快晴の日曜日、石川をはじめ日本勢が躍動した。昨年の今大会で最終ホールボギーを叩きトップ10入りを逃したことで翌々週のPGAツアー参戦資格にあと一歩及ばなかった久常涼。
その「リベンジだけを胸に」12位タイからスタートしたこの日上がり4ホールで3バーディを奪ってノーボギーの66をマーク。同年代の平田憲聖(久常21歳、平田22歳)とともに6位タイフィニッシュで見事リベンジに成功。2週間後メキシコで開催されるPGAツアー、ワールドワイド・テクノロジー選手権で欧州ツアー1勝(フランスオープン)の実力を見せつけるつもりだ。
躍動する若手を凌駕する活躍を見せたのが石川だ。フロント9を2アンダーで折り返すと中盤ダブルボギーも叩いたが14番から3連続バーディで盛り返し最終ホールも微妙な距離のパットを沈めバーディフィニッシュ。ギャラリーの視線を一身に集めたとき決めるべきところで決める、本来の石川らしいプレーが戻ってきた。

PGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」をトータル7アンダー4位タイでフィニッシュした石川遼(写真は2023年のZOZOチャンピオンシップ初日 撮影/中村修)
ホールアウトした時点では2位タイ。10年ぶりにPGAツアーのキャリアベストに並ぶかと思われたが最終組の2人がバーディフィニッシュで順位を上げたため結果は4位タイ。しかし前週の国内メジャー日本オープンで勝ち切れず涙したのとは180度違う満面の笑みで達成感をにじませた。
それでも口をつくのは反省の弁。「いいプレーができていたけれどショットが良かったのにもったいないミスが出た。ミスを最小限に抑えられず浮き沈みが激しかったので手放しでは喜べない」と8バーディを奪いながらボギー3つ、ダブルボギー1つの内容を「悔しい。まだまだだな」と振り返った。
しかし収穫も。「以前はミスを引きずる傾向があってそれが当たり前になっていた。でも(17番でボギーを打ったあとはそれを引きずらず)最後のパットを特別なものだと思わずシンプルにとらえて1打1打フォーカスするつもりで打てたのは良かった」。
じつは「1打にフォーカスする」というテーマは石川がここ何年も取り組んできたこと。「(ミスをして)やっちゃって戻す、ではなく自分のゴルフをもう1度しようと思っている」と前を向く。
若くしてアメリカに挑戦しながら挫折を経験した。その間、同じ歳のライバル・松山英樹がマスターズに優勝し大きく水を開けられた。しかしゴルフは息の長いスポーツ。何度でも這い上がりピークを掴むことができるから面白い。15歳で世界を獲った石川の本当の戦いはこれからなのかもしれない。