時松隆光や後藤未有など多くのプロを輩出した「桜美式」(桜美ゴルフハウス)。その主宰者でありゴルフ向学者でもある篠塚武久氏が考案した最新の道具は、市販の水道管を利用した"素振り棒"、その名も「悟瑠歩真棒(ごるふしんぼう)」だ。これを振ればあっという間に「美スウィング」になれるというが……。
画像: 18年にゴルフダイジェストのレッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞した篠塚武久氏が主宰する「桜美式」では、「悟瑠歩真棒」(素振り棒)を振ることで、多くのジュニアや一般ゴルファーたちが急速に上達しているという

18年にゴルフダイジェストのレッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞した篠塚武久氏が主宰する「桜美式」では、「悟瑠歩真棒」(素振り棒)を振ることで、多くのジュニアや一般ゴルファーたちが急速に上達しているという

市販の”筒棒”で時松隆光はスランプ解消!?

「何か振るモノはないかとホームセンターで探していたら、この筒の棒を店の隅で偶然見つけたんです。ビニール管ですけどいいことがたくさん起きてびっくりです」 

この閃きこそ、多くのジュニアたちの上達の原動力となってきた。 

篠塚氏は、ゴルフは止まっているボールを打つというシンプルな運動なのに、クラブの構造自体が固定観念を生んでいるという。

「クラブには、小さなグリップがあってヘッドが横に出ている。だから難しい。グリップで持ち、ヘッドを振る。そしてヘッドでボールを打つ。するとどうしても手で打つことになる。当たり前の動きが再現性のなさを生み、ダフリやトップに悩まされるんです。そしてときどき当たることを喜びにするしかなくなる。ヘッドばかり見て気にしたり、ヘッドを振ってはいけない。クラブ全体を振ればいい。ただクラブでは理解しずらいので、この筒棒を使うんです。これはグリップもヘッドもないから簡単。そもそも打てませんから」 

ヘッドで打つことは「欲」だと篠塚氏。欲を取り去ればゴルフはやさしくなる。

「棒を持ち、棒全体を振る。グリップもシャフトもヘッドも関係なく、公平に振れる。そして軽い。皆、いいスウィングになりますよ」 

桜美式の代名詞「テンフィンガー」を象徴するプロといえば時松隆光。

安定感が1つの持ち味の時松だが、今夏、4戦連続予選落ちを喫した。

篠塚氏は、アドバイスとともに、この棒を渡したのだという。

「飛ばしたい! などの思いでいろいろ取り入れすぎて複雑になっていました。考え方もスウィングもシンプルに戻そうと」

感覚が戻ってきたのか、シンハンドンヘオープンからは予選落ちなく上位に顔を出すことも。 

太くて軽い1mの水道管が素振りに最適!?

画像: 普通の水道管より薄めで軽いもの。市販そのままで500円くらい。綺麗に白塗りにして、言葉を貼って3000円(税込)で販売も。「オーバースウィングにならず、トップもコンパクトにいつも同じ場所に自然に上がるん です」(篠塚氏)

普通の水道管より薄めで軽いもの。市販そのままで500円くらい。綺麗に白塗りにして、言葉を貼って3000円(税込)で販売も。「オーバースウィングにならず、トップもコンパクトにいつも同じ場所に自然に上がるん
です」(篠塚氏)

さてこの筒棒。ただの水道管と侮るなかれ。そこにはスウィングの真髄が詰まっている。

「長さは市販のままの1m。7Ⅰ(7番アイアン)~6Ⅰの長さなのがいい。また、太いから握りしめられない。力が入らず柔らかく振れる感じがわかります。そして空洞だから軽いのがいいし、“風”を抜くことで得るものがある。白塗りにしたのはシャフトを振っている感覚がイメージとして残るから。また言葉が浮き出るから頭に入ります」 

その言葉こそ「悟瑠歩真棒」。

「己を悟ること。そして清めて突き進むところに真のスウィングがあらわれます」

「皆、クラブだと無理やり振る。だから切り返しやインパクトの寸前で何かをして崩れるんです。でもこの筒棒だと何もできないから、同じ動きができます。この筒棒で体に覚え込ませ、その感覚のまま実際にクラブを振ってみると、アレッとスムーズに。ずっと家で振っている人もいますよ」 

水道管=“悟瑠歩真棒”で、切り返しが上手くなる

画像: 左横に重い物を真っすぐ投げられない人が多い。「皆後ろに投げてしまう。スピードを付けるためには、ねじりなく真っすぐ投げる動きが必要。コンパクトな"引き"の動きを使います」(篠塚氏)

左横に重い物を真っすぐ投げられない人が多い。「皆後ろに投げてしまう。スピードを付けるためには、ねじりなく真っすぐ投げる動きが必要。コンパクトな"引き"の動きを使います」(篠塚氏)

篠塚氏がスウィングの大敵だという“ねじり”を防ぐため、悟瑠歩真棒は真価を発揮する。

「細いグリップは、手でねじるようにできています。『引いて、引く』動きをするだけで、これも変わる。そのためにも、この筒棒を振ってほしいんです」

両肩を中心に、右を引いて左を引いて動く。これが一番シンプルで上達も早いという。

画像: 「右肩を引けば軽くサッと上げられトップも小さくなります」という篠塚氏。「引いて、引く」力みのないコンパクトトップが上達の近道だ

「右肩を引けば軽くサッと上げられトップも小さくなります」という篠塚氏。「引いて、引く」力みのないコンパクトトップが上達の近道だ

「ねじりがゴルフを難しくします。それをなくすために、バックスウィングでは右肩を引いて、ダウンから左肩を引く。回転がパッとくる感じは“押し”の動きではできない。右肩を引けば軽くサッと上げられトップも小さくなります。皆さん、『打たないといけないのに、引くなんて!』と、できないような気がするでしょう。でも慣れたらなんてことないんです。事件は切り返しで起こるんです。でもトップの位置などを気にするとまた難しくなるでしょう」 

自然に“いいトップ”に決まるのだ。日本人は「引き」の民族だと篠塚氏。

「相撲も柔道も、綱引きやコマ回しも、鍬(くわ)も『引き』の動きで行いますよね。『引く』のほうが『押す』より力が出ますし、スムーズで体に負担をかけず再現性が高い。パワーや運動神経を使わなくても、老若男女、誰でもラクに力を発揮できます」

足指や足裏で振れるのがわかる

画像: グリップは「8フィンガー」がおすすめ。右手の親指と人差し指をチョキのように離して握る。「握りしめるから、ねじりにつながる。より握らないようにすると、ヘッドが走ります」(篠塚氏)。また、この"筒棒"を振ることで足の使い方も良くなるという

グリップは「8フィンガー」がおすすめ。右手の親指と人差し指をチョキのように離して握る。「握りしめるから、ねじりにつながる。より握らないようにすると、ヘッドが走ります」(篠塚氏)。また、この"筒棒"を振ることで足の使い方も良くなるという

「筒」であることを利用して“ねじれ”をチェックしてみよう。

「筒棒に風を抜け、というんです。ねじれていたら抜けない。トップからダウン、インパクトまでの動きで、グリップ側から風が抜けるイメージが大事なんです」 

また、『打つ』ではなく『はじく』もポイント。

「シャフトはしなるから、そのまま使えば『はじく』のに、自分でねじるからしなりが生かされずに『打つ』になってしまう。ヘッドを振り回さないとダメだと思うと『打つ』になる。練習場で見ていても皆振り回しています。『はじく』という言葉がわかっただけで、軽くなった感じがするでしょう」 

もう1つ。筒棒を振ることで体感できるものに足の使い方がある。

「足指と足裏だけを使う感じ。地面から力を得られる。大きい筒棒を手に持つことで、体全体が連携する。ひざや腰は使わなくていい。足指、足の裏だけで振れるのがわかるはずです」

筒棒なら部屋のなかでも上手くなれる!

今年、日本ジュニアに5名を送り込んだ桜美式。

「60台で回り始めるジュニアが出てきて驚きました。まだ試合に出ていない小学校低学年~中1、2の子たちがものすごく上達しています。今後また、いろいろな大会でどんどん活躍するでしょう」 

桜美ジュニアたちは、新しいことにトライすることに誇りを持っているという。それは大人たちも同じだ。

篠塚氏は100切りゴルファーを増やしたいという。

「今、100を切れない人が7割とも言います。逆に7割は100を切れるようにしたい。するとゴルフが楽しくなって続けられると思うんです。コロナ禍で増えたゴルファーを逃がしたくない。筒棒なら部屋のなかでも上手くなれますし、簡単な練習道具であれば、家族でも取り組めます。会話も増え、子どもたちが自然のなかに出ることにもなる。ゴルフを一気に国民のスポーツにしたいんです」

「悟瑠歩真棒」には、大きな思いも詰まっているのだ。

PHOTO/Norimoto Asada

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月24日号「『悟瑠歩真棒』でシンプルスウィング」より

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