2020年の春先から始まった「コロナ禍」。一時は外出すらままならぬ状態になったが、ゴルフは「三密」が避けられる“比較的安全性が高いスポーツ”として、注目を集めた。新規ゴルファーの増加に加え、会員権の売買も活発に。2024年を迎えようとする現在、動向に変化はあるだろうか。ゴルフダイジェスト社会員権サービス部の田嶋一弘氏が解説する。
画像: ゴルファーの会員権選びのポイントは?(写真はイメージ)

ゴルファーの会員権選びのポイントは?(写真はイメージ)

20年秋頃から徐々に相場が上がり始めた

新型コロナへの不安感が特に強くなり始めたのは2020年の3月頃だ。

「通常、暖かくなってくると相場が上がるので、3月までは例年通り上がっていました。ところが4月7日、全国に緊急事態宣言が出された頃から、社会全体の動きが止まってしまうと、相場は下がり始めました」

すると、世間は断捨離ブームに。会員権を手放す人も増えだした。

それが一転したのは5月頃。屋外で楽しめるスポーツとして、ゴルフは一躍注目の的に。

秋頃から徐々に相場が上がり始め、2023年9月末現在でも会員権平均価格グラフは大きな下降線を描いていない。

「相場の変動が大きかったコースの例としては相模原GC(神奈川県)があります」

300万円台まで下がっていたのが2021年の夏前には1000万円ほどで売買されていたほど。

「ただ、値を大きく上げたのはアクセスがいいなどのメリットがある、もともと人気のコース。人気コースはどんどん値上がりし、そうでないコースはさほど変化がない。平均価格を上げているのは、人気コースの上げ幅の大きさなんです」

会員権の相場は”二極化”が進む!?

今後も、人気のあるコースは高く、人気のないコースは変わらないという“二極化”で推移しそうだ。

では、ズバリ、今は会員権の買い時か? 

「会員権は、欲しいと思ったときが買い時。マイホーム選びのようなものです」

とのこと。相場がどうだから買う、といったものではない。ただ、気になる情報として2023年の夏から秋にかけ、グラフが横ばいになってきていること。

「実は会員権には、金融商品のような要素を持つものがあり、株価とリンクするケースが少なくないんです」

状況は日々変化するので、こればかりは何とも言えないが、2023年7月に日経平均株価が3万3753円をつけたあたりからは、やや下降傾向にあるのはご存じの通りだ。

「会員権に関しても現在、高止まりの状況にあると言えるかもしれません」

とのこと。そして、迷っている間も時間は進んでいる。

会員権は自分が欲しいときが買い時。これだけは間違いないと言えそうだ。

会員権価格の変動の要素を、コロナ禍以外の点から考えてみると……。

コース選びのポイントは「アクセス」

「コース選びをする際、大きなポイントとなるのがアクセスです」

と田嶋。だいたい車で1時間程度で行ける距離が目安とされ、それ以上離れると足が遠のいてしまい、結果、コスパがダウンする傾向にある。ただし

「アクセスは変化するケースがあるので、注意してください。たとえば、首都圏で言えば新東名(第二東名)の開通は大きな要素です。当初、2023年に全線開通予定でしたが延期になりました。とはいえ、周辺コースの注目度は高いですね」

もし、ある地方に新たな鉄道が開業し、駅ができるとなれば周辺の地価が上がるのと同じだが

「会員権は、地価ほどは動きが早くありません」

というから、諦めずに業者に問い合わせてみるのもいいだろう。

駅が近く、クラブバスがあるコースにも注目!

首都圏の新東名の開通で大きくアクセスがアップするコースとしては、富士小山GC(静岡県駿東郡)、富士国際GC(静岡県駿東郡)、富士平原GC(静岡県御殿場市)などがある。

同様のケースとして、関西では近年、新名神が開通し、大阪市内から北摂エリア(大阪府北部)に行くのが便利になり、箕面とどろみICが利用できるようになったことで伏尾GC(大阪府池田市)、アートレイクGC(大阪府豊能郡)などの相場が上昇。

また、開通の影響で宝塚IC付近の渋滞が緩和されたため、三木市吉川町付近のゴルフ場(美奈木GC、オリムピックGC)なども人気がアップするという現象も起きた。

また、近年は高齢になり運転免許証を返納するケースも少なくない。しかし、ゴルフはできる。そんな場合、駅が近く、クラブバスがあるコースが便利。将来に向け、頭に入れておこう。

今後の注目コースをチェック

これらの情報を鑑み、今後の注目コースをチェックしていこう。

「まず挙げたいのが日光CCです。敷地に足を踏み入れた瞬間から非日常体験が味わえます。コースレイアウトやメンテナンスの良さはもちろん、クラブハウスの荘厳さも格別です。メンバーさんたちの雰囲気もとてもいいと評判です。そして、大メリットが提携コースが18もあること。北海道の小樽CCや茨城県の大洗GC、龍ケ崎CC、神奈川県の湘南CC、箱根CC、兵庫県の鳴尾GC、福岡県の古賀GCなど、普通はなかなか回れないコースばかり」

仕事をリタイアしたり、全国を回れる余裕のある人には特におすすめと言える。

ちなみに、日光CCは2025年の日本オープン開催が決定しており、注目度はますますアップしそうだ。

「ワーケーション」や「二拠点生活」によりリゾート地も人気に

また、コロナ禍を経て、定着したフレーズに「ワーケーション」や「二拠点生活」があるだろう。

職場が東京にあるとしても、リモートでできる仕事もあることが認知されてきた。

そこで、注目なのがリゾート地にあるコース。

たとえば、河口湖CC(山梨県都留郡)は、寒さのため通常は冬場に相場が下がっていたが、2020年の暮れ頃に大幅に値を上げるなどの変化もあった。これは、リゾート地でリモートワークをする人が増えたためと考えられる。そういった意味で

「大浅間GC(長野県佐久郡)にも注目しています」

この辺りは別荘族もおり、彼らへの需要もある。そのほか、36Hを誇る厚木国際CCも注目株という。

「5年かけ、18ホールの改修を終え、さらに残る18Hの改修も発表しました。コースのクオリティはかなり上がるのではないでしょうか」

会員権の“複数持ち”も増加!?

また、会員権の“複数持ち”もスタイルのひとつ。

「すでにホームコースを持っている方が、2つめ、3つめのコースを探しているケースもあります。その場合、平日会員という手もありますね」

いつも同じコースではつまらないという人もいる。ならば、ホームコースで月例に出るなどして腕を磨きながら、平日は別のコースでラウンドしてさらなる上達を目指すという手もある。

会員権の相場は、やや高止まり傾向にあるものの予想は難しい。ただし、選び方が多様化していることは確かだ。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年11月14 日号「コロナ禍の4年間で会員権市場はどうなった?」より

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