松山英樹の21年マスターズ優勝をサポートした目澤秀憲に、レッスン技術に造詣が深いライターDが、最新スウィング理論について話を聞いていく連載「みんなのスウィング3.0」。今回は「"数字”に基づく最新のアプローチ」について考えた。
画像: アプローチがうまい選手は、「インパクトでシャフトを15度も傾けている場合がある」と、マヨは主張。J・スピースもそのひとり。手元を目標方向に送ってハンドファーストにするのではなく、振り子運動における最下点の手前でヒットする(Photo/Blue Sky Photos)

アプローチがうまい選手は、「インパクトでシャフトを15度も傾けている場合がある」と、マヨは主張。J・スピースもそのひとり。手元を目標方向に送ってハンドファーストにするのではなく、振り子運動における最下点の手前でヒットする(Photo/Blue Sky Photos)

スピンロフトが増えるほど、強くスピンがかけられる

D 前回、V・ホブランのコーチであるジョー・マヨが、どうやってホブランのアプローチを改善したかという話題で、「スピンロフト」の話が出ました。スピンロフトは、インパクトでのロフト角(ダイナミックロフト)と、入射角の合算で、たとえばダイナミックロフトが50度、入射角が5度下向き(ダウンブロー)なら、スピンロフトは55度となります。基本的にはスピンロフトが増えるほど、強くスピンをかけられるということですよね。

目澤 一定のところまではそうです。一般的に60度(場合によっては65度まで)がピークとされていて、それを超えるとスピンは逆に減少していきます。マヨは「一般的には55度を目指すのがいい」と言いますね。

D スピンロフト55度は、仮にウェッジのロフトが60度だとすると、かなりロフトを立てないと実現できませんね。

目澤 そうです。そこは一番驚いたところですが、ホブラン含め、PGAツアーの選手は結構、ロフトを立てて打つケースが多いんです。ダイナミックロフトが45度くらい、入射角が10度くらいのダウンブローで、スピンロフトが55度前後になっています。

D ウェッジのロフトが60度なら、15度もロフトを立てて打つということですね。プロ用のウェッジのバウンスは8度以下だから、それ以上にロフトが立つことになります。

目澤 なんでそんなにロフトを立てて当てるかというと、打ち出し角を30度以下にしたいからだとマヨは言っています。ボールを上げるほどキャリーのタッチを出すのが難しくなりますが、27〜30度の打ち出し角なら、マヨいわく「ダーツを投げるみたいに」狙えるということなんです。

D それでいて強烈にスピンがかかっているから、より積極的に狙えるということですね。それにしても、入射角が10度もダウンブローというのは、普通に考えて刃が刺さりそうな感じがします。ロフトを立てて、バウンスを殺しているなら、なおさらです。

目澤 刺さる人というのは本来、振り子のように動かさなければいけないクラブを自分で下方向に〝振り下ろして〞しまうから。振り子の動きなら、仮に最下点にボールをセットしたとすると、ダフリもトップもしないはずです。

D 最下点をボールのはるか先にもっていけば、刺さる心配なくダウンブローに打てるということですね。

目澤 実際、ホブランはテークバックの時点で軸が左に移動して、最下点がボールより先になっています。ホブランがこの打ち方をするようになったのは、マヨがコーチをするようになってからなので、明らかに意図(ロフトを立ててダウンブローに打つ)を持った動きと言えます。

※週刊ゴルフダイジェスト「みんなのスウィング3.0 Vol6」より

This article is a sponsored article by
''.