松山英樹の21年マスターズ優勝をサポートした目澤秀憲に、レッスン技術に造詣が深いライターDが、最新スウィング理論について話を聞いていく連載「みんなのスウィング3.0」。今回は「ドライバーで右を向くメリット」について考えた。
画像: 今年PGAツアーデビュー後、わずか13試合で初優勝を挙げた、スウェーデンのラドビッグ・アバーグ。上体がフルターンするスウィングにもかかわらず、下半身には余裕がある。右股関節の可動域の広さがなせるワザだが、右を向いて構えていることも無関係ではない(PHOTO/Getty Images)

今年PGAツアーデビュー後、わずか13試合で初優勝を挙げた、スウェーデンのラドビッグ・アバーグ。上体がフルターンするスウィングにもかかわらず、下半身には余裕がある。右股関節の可動域の広さがなせるワザだが、右を向いて構えていることも無関係ではない(PHOTO/Getty Images)

右を向いて構えると右サイドのスペースが広くなって、回転がスムーズになる?

D 前回、アッパーブローに打ちたいドライバーに関しては、目標にスクエアに立つのではなく、右を向いて構えなくてはいけないという話でした。最下点を過ぎてアッパー軌道にあるヘッドというのは、同時にアウト・イン軌道でもあるので、それを考慮して右を向くほうがいいと。

目澤 今までは、アマチュアは右を向いて構えやすいから、とにかくアドレスをスクエアにしよう、そうすればボールも真っすぐ飛ぶというのが”普通のレッスン”だったので、逆に「右を向いていい」と言われても戸惑う人が多いと思います。プロでも「右を向いて」と言うと、最初は「えっ!?」という反応がほとんどですから。

D そういった場合、計測したデータを見せて、最下点とパス(クラブ軌道)の関係を説明すると、最終的には「ああ、なるほど」となるんですか?

目澤 プロはなりますが、アマチュアの方はなかなか……。今まで散々、「右を向くのはダメだ」と言われてきているので、右を向くことへの抵抗感というか、拒否反応が強い人が多いですね。

D ドライバーで右を向くことのメリットは、打ち出し方向をセンターより右にできる(何の作為もなく最下点より先でボールをとらえた場合、フェースの向きによって真っすぐ左に出るか、あるいは真っすぐ出てもスライスになる)こと以外に、何がありますか。

目澤 とくにアマチュアの場合はテークバック側が回転しやすくなることで、自分でカットに振ってしまうのを防げるというのがメリットになります。スライサーというのは普通、曲がりを見越した分、左を向いて構えがちですが、そうすると実は右サイドが窮屈になって、ますますカット軌道が強くなるという悪循環に陥りやすいんですよ。

D 右に回転できないから、手が外に上がる?

目澤 そうなんです。右への回転が苦手な人は、スウィングスタートと同時に右肩が挙上して、縦軌道が強くなります。トップでも回転が不十分なので、切り返しで手が前に出やすいんですね。そういう人でも、右を向いて構えると右サイドのスペースが広くなって、スムーズに回転できるケースが多いのです。

D 右の回転がうまくできない人に共通する特徴はありますか。

目澤 右股関節の内旋(右足全体を内側に回す動き)が不得意な人ですね。そういう人の場合は、つま先を少し開くことで回転しやすくなったりします。

D アドレスを右に向ける際に注意することはありますか。

目澤 ボール位置をそのままにして、自分だけ右を向くということですね。それで最下点が手前にずれますので、ゆるやかなアッパーの入射角で打つことができます。カット軌道のスライサーは、最下点が本来の位置より先になるので、ドライバーでも入射角が上から(ダウンブロー)になっていることも少なくないですから。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年12月26日号「みんなのスウィング3.0 Vol9」より

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