45分間の体験コースでどこまで伸びるのか
ヘッドスピードは43m/sあるし、仲間内では「飛ぶ」と言われているんです。でも「もっと飛ばしたい!」という欲求は尽きることがありませんよね。ということで、いつも取材でお世話になっているクールクラブスのフィッター平野さんから、「すごくスピードが上がるらしいですよ」と教えてもらい、ヘッドスピードアッププログラム「マック3」を体験することに。ゴルフ練習場・スイング碑文谷の2階にある「サーフゴルファーズ碑文谷」という施設がそのプログラムの拠点です。
「マック3」は、複数の資格を持つパーソナルトレーナー、マイケル・ロマトウスキー氏によって2017年に開発されたヘッドスピード&ボールスピードを上げるトレーニングプログラムで、年齢やスキルに関係なく、ケガなく効率的に飛距離アップを目指せるというもの。USPGAツアー、USLPGAツアー選手も導入し、身体的な強さに加え、ゴルフに必要な適切な体の使い方もマスターできる、とのこと。ちなみにヘッドスピードは、1年で平均11.5マイル(5.14m/s)も上がるというデータがある。
今回体験するのは約45分間のセッション。実は事前にホームページで軽く雰囲気を見たのですが、太くて重そうなロープを振ったりしてちょっとキツそう……。フツーのおじさんがついていけるのか正直不安です。
担当してくれたのは、公認インストラクターの新畑奈奈さん。えっ! めっちゃ小柄で華奢じゃないですか! 素敵な笑顔も手伝い緊張感がほぐれます。
セッションの流れとしては、
・ウォーミングアップ
・ヘッドスピード計測(1回目)
・トレーニング
・ヘッドスピード計測(2回目)
・トレーニング
・ヘッドスピード計測(3回目)
という感じ。
「伸ばしていくのはヘッドスピードとボール初速です。数字なので、“○○まで伸ばす”、というふうに数字にコミットしながら進められます。他の方たちの数字もホワイトボードに書いてあるので、競い合いながら頑張れますよ」(新畑さん)
確かに壁にはびっしり数字が。しかもみなさんいい感じで伸びています。
「ここでは、下は25歳、上は75歳の方まで取り組んでいます。アメリカではもっと幅広くて8歳から87歳まで。老若男女に効果があります」(新畑さん)
ちょっと勇気が湧いてきました!
ウォーミングアップにもゴルフに大事な動きが詰まっている
「ではまず、ウォーミングアップから始めましょう」
新畑さんの真似をしながら進めるのですが、私のやり方がちょっと違うよう。
「腕を肩の高さに上げサムアップして回します。あ、肩が上がらないように。胸の中心からグーっと外に腕を伸ばしながら回しましょう」
いや~ウォーミングアップだけで、結構息が上がります。なかでも一番大事なのがボクシングの「アッパーカット」の動き。「マック3」においてはろっ骨がスウィングの“エンジン”だそうで、そのパワーを引き出すのためのウォーミングアップが盛りだくさんです。
体が温まったところで1回目のヘッドスピードを計測。5球打ってその平均を出します。
99マイル(44.26m/s)が4球、100マイル(44.70m/s)が1球で平均99.2(44.35m/s)マイル。計測だったのでちょっと頑張っちゃいました。
頑張ってしまったがゆえに、このあとヘッドスピードが伸びるのか心配ではありますが、いよいよトレーニング開始です。
意識はとにかくフォローサイド!
専用のトレーニングツールを使って進めるのですが、使用するのは主に3つ。
❶ジェットスティック
シャフトの先にゴルフボールが鎖でつなぎ合わせてある器具。スピードの向上と音によるフィードバックが得られる。
❷スピードボンバー
重さのある紐を加工して棒状にしたもの。筋力強化やスウィングアークの拡大、クラブの通り道を適正にする効果がある。
❸ヴェロキラプター
長いロープの手元にグリップを装着したツール。体幹の強化や、エネルギーの伝達効率向上を促す。
この3つを組み合わせて進めるのですが、まず❶は、徐々にスピードが上がるように6回連続でスウィング。ひたすらフォロースルー側で「ビュン!」と音を鳴らすように振るのがポイント。ツール自体は軽いけど軽すぎない、絶妙な重量感で振りやすいです。6回というのがミソで、それ以上やると疲れてしまって効果が薄れてしまうようです。
「80、90、100%、さらに110、120%…と徐々に上げていく感じで!」(新畑さん)
バックスウィングやインパクトの意識はゼロ。とにかくフォローサイドでいかに短く大きな音を鳴らすかに集中。「“振る”ってこういうことか!」と再認識させられます。
そして❷。こちらはそこそこ重さがあるのですが、こちらも6回連続でハーフスウィングのトップの位置から全力でフィニッシュまで。ここでも意識するのはフォローで最大のスピードになることと、バックスウィングの時もスピーディに上げること。ちなみにインパクトの位置で先端の紐が地面に当たることはNGだとか。
「先端が地面に当たるということは、せっかくのエネルギーを捨ててしまっている証拠です。フォローサイドからエネルギーを引いて、またそちらに返すイメージで。エネルギーのベクトルを目標方向へ向けることが大切です」(新畑さん)
はい、わたくし見事にダフりましたので、エネルギーを捨てておりました……。
長いロープの❸。「ロープも複数種類があってやり方も様々ありますが、基本はフォロー側に向かってロープを飛ばしていきます」(新畑さん)
重いロープを飛ばすとなると、全身をフルに使って引いて投げ出すことが必要。フォローで手首を返すような動きをせず、両腕を真っすぐ伸ばしてフォローで極力遠くへロープを放るのがコツ。いやぁ、しんどい! ゴルフってスポーツなんだなぁと痛感。
「これをやると下半身と上半身の連動が“勝手に”できます。ここでもロープがバシッと地面に当たる音がする人は、エネルギーを捨てていることになるので注意です」(新畑さん)
正直ここまでヘッドスピードが上がるとは……
1回目の計測の後、❶と❷をこなして計測すると、おぉ!102マイル(45.60m/s)まで伸びました。
気をよくしたところで❶と❸のトレーニングへ。しかしこれが結構きつくて、疲れてしまったかも……。そんななか、3回目の計測へ。すると、なんと最速105マイル(46.94m/s)を記録! 最初の計測からすると3m/s近くアップです。
「不思議じゃないですか? 突然筋力がつくわけでもなく、打ち方を変えたわけでもない。ツールによってエネルギーの出力方向が“自然に”変わっただけで、短時間でスピードアップするんです」(新畑さん)
トレーニング自体がゴルフスウィングの動きのなかで行われるので、自然に必要な筋力と適切な動作が身につく。結果として上達の“時間短縮”につながる。アメリカでは20もの大学ゴルフ部でも取り入れられているのですが、その理由は“時短性”に加え、振り方云々ではないのでコーチたちのメソッドとバッティングすることがないという点も大きなメリットとしてとらえられているようです。
わずか45分でヘッドスピードが伸びましたが、浮かれてばかりいられません。これはトレーニング。
「これを週1回、かつ1週間に2回の宿題をこなす。つまり“週3回”のトレーニングが最も結果が出るという分析結果が出ています」(新畑さん)
今回のヘッドスピードアップは、繰り返すことで本当に自分のものになるということですね。継続は力なり。でも、ヘッドスピードを上げるための大事な“キモ”に触れることはできました。目に見えて数字が伸びていくって本当に楽しい。50代からでもまだまだ飛距離は伸ばせることを実感しました!
「マック3」を体験してみたい方に耳より情報!
「サーフゴルファーズ碑文谷」に連絡し、「みんなのゴルフダイジェストを見た」と言うと、通常1万8000円の体験コースを9900円で受けられます! 期間は2024年1月31日まで。お問い合わせは以下から。