インタビュー冒頭から、道具選びで何を一番大切にしていますか? と聞いてみた。「飛ぶ、止まる、といった性能はもちろんだけど、人間が使う道具だから、僕はフィーリングを一番大事にしている。構えた時の安心感、シェイプ、据わりの良さ、インパクトの感触……」。
「でも、今のPGAツアーは飛距離がとても重要なファクターになっています。とくに厳しい優勝争いをしているなかでは、飛ばすことが絶対のアドバンテージになります。だから、14本の中でもドライバーの重要性が高まっている。今使っているパラダイムのドライバーは、AI(人工知能)のテクノロジーが入っていて、曲がり幅や飛距離のロスをカバーしてくれているのを実感できています。それでいて、様々な素材による複合ヘッドなのに、単一金属を打っているような濁りのない打感の良さを感じられる点が大きいんです」
「小さくて微細だと感じるメリットでも、それをひとつひとつ積み重ねていくことがPGAツアーを戦ううえで、とても重要です。数年前、キャロウェイと契約した当時、責任者の方から『ゴルフ界をリードするメーカーに必ずなるから、それを信じて一緒に進んでほしい』と言われたことが強く頭に残っています。その言葉のひとつがAIテクノロジーだと感じています」
道具の話は3W、UT、アイアンへと続いた。「このパラダイムの3Wは、飛距離性能が凄いんです。だから、飛距離に高さを加えて目標を狙っていこうとロフトを寝かせたハイローンチ(HL)モデルを使っています。ロフトでいうと4W相当ですね。これで260~270ヤードを目安にしています。APEXのユーティリティウッドも飛ぶので、以前はロフト20度を使っていましたが、いまは23度のモデルに替えました。こちらは240~250ヤードのスパンです。この2本はどちらも操作性が高く、地面からだけでなく、ティーショットでも多用しています」。
「アイアンのTCBは、バックフェースにウェイトが付いていて、ここを自分の好きなように調整できるのが何よりも気に入っているところです。ここの調整で弾道の高さ、振り心地、打感まで自分のコンディションに合わせられます。また、オフセットが小さめですっきり見える点もクールです。それと、構えた時に日差しの反射がないノーメッキのフィニッシュも気に入っています。僕にとって理想のアイアンといっても過言ではありません」
そして、セッティングのアクセントともいえる真っ赤なパターについて。「去年、このパターを初めて打った時に、すぐに気に入って使い始めました。ルックスがシンプルで、打感も良く、僕は赤が好きなので、この真っ赤なコスメもお気に入りです。このパターにはアライメントに2本のラインが入っていてターゲット方向に構えやすいのですが、さらにボールの中心にセットしやすいようトップラインのセンターに、もう1本のラインを入れているのが僕のカスタマイズです。新しいAi-oneパターですが、ついにパターまでAIテクノロジーが搭載されたと聞いて驚きました。オフにしっかりテストする予定で、ネイビーのヘッドカラーも気に入っています」。
ボールはクロムソフト系を使っている。編集部の調べによって、クロムソフトXとX LSを使い分けているのでは? と聞くと、「それは違いますよ。この2年、僕が使っているのは、クロムソフトXのドットです。これはXとX LSのハイブリッド的なボールで、ショートゲームでスピンがかかり、ロングショットでは、僕にとっての最適なスピン量で飛んでくれるボールです。外側のヘックスパターンの深さも他のモデルと微妙に違うんです」。
その後、このXドットについて確認すると、プロトタイプなどではなく、日本未発売で米国では市場に流通しているモデルだった。
最後にギアから離れて、同年齢のPGAツアーのライバル、ジョーダン・スピースとジャスティン・トーマスについて聞いてみた。
「僕は4年間、大学に通ったけど、ジョーダンもJT(トーマス)も昔からすごく強くて、学生の途中でプロ転向したので、その頃は挨拶する程度でした。だから、親しくなったのはプロになってから、ここ5年ぐらいです。ライダーカップのチームメイトでもありますし。ジョーダンはテキサス在住だけど、トーマスと僕はフロリダに住んでいるので、プライベートで一緒に過ごす機会もかなり多いです」
「僕ら世代のゴルフの力を引き上げてくれた2人だし、メジャーにも複数回勝っています。でも、来年は自分の番。そのために努力を続けます」。最後の最後に、自らメジャーについて触れ、「勝つ。実りの大きな30代にします」と言ってインタビューを締めた。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年11月14日号より(PHOTO/ Takanori Miki・Interview、Hiroyuki Okazawa・ZOZO CHAMPIONSHIP)