日本のシニア界にまた1人、日本勢にとって強敵となるタイ人が現れた。タイといえば、P・マークセンが国内シニア界に数々の記録を打ち立てているが、今年の日本プロゴルフシニア選手権を制したT・スリロットもまた暴れまわる予感だ。
画像: 10アンダーで日本プロシニアを制したT・スリロット(写真提供/日本プロゴルフ協会)

10アンダーで日本プロシニアを制したT・スリロット(写真提供/日本プロゴルフ協会)

SINGHAの支援と4日間ローカルツアーの存在が大きい

スリロットは8歳でゴルフを始め、タイのナショナルチームに選抜されるなど、アマ時代から注目を集める存在だった。プロ転向後はアジアンツアーで5勝を挙げ、00年代前半には日本ツアーで3年間シード選手として活躍。その後は母国のツアーで活動。

19年に日本シニアツアーへの参戦を目指し、49歳を迎えた翌年には日本のプロテストを受験。無事合格を果たしたが、コロナ禍の影響により2年ほど来日できず、予選会にも出場できずにいた。

その後ようやく来日が叶うも、今年3月の最終予選会では56位という成績。通常の試合は予選会の20位前後までしか出場できないが、同大会は参加人数が多かった(120人)ことから出場優先順位が降りてきたというわけだ。

ところで今回の大会は、タイ出身の選手が4人いたが、いずれも「SINGHA(シンハー)」の刺繍がウェアにあった。シンハーはタイを代表するビール会社だが、実はこの会社がタイのゴルファーを強くしたといえよう。

スリロットと仲がよく、自身もタイ語が堪能な塚田好宣によると、「シンハーはスポーツ、特にゴルフの支援に積極的で、契約選手には月給が支払われるうえ、トップ選手は遠征費も補助されます。この支援がタイ選手を育てたことは間違いありません」。

もう1つ、塚田が挙げるのはローカルツアーの存在。年間10試合以上がそれぞれ2つの組織で行われ、4日間を戦い抜く。日本の下部ツアーは4日間競技がほとんどないことに対し、タイでは下積み時代からこれを経験できる。この2つがタイを強くしていると塚田は分析する。恐るべしタイ勢……。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月31日号「バック9」より

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