練習はしているけれど、スコアはそこそこレベルで停滞。「伸び悩み中」というゴルファーは少なくないだろう。そういう人のマンネリ打破に効くのが競技ゴルフ。トップアマたちの経験談を聞いてみた。 
画像: 全日本ミッドアマチュアゴルファーズ選手権の一コマ(写真はイメージ)

全日本ミッドアマチュアゴルファーズ選手権の一コマ(写真はイメージ)

競技の経験を積み重ねることがゴルフライフにも日常生活にも糧になる

◆競技ゴルファー①大橋武広さん(52)=HC1.8、会社経営、東京都

クラブの月例が競技デビューです。普段のラウンドとはこんなに違うのかと驚きました。

普段回っているコースなのにブラックティーからだと景色が違うんです。ほんの10ヤードの違いでも、普段と違うマネジメントが求められるし、もちろん技術も求められます。

最初はカチコチでしたが、それが楽しみに変わっていくんです。年に一度のクラブ選手権の前は気もそぞろになるくらい(笑)。

その後、ほかのクラブの選手権や全国規模の大会にも出るようになり、私はだいぶ慣れましたが、経験が少ないうちは緊張で普段できることができなくなるのは当たり前ですよ。

スタート前のボール確認にボールを忘れて取りに戻るとか、人のラインを踏むとか。

あと、競技のスコアカードは普通の4人用のものとは違うんです。自分がマーカーになった人のスコアを書いて、自分のスコアはたいてい別に書くところがあるんですが、つい自分のスコアを書いちゃう人、けっこういます。

あと、マークする人を間違えていたり。緊張のあまり、書いていないホールがあったり、INとOUTを間違ったり。いつもならあり得ないようなことも起こっちゃう。

でも、そんな経験を積み重ねることがゴルフライフにも日常生活にも糧になると思います。

もちろん上手な方が多いので、自身の上達にもつながりますし。あと、スタートの時、競技にもよりますが、競技委員さんが名前と簡単なプロフィールを紹介してくれることもあります。「大橋武広選手。〇年のクラブチャンピオンです」とか。

プロゴルファーになったみたいでちょっとうれしい(笑)。 

初めて競技に出るという方へのアドバイスとしては、まず同伴者とコミュニケーションを取ることですかね。

「わからないことも多いのでよろしくお願いします」と最初に言っておけば、みんな気にかけてくれます。

わからないまま自己流でやっちゃうというのは良くない。これは仕事でも同じことですよね。

ただ、ボールの救済など基本的なルールは把握しておかないと。プラス、ローカルルールもありますからね。そして、笑顔。一緒にラウンドしてニコリともせず、カートにも乗らず一人だけで歩いて行く……そんなタイプの人もいるんですけど、それだと競技仲間ができて人脈が広がったり、上達につながったりというのも少なそう。 

競技初心者におすすめなのはダブルスかな。スクランブルは4人全員が仲間なので緊張感は少なめ。ダブルスは程よい緊張感があります。 

「上達したい」という人には競技はおすすめ

◆競技ゴルファー②佐藤昭彦さん(52)=HC0、会社員、静岡県

ゴルフを始めたのは25歳くらい。仕事関係のお付き合いのためでした。

35歳で初めて会員権を買い、月例で競技デビューしました。クラブ競技を通じて、競技でしか味わえない一打を競う緊張感にのめり込むようになりました。

45歳ごろから自分への挑戦の意味も込めて、市や県の競技会や研修会にも参加するようになりました。そして数年前からパブリックアマチュアゴルファーズ選手権や、全国につながるようなアマチュア競技会に出るようになりました。

いろいろなコースでのいろいろなプレーヤーとの出会いも楽しく、上手な人のプレーやマネジメントは見ていてとても参考になります。

県や全国へと挑み、悔しい思いもしてきましたが、その積み重ねによって3年前には念願のクラブチャンピオンになりました。

「上達したい」という人には競技はおすすめです。

ホームコースの競技会なら顔なじみの人も多いですし、県アマなども地元の人が多いので比較的気軽にチャレンジできると思います。注意点としては、慎重になりすぎてのスロープレーでしょうか? 

基本的なルールは事前勉強が必要ですが、もしわからなかったら素直に聞けばいいと思います。

教えてくれないような競技者はいませんので(笑)。楽しくも真剣にゴルフをエンジョイしてほしいですね。

ゴルフの試合はピアノの発表会のようなもの

◆アマチュアが競技に出るのをすすめる理由(プロコーチ・井上透)

競技に出るの、もちろんおすすめです。大会をピアノの発表会だと思ったらわかりやすいです。

その日にベストパフォーマンスを発揮するため、まずは努力をするでしょう。人間ってやはり披露する場がないと、モチベーションが上がらないものです。

そして、その日にベストを持っていけるようコンディションを合わせることを覚える。

情報過多になっている自分のゴルフに何が必要ないか、削る作業ができるようになるんです。

そのためには今の自分のゴルフとしっかり向き合う必要があるんですが、普段はいかに引き出しを増やそうかと考えてしまいがちで、意外とできないんですよね。

でも、試合というターゲットがあると定期的にそれをすることになる。

もちろん、上達志向の人が集まる場なので、技術面で参考になることも多々ありますし、プレッシャーだって普段のゴルフとは比べ物になりません。

しかし、それでゴルフがステップアップすることは確かです。 

大会の選び方としては、その大会の過去の結果を調べ、自分のスコアで真ん中に入れるかな、くらいのレベルの大会がいいと思います。

たとえば、地元の県アマなどならエリアのコミュニティが広がりますし、年齢がシニアなら、シニア大会を選ぶと同年代のコミュニティも広がる。

人間関係が広がるのも競技に出場する醍醐味ですね。ダブルスやスクランブルもいいと思います。

スクランブルだとかなり気楽で、普段のラウンドと近いと思いますが、それでもゴルフを団体戦ととらえるとまた視野が広がります。(後編へ続く)

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月17日号「トップアマに聞いた競技ゴルフその魅力」より

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