グリッププレッシャーは「ミディアム」。その力加減をずっとキープすることが大事だよ
父はドイツ人とフランス人のハーフ、母は日本育ちの台湾人という多様なルーツを持つシャウフェレ。現在も祖父母は渋谷在住ということもあり、日本に対して強い愛着を持っている選手のひとりだ。東京2020オリンピックでの金メダル獲得は記憶に新しいが、あの時のような活躍が今回のZOZOチャンピオンシップでも期待される。
今回試合に先立ち、シューズ、アパレルを契約するアディダスの協力の下、取材の機会を得た。ならば「世界6位の技術の片鱗を聞き出したい!」ということで現場に臨んだ。
GD スウィングのなかで一番大切にしていること、あるいはアマチュアのみなさんに真似してほしい、というところはどこでしょうか。
ザンダー なんといっても「テンポ」です。これが常に“一定に”なるように心がけています。このテンポは長い時間をかけて父と作り上げてきたものですが、上手くプレーが出来ていないときはこれが速くなっている、あるいは遅くなっているケースがほとんど。テンポは常に一定、それはいつも考えていますよ。
同席していた父・ステファンさんによると、良いリズム・テンポは良いバランスを生み、それがパワーにつながる。その三位一体のシステムを2人で作り上げてきた、ということだ。
確かにザンダーのバックスウィングは非常にゆっくりに感じる。トップからの切り返しも他の選手と比べても滑らかで、リズム、テンポを重視していることが窺える。
他にも僕らが真似できることは何かないか……ということで、グリップを握る強さはどれくらいかも聞いてみた。
GD ではグリップを握る強さは? できれば私の指をグリップだと思って握ってくれませんか?
ザンダー Hahaha! こんな奇妙なリクエストは初めてだよ。OK、そうだね、このぐらいかな。
GD エッ、めちゃくちゃ強い!
ザンダー Hahaha! 冗談だよ。本当はこれぐらい。
この感触を直接お伝え出来ないのは残念だが、ザンダー曰く「強くもなく、弱くもなく。ミディアムプレッシャーだね」とのこと。ミディアムの感覚は人によって違うだろうが、握ってもらった感じは、ミディアムより若干弱めの印象。ただそのソフトな力加減でも、関節の部分はキュッと締まっていて、手の中で指が簡単には動かない、そんな感触があった。そして手のひらや指の腹が意外と柔らかい! もっとマメでごつごつしているかと……普段から手のなかでグリップがずれていない証拠だろうか。
ザンダー 握る強さはミディアム。そしてもうひとつポイントとしては、この力感が最初から最後まで変わらないこと。グリッププレッシャーはソフトにと言われるけど、弱い力加減でスウィングに入ると、途中でギュッと力を込めやすくなる。だから一定に保つこともとても大事だよ。
速く振ろうとするとつい力が入ってしまうものだが、「力を抜く」ではなく「力を一定に保つ」、これは早速試してみたくなる、そして腕前に関係なく誰もが真似できる世界のトップ選手の技だろう。
ザンダーのスウィングテンポ、そしてグリップの力感をイメージしながらZOZOチャンピオンシップを観戦する、そんな目線で試合を追いかけるのも楽しそうだ。
PHOTO/Hiroaki Arihara