若手のトップは全員、来シーズンは海外へ
前半を終えた時点で首位の蟬川を1打差で同じ最終組の中島、石川遼が追う展開。
1つ前の組を回る金谷拓実も後半に猛追し、まさに役者が揃った優勝争いとなった。
石川が14番のダブルボギーなどで脱落するなか、若手3人のマッチレースは続いた。金谷が終盤17番パー5のバーディで2人に追いつくと、蟬川も同じ17番をバーディとして一歩リード。
一方、中島は1.5メートルのバーディパットがカップに嫌われた。
数々のドラマを生んできた最終18番パー3、蟬川はティーショットをグリーン右サイドに外したものの、25ヤードのアプローチを40センチにピタリ。
前日にはここでダブルボギーを叩いており、
「また勝てないのかという思いがよぎった中で18番をパーでしのいで優勝できたことがすごく嬉しいです」
8カ月ぶりの優勝にインタビューでは涙を浮かべた。
金谷を抜いて賞金ランク2位でフィニッシュした蟬川は
「今日決めたことなんですけど、来年はアジアンツアー、DPワールド(欧州)ツアー、米ツアーに出る機会があると思うので、海外で1勝することを目標にやりたいと思います」
早くも来季の海外での活躍に思いを馳せた。
来季は海外組の若手を石川遼らの国内組が迎え撃つ
賞金ランク3位までには来年のDPワールドツアーの出場権が与えられる。
昨年に続いて、来年は欧州が主戦場となる金谷は
「このオフでしっかり練習して来年、欧州で勝てるように頑張りたい」
シーズン終盤、中島との息詰まる賞金王争いの中で思うように力を発揮できなかったことを「自分の弱さ」とし、さらなるレベルアップを誓った。
そして、新たな賞金王・中島は14日からの米下部ツアーの最終予選会が控えている。
「出発まで1週間を切って、今からやることはないので、しっかり準備をして、もう1試合頑張ります」
今年から予選会の上位5人は下部ツアーを飛び越して、米ツアーの出場権が得られるようになった。
予選会の結果次第で戦う舞台は大きく変わってくるが、いずれにしても海外でのプレーが中心となるのは間違いないだろう。
今季DPワールドツアーで初優勝を果たした久常涼、今週プレーオフで惜しくも敗れた星野陸也らを含め、海外で活躍する選手たちがそれぞれ、年に何度か日本ツアーでプレーし、それを石川ら国内組が迎え撃つ……。
激戦となった最終戦を通して、来季の男子ツアーがこれまで以上に盛り上がる形が見えてきた。