はかなり難しそうだ。
しかし、選手としても実力と魅力を備えているだけに、いつかまた、スポットでも試合出場があることを望みたいものだ。