タイガー、松山英樹が長く愛用し、世界中のゴルファーから憧れられるパターブランドの魅力を追いかけるシリーズ。第9回は、「樹脂インサートを使わないキャメロンの思い」と「夫婦の思い出に残るガレージパター」

なぜ、キャメロンには樹脂インサートがないのか

画像: タイガーが「Tel3」のあとに使い始め、現在まで長く使い続けている「ニューポート2 GSS」。「Tel3」とこの「ニューポート2」は、決して手放せないのだとタイガーは言う。

タイガーが「Tel3」のあとに使い始め、現在まで長く使い続けている「ニューポート2 GSS」。「Tel3」とこの「ニューポート2」は、決して手放せないのだとタイガーは言う。

   

スコッティキャメロンには樹脂インサートが使用されたパターがない。それはなぜか?   

「キャメロン氏は、気候、使用年数、保管状態などで変質してしまう素材(樹脂など)はなるべく使いたくないと考えています。

タイガー・ウッズがただ1本のニューポート2 GSSを使い続けているように、プレーヤーが望むなら生涯その1本と添い遂げられる。

そういうパターを理想としているのです」(ギアライター・高梨祥明)

   

しかし樹脂に比べて金属は硬い。それでは、打音や打感が硬くなってしまいそうだが……。

「音と打感については、バックフェースやフランジの厚み、ミーリングの深さによって、金属でも十分に調節できる(軟らかくできる)と、キャメロン氏は考えているのです」(高梨)

プレーヤーによって、心地よく感じる打音は千差万別。だからこそ、パターデザイナーは優れた調律師でなければならない。その微調整を、キャメロン氏は金属で行うのである。

画像: スコッティキャメロン「ニューポート Tel3」。10種類以上の金属を配合させ、ソフトフィールを実現したトレリウムインサートが採用されている。

スコッティキャメロン「ニューポート Tel3」。10種類以上の金属を配合させ、ソフトフィールを実現したトレリウムインサートが採用されている。

画像: (左)GSS(ジャーマン・ステンレス・スチール)インサート。「レッドX」「スタジオスタイル」「ツアーパター」の一部などに採用されている。(右)303ソフトステンレスインサート。2017年に発売されたセレクトシリーズには、このインサートが採用された。

(左)GSS(ジャーマン・ステンレス・スチール)インサート。「レッドX」「スタジオスタイル」「ツアーパター」の一部などに採用されている。(右)303ソフトステンレスインサート。2017年に発売されたセレクトシリーズには、このインサートが採用された。

銀婚式を祝うガレージパター

写真のパターは、『スコッティキャメロン ミュージアム&ギャラリー』(※)のメンバーであるオーナーが、銀婚式の記念に、奥様とペアで作ってもらったガレージパターである。

画像: スコッティキャメロン「G&G(ガレージ アンド グラフィティ)」。ハイバフ仕上げのヘッドに、グラフィティの文字と、ブルーの刻印が映える。

スコッティキャメロン「G&G(ガレージ アンド グラフィティ)」。ハイバフ仕上げのヘッドに、グラフィティの文字と、ブルーの刻印が映える。

ガレージパターというのは、キャメロン氏がそのときどきの気分で気まぐれに作るオリジナルパターのこと。基本的に、同じものは作られないため、モデル名のないものも多い。

さて、写真のパターだが、全体的にクラシカルな雰囲気を漂わせる美しい逸品である。ハイバフ仕上げのヘッドに、25周年を祝うスコッティ・ブルーの刻印。フランジには、『グラフィティ』と呼ばれる、溶接でデザインされた文字で、オーナーと奥様の名前が施されている。さらに、フェースには「MADE WITH LOVE(=愛を込めて作りました)」という粋なメッセージが。

画像: (左)記念のパターにふさわしい「MADE WITH LOVE」の刻印。(右)こちらは60歳の誕生日記念に作ったというパターカバー。

(左)記念のパターにふさわしい「MADE WITH LOVE」の刻印。(右)こちらは60歳の誕生日記念に作ったというパターカバー。

スコッティキャメロンの世界的な需要によって、現在はこのような特注品は作られていない。それだけに、オーナー夫妻にとっては思い出に残るパターと言えそうだ。

(※)スコッティキャメロンの公式ファンクラブ。現在は定員に達しているため、メンバーは募集していない。

PHOTO/Takanori Miki THANKS/スコッティキャメロン ゴルフギャラリージャパン

※週刊ゴルフダイジェスト2023年12月19日号、12月26日号「キャメロンマニア宣言」より

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