練習場のレンジボールと、ラウンドで使用するコースボールは、どれだけどう違うのか? プロが比較試打&弾道計測をしてみて、その性能の違いを調査。練習場での注意点も見えてきたぞ!
画像: ダンロップのレンジボールとコースボールで試打計測。左から1ピースの「スタンダード」、2ピースの「DDHスーパーソフト」、コースボールは3ピースの「スリクソンZスターXV」

ダンロップのレンジボールとコースボールで試打計測。左から1ピースの「スタンダード」、2ピースの「DDHスーパーソフト」、コースボールは3ピースの「スリクソンZスターXV」

レンジボールの特性を知っておこう

「レンジボールは飛ばない」と考えるアマチュアは多いが、コースボールと比べてどれくらい違うのか? その性能差を理解しているアマチュアは少ない。そこでコースボールとレンジボールを弾道計測し、性能の違いや球筋の変化を検証してみた。試打はアマチュア時代、松山英樹のキャディを務めた経験を持つ、小林克也プロだ。

「以前、武蔵CCに所属していたのですが、ある時期に練習場のボールがすべてレンジボールに変わったんです。そのとき、多くのメンバーさんが『飛ばない』と実感していました。個人的にはレンジボールは打感が軟らかいので嫌いではないですが、アマチュアが飛ばないボールを使うと悪いクセが助長される可能性があります。ですから、レンジボールの特性を知っておくことはとても大切です」

今日は飛ばない、イメージ通りに打てないなど、コースボールとの違いを感じることは多い。コースボールとレンジボールでは、その性能にどんな違いがあるのか?

「レンジボールは耐久性重視ですので“飛ばない”というのが、一番の違いだと思います。これは練習場のネットを突き破らないためのものでもあります。練習場によっては、レンジボールに合わせてヤーデージの看板位置を調整している場合もあります。ただ最近はレーザー距離計を使うゴルファーも増えていて、大きな距離差は少なくなっている気がします。

私が知っているゴルフ練習場では1年に1回、レンジボールをすべて入れ替えると聞いたことがあります。レンジボールは繰り返し使える耐久性が、最大の特徴でもありますから、コースボールとは異なる開発コンセプトがあるわけです。そもそもコースボールとレンジボールでは目的が違います。

性能が違うのは当たり前ですし、コースボールと同じように考えるのは、大きなリスクにつながります。たとえば、飛ばないから飛ばそうとする。これでは、スウィングがどんどん悪化してしまう、なんてことが起こるんです」

レンジボールは飛ばない以外に大きな性能差があるのだろうか?

「レンジボールは基本的に1ピースか2ピース構造です。一方、コースボールは3、4、5ピース構造まであります。コースボールは多層構造にすることで、さまざまな性能を引き出しています。そういう意味では、レンジボールは弾道の高低やフェード、ドローなど、球筋の違いにも影響が出ると考えています」

そこで実際にレンジボールとコースボールを比較試打して分析してみた。

ボール初速に大きな差が出る

ダンロップのレンジボール2つと、ZスターXVを用意し、小林プロが試打。高精度弾道測定器「ディテクトプリズムプロ」でデータを計測し、プロのフィーリングとデータの両面からその性能を分析した。

番手はドライバー、7番アイアン、ウェッジ(ロフト60度)の3種類。試打した小林プロは、

「大きな差が出たのは、やはりボール初速でした。初速は飛距離に直結しますが、ドライバーで比較すると1ピースのスタンダードとZスターXVでは、3.8m/sの差がありました。トータル飛距離で30Yです。アイアンでも3.5m/sの差があります。ボール初速の違いが、レンジボールは飛ばないという主な要因といえるでしょう。

またスピン量に関しても性能差が大きく出ています。スタンダードはスピンが入りやすいです。これはコアの軟らかさによるものです。ドライバーだとスピン量が増えて吹き上がりますし、ドローボールは曲がりが抑えられてしまうことも。軟らかいことで球離れが少し遅れ、打ち出しが低くなる傾向があり、アイアンではスピンが入るのに高さが出ないため、ボールを上げようとする可能性が高まります。一方、ウェッジになると1ピースのスタンダードは軟らかいのでスピンがしっかり入ります。ランも少なめでコースボールに近いデータになっています」

画像: 小林プロのドライバーヘッドスピードは47~48m/s。各番手の試打は5球打った平均値。ウェッジの試打は力感を合わせつつ、打ち出し角とスピン量を計測した

小林プロのドライバーヘッドスピードは47~48m/s。各番手の試打は5球打った平均値。ウェッジの試打は力感を合わせつつ、打ち出し角とスピン量を計測した

レンジボールの2ピース、DDHはどう分析したのか?

「DDHはディスタンスボールに近いです。低スピンで飛距離性能が高いですが、やや硬めなので打ち出しも高めです。その結果、ウェッジになると弾かれるように高く打ち出され、スピンが少なく、ランが出やすいボールです」

試打を終えた小林プロが考えた、レンジボールの特性とは?

「レンジボールとして最も一般的なスタンダードは男性なら7番アイアン以上からボールが上がらない、つかまらない、飛ばない傾向が強くなります。ヘッドスピードが速くなるドライバー、FW、UT
などは、コースボールより1~2番手飛距離が落ちます。さらにスピン量が増え、ボールがつぶれたときの反発力が弱いので右に抜けやすいことも知っておくべきです」

小林プロは、さらにレンジボールのメリットをこう語る。

「レンジボールは非常に軟らかいのでインパクトの衝撃がソフトです。つまり手や体を痛めにくいボールでもあるんです。練習では何百球とボールを打ちますから、この軟らかさがメリットにもなるんです」

練習場ではここに注意しよう!

最後に、小林プロに練習場でレンジボールを打つときの3つの注意点を聞いてみよう。

① ドライバーだと3番手近く飛距離が変わる可能性も。少なくとも1~2番手は飛ばなくなります。飛ばないと力みやすくなりますので番手が大きいほど、脱力が大事。力まないよう注意しましょう。

② スタンダードは軟らかいのでスピンが入りやすく、球離れが遅れることで打ち出しも低め。無意識に上げようとすると軸が傾き、スウィングが悪くなるので気をつけたいですね。

③ ドライバーやウッドなど、ヘッドスピードが速いほど、ボールのつかまりが鈍くなります。スライスが続くとボールをつかまえようとアウトサイドイン軌道が強くなりやすいので注意が必要です。

画像: 「レンジボールは非常に軟らかく、インパクトの衝撃もソフト。たくさんボールを打つ練習場では、この軟らかさはメリットですね」(小林プロ

「レンジボールは非常に軟らかく、インパクトの衝撃もソフト。たくさんボールを打つ練習場では、この軟らかさはメリットですね」(小林プロ

PHOTO/Tsukasa Kobayashi  Tomoya Nomura THANKS/ゴルフプレイス

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月24日号「コースボールとレンジボール 性能はこんなに違う」より

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