昭和の森GCの歴史をたどってみよう。1969年、米軍接収地域の飛行場地域用地の全面返還に伴い、パブリックコース(18ホール・6400ヤード・パー72)として開場。
1970年、旧軍用犬訓練場跡に昭和ゴルフ練習場(350ヤード・71打席/のちに80打席に拡大)を開設し、1984年には「昭和パブリックGC」から「昭和の森GC」へ名称変更。以降、リニューアルを繰り返して現在に至った。ジュニア育成やゴルフスクールなども熱心に行い、ゴルフ人口の普及にも力を注いだ。
コースの形態は当時人気を博した林間コースで、武蔵野の雑木林でセパレートされていた。ただ、アウトは背の低い樹木が多く開放的、インは樹木が密集し、曲げるとスコアメイクに頭をひねることになる。週末ゴルファーが腕を磨くには、格好のコースといえた。
八王子市に住む今年85歳になるゴルフライター、菅野徳雄氏はこの閉鎖を惜しむ。「仕事抜きで大変お世話になりました。若い時はそれこそ1人で週に2回は行っていました。夏は朝5時からの早朝ラウンドで8時には終了。真夏でさえ暑さ知らずのゴルフを楽しみました」。
同GCを管理・運営する「アーバンリゾーツ昭和の森」は米国投資ファンドの買収を経て、アマゾンジャパンに売却される見通しだ。
「ゴルフ場経営は難しくなってきたとはいえ、利益が上がらないということはありません。ただ、効率の面でいえば、手間と労力がかかりすぎます。投資ファンドとすれば、都内にある広大な敷地はゴルフ場にしておくには惜しいと考えるはず」とは、ゴルフ場経営コンサルタントの菊地英樹氏。
同GCは物流を中心とした複合施設になる予定という。また“昭和”が遠くなっていく。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月31日号より