2011年に公開されたドキュメンタリー「二郎は寿司の夢を見る」は海外でも話題になった。東京・銀座の地下にあるたった10席の寿司屋すきやばし次郎の店主・小野二郎が主人公の物語である。
予約が取れないことで知られる名店にモリカワは大会前妻キャサリンさんとエージェントのアンドリュー・キッパー氏とともに訪れていた。
「予約が取れて店のカウンターに座ることができただけで幸運でした。しかもシェフの次郎(御歳97歳!)が僕らのために寿司を握ってくれたのでさらに特別な体験になりました」
「目の前に座って彼の才能を目の当たりにできたのは信じられないような体験。光栄という言葉しかみつかりません。まさに芸術作品だった」と感激をあらわに。
食事をした時間は30分ちょっと。それが名店のルールである。しかしその短い時間にモリカワはお腹だけでなく心も満たされたという。
「本当に好きなことに対して真の情熱を持っている人なんだと、彼が生み出すアートワークを見て実感しました。普段30分でお腹がいっぱいになることはないけれど、今回どれだけ満たされたかに自分でも驚いています」
最高の寿司を堪能したことでマイナスの面もある。それは今後どんな寿司を食べてもすきやばし次郎に匹敵する満足感は得られないということ。
「あまりにも特別だったのでもう2度と(他の寿司は)食べたくない」と笑ったモリカワ。寿司パワーで未勝利の連鎖を打ち破れるか? 残り3日モリカワのプレーに注目だ。
いっぽう日本勢も健闘している。1打差の2位タイに堀川未来夢がつけ、およそ2カ月ぶりの参戦となる松山英樹も金谷拓実、久常涼、稲森佑貴、永野竜太郎とともに1アンダー26位タイとまずまずのスタートを切っている。