プロゴルファーやジュニアゴルファーをはじめさまざまなスポーツ選手のメンタルアドバイザーを務める丹波幸一氏。元プロ野球の審判という異色の経歴を持つティーチングプロ、丹波氏がゴルファーに役立つ”心の操作法“を連載形式で語っていく。第3回のテーマは「成功イメージの描き方」だ。
画像: 高い技術なのはもちろんだが、タイガー・ウッズがより長けていたのは「イマジネーション力」だ(Photo/Tadashi Anezaki)

高い技術なのはもちろんだが、タイガー・ウッズがより長けていたのは「イマジネーション力」だ(Photo/Tadashi Anezaki)

どういうボールを打ちたいのか、鮮明なイメージを描く

プレショットルーティーンでどのような成功のイメージを描いたらいいのでしょうか?

いろいろな状況もあるので、どのようなボールを打ちたいかは場面によって異なりますが、どんな場面であっても、自分がどういうボールを打ちたいのかは鮮明に描けてなくてなりません。

イメージと言っても描き方は人それぞれかもしれません。「トラックマン」のシミュレーターのイメージ弾道のように赤いラインが描けている人も多いと思います。 

これも成功のイメージには変わりありませんが、ここでは平面的なイメージではなく、実際にストロークされたボールが、①どれくらいの強さで②どのような出球で飛び出し③どれくらいの高さで④どのような弾道を描き⑤APEX(弾道の頂点)はどのあたりを通り⑥どこにランディングして⑦どう転がっていくのか、を鮮明に描けるのが理想です。

多くのプレーヤーは、アプローチやパッティングでは、ある程度のイメージが描けていると思います。しかしドライバーではそこまで鮮明なイメージが描けなかったり、ロングゲームほどパワーゲームに頼っていませんか?

どうしてもストロークする前に、不安がよぎったり、前回のミスがよぎったり、先のスコアが気になり計算してしまうと、無意識でもミスのイメージが潜在意識に残ります。ゴルフの心の仕組みは、少しでもミスを描いた時点で、潜在意識はイメージした通りのことを行動に反映させてしまいます。 プレショットルーティーンでは、潜在意識の中に少しでも不安要素、マイナスがあればプラスに書き換える作業が必須になります。

ミスのイメージが10%でも存在すると、残りの90%がプラスのイメージを描けているつもりでも、無意識にこのマイナス10%のイメージが勝ってしまうのです。

全盛期のタイガー・ウッズの数々のスーパーショット、神がかり的なショットやアプローチ、パッティングなど記憶にある方も多いと思います。これらをタイガー・ウッズのテクニックだと信じている方も多いと思いますが、もちろんテクニックも異次元でしたが、もっと長けていたのは実はイマジネーション力でした。

お父様のアール・ウッズ氏は、“タイガーはイマジネーションの天才!”と著書でも称しています。これは神がかり的なショットを演出してきたのは、高い技術ということも間違いありませんが、その技術を持ってさらに想像力豊かな感性とイメージを描く力であり、実際のスーパショットはそのイマジネーションの再現でした。

打つ前に成功のイメージを鮮明に描き、実際に放つショットは成功のイメージのリプレイ

実際にプレショットルーティーンで、成功のイメージが鮮明に描けているプレーヤーはどのくらいいるのでしょうか? そしてイメージが描けているプレーヤーでも、全てのショットで毎回鮮明なイメージが描けていると思いますか?

全盛期のタイガー・ウッズでも、成功のイメージが鮮明に描けていたのは1ラウンドのうちの40%程度でした。ここぞ!という時には抜群の集中力を発揮していたということですが、全てのショットで実現できていないのは、試合運びのペースであったり、心の体力でもあります。

皆さんは練習とラウンドでは、スウィングという行為自体は一緒ですよね。でも実際のラウンドでは心のあり方が変わっているため、潜在意識のネガティブ思考が発動してしまいます。

練習のワンストロークから、タイガー・ウッズのように成功のイメージを鮮明に描いて、実際のショットは描いたイメージのリプレイという流れを実現できていますか?

一度練習でもワンストロークごとに番手も変えながら、ストロークする前に成功のイメージを鮮明に描いて、実際のショットはそのリプレイという練習をしてみてください。 普段200〜300球打っている人でも、50球打つのがやっとになるくらい、心の体力が備わっていないことに実感するはずです。普段の練習から“心の状態”も作っていかなくてはなりません。

もう一度、繰り返すと、 

1 プレショットルーティーンで成功のイメージを鮮明に描く
・どういう弾道を描きたいのか?
・出球の強さ
・打ち出し方向
・高さ
・頂点
・落とし所
・どのように転がっていくのか
・パッティングではカップの入り口、入り方、入るスピード

2 実際のストロークは、そのイメージのリプレイ
ワンストローク、ワンストローク、この繰り返しを基本とすれば、練習でも習慣となり、ラウンドでは当たり前のことのようにできるようになります。

あなたはボールが飛んでいく秒数まで描けていますか?

成功のイメージをどのように描くかを説明させていただきましたが、超一流の域では描いたイメージの弾道に加え、実際にボールが飛んでいく秒数まで再現されています。

どうしても平面上に描いた赤いラインのイメージだけになりがちですが、普段から実際にボールが飛んでいくボールスピード、秒数までイメージできると、実写的に再現されやすくなるものです。

自分の実力に応じた範囲でのイメージ作りを、秒数まで描ける超一流の域までに達してください! 

練習から先に成功させるイメージ作りが、本番でのイメージ作りへとつながります。そしてこれが心の体力差になります。実はショットの実力差よりも、心の体力差のほうが大きいです。見えない部分を鍛える。ここに大きくゴルフを変えるヒントが隠されています。

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