なぜ、キャメロンには樹脂インサートがないのか
スコッティキャメロンには樹脂インサートが使用されたパターがない。それはなぜか?
「キャメロン氏は、気候、使用年数、保管状態などで変質してしまう素材(樹脂など)はなるべく使いたくないと考えています。
タイガー・ウッズがただ1本のニューポート2 GSSを使い続けているように、プレーヤーが望むなら生涯その1本と添い遂げられる。
そういうパターを理想としているのです」(ギアライター・高梨祥明)
しかし樹脂に比べて金属は硬い。それでは、打音や打感が硬くなってしまいそうだが……。
「音と打感については、バックフェースやフランジの厚み、ミーリングの深さによって、金属でも十分に調節できる(軟らかくできる)と、キャメロン氏は考えているのです」(高梨)
プレーヤーによって、心地よく感じる打音は千差万別。だからこそ、パターデザイナーは優れた調律師でなければならない。その微調整を、キャメロン氏は金属で行うのである。
銀婚式を祝うガレージパター
写真のパターは、『スコッティキャメロン ミュージアム&ギャラリー』(※)のメンバーであるオーナーが、銀婚式の記念に、奥様とペアで作ってもらったガレージパターである。
ガレージパターというのは、キャメロン氏がそのときどきの気分で気まぐれに作るオリジナルパターのこと。基本的に、同じものは作られないため、モデル名のないものも多い。
さて、写真のパターだが、全体的にクラシカルな雰囲気を漂わせる美しい逸品である。ハイバフ仕上げのヘッドに、25周年を祝うスコッティ・ブルーの刻印。フランジには、『グラフィティ』と呼ばれる、溶接でデザインされた文字で、オーナーと奥様の名前が施されている。さらに、フェースには「MADE WITH LOVE(=愛を込めて作りました)」という粋なメッセージが。
スコッティキャメロンの世界的な需要によって、現在はこのような特注品は作られていない。それだけに、オーナー夫妻にとっては思い出に残るパターと言えそうだ。
(※)スコッティキャメロンの公式ファンクラブ。現在は定員に達しているため、メンバーは募集していない。
PHOTO/Takanori Miki THANKS/スコッティキャメロン ゴルフギャラリージャパン
※週刊ゴルフダイジェスト2023年12月19日号、12月26日号「キャメロンマニア宣言」より