「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけてきたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はテーラーメイドとキャロウェイの新作ドライバーについて予想してもらった。
画像: ローリー・マキロイが試合で使用していたテーラーメイドの「Qi10」(Photo/Getty Images)

ローリー・マキロイが試合で使用していたテーラーメイドの「Qi10」(Photo/Getty Images)

高慣性モーメント化が考えられる!?

みんゴル取材班(以下、み):年明け早々にはテーラーメイドとキャロウェイの2024年モデルが発表されると思います。テーラーメイドはすでに「Qi10」の写真が出回っていますが、両社の新作ドライバーがどんな設計になるのか予想してください。

宮城:テーラーメイドがカーボンフェースを続けたのは予想外でした。チタンフェースに戻すと思っていました。

み:「ステルス」を出したときにテーラーメイドはこれから作るモデルはすべてカーボンフェースになると断言していましたが。

宮城:何事もなかったかのように元に戻すのが得意なメーカーという印象もありますからね。カーボンフェースとチタンフェースのバリエーションがあると面白いと思いますがどうでしょう。逆にキャロウェイはカーボンフェースで作るのでは。これはぼくの期待混じりですけれど。

み:いよいよフルカーボンですか。キャロウェイは昔の「C4」で実績がありますからね。

宮城:フルカーボンの可能性もなくはないですが、ウェイトをつけるとなると金属のパーツで受けなくてはならないのでフレームはチタンのままで残ると思います。ただ「ステルス」と「ステルス2」がカーボンフェースだから、とくに優れているという点はなかったように思います。キャロウェイもよほどアピールするポイントを打ち出せないならカーボンフェースには行かないでしょう。

み:性能的にはどんな方向に進化しそうですか。

宮城:一つの方向性としては高慣性モーメント化が考えられます。もちろんルールがあるのでそんなには大きくできませんが。これまでは重心を浅くしたり深くしたり、どちらかといえば飛距離性能が重視されてきて、芯に当たれば飛ぶけれど外せばとんでもないミスも出ていました。今後はもっとウェイトをトウとヒールに配分して、寛容性が上がる方向に持っていくのではないかと思います。慣性モーメントが大きくなれば振りづらくはなります。

トップでオープンフェースだと開いたまま下りてこようとするからです。ただ最近は使う側もシャットフェースで上げるスウィングが身についてきました。クラブの進化にスウィングが追い付いてきたので高慣性モーメントのドライバーが受け容れられやすくなっています。「Qi10」もローリー・マキロイが使ったのならそんなに振りにくくはないのでしょう。

み:アマにとっては歓迎すべき方向性ですね。

宮城:ロフトも寝かせてきたら、もっといいのですが。最近の外ブラはリアルロフトがほぼ表示通り。昔と比べたらけっこう立っているけれど球をつかまえたければカチャカチャで寝かせればいいという考えです。でもロフトを寝かせるとフェースが左を向いてしまいます。だったら最初から寝かせたほうがいい。これまで9度だったものを9.5度にするとか、10度にすれば間違いなくやさしくなります。

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