記録ずくめの新生
今年6月にプロ転向したばかりのルーキー、ラドビッグ・アバーグを知っているだろうか? スウェーデン出身の24歳は今年、記録ずくめのルーキーイヤーを送った。大学4年で出場した、1月のDPワールドツアー(欧州ツアー)ドバイデザートクラシック前は世界ランク3073位だったアバーグ。しかし卒業前からPGAツアーやDPワールドツアーに出場し好成績を残し続け、6月にプロ転向。それから3カ月後のオメガ欧州マスターズで早くもDPワールドツアー初優勝を飾る。この時点で世界ランクは2桁の90位。さらに11月のRSMクラシックでPGAツアー初勝利を挙げると、1年足らずで世界ランク32位にまで上り詰めてしまった。この勝利で来年のマスターズ出場も確定したほか、デビューイヤーにPGAツアーと欧州ツアーの両方で優勝を果たした唯一の選手となった。
◎ラドビッグ・アバーグの主な記録
【史上2人目】2年連続「ベン・ホーガンアワード」受賞
米国の最優秀学生ゴルファーに授けられるベン・ホーガンアワードを2年連続受賞。2年連続での受賞は2015、2016年のジョン・ラームに続く史上2人目。
【史上初】PGAツアー・ユニバーシティ1位からPGAツアー参戦
学生ゴルファーを対象にしたランキング「PGAツアー・ユニバーシティ」。1位には2023年からPGAツアー出場権が与えられ、アバーグはその第1号として11試合に出場。
【史上最少タイ】PGAツアー72ホール最少スコア「253」
フェデックスカップ・フォール最終戦、RSMクラシックでは「67」「64」「61」「61」で優勝。「253」は17年ソニーオープンでジャスティン・トーマスが記録したスコアに並ぶ記録。
2023年 海外ツアーで生まれた主な記録
ここからは23年に海外ツアーで生まれた驚異的な記録を確認していこう。
【史上最多】 アダム・ロングが69ホール連続フェアウェイキープ
11月のバターフィールド・バミューダ選手権初日の15番まで、69ホール連続してフェアウェイキープ。それまでは1992年にブライアン・クラーが樹立した59ホールが最多だった。とはいえ、22-23シーズンのフェアウェイキープ率は67.28%で14位。前年の約64%からわずかに上昇したのみだった。
【史上最多】デビッド・ハウエルが723試合に出場
1995年にプロデビューし、欧州ツアーを主戦場に活躍する48歳のハウエル。11月のPGAオーストラリア選手権に出場したことで、通算出場試合数は全ツアーを含めた史上最多の723試合まで伸ばした。しかし、今年の出場14試合で予選通過は一度のみという厳しい1年となった。
【史上最年長】63歳6カ月のフレッド・カプルスがマスターズの予選通過
92年大会のチャンピオンであるカプルスが、大会最年長となる63歳6カ月で予選通過。なお、これまでの記録は20年大会のベルンハルト・ランガーで63歳2カ月。ただし、20年のランガーの最終順位は29位タイだったのに対し、カプルスは50位タイ。順位では当時のランガーに軍配が上がった。
【史上最高】スコッティ・シェフラーの年間獲得賞金が約2100万ドル
今季出場23試合で優勝2回、トップ10が17試合と世界ランク1位の実力をまざまざと見せつけたシェフラー。年間獲得賞金額は日本円にして約30億円。LIVゴルフに対抗し過去最高の賞金額になったことも影響したが、そのLIVの年間王者テーラー・グーチは約54億円を獲得。
【史上最多】全米女子オープンエントリー人数
世界中で行われた地区予選も含めたエントリー数が過去最多となる2107人を記録。いかに同大会がグローバルな大会かがわかる。その分、競争も激化しているが、最終日最終組で日本の畑岡奈紗を破り頂点に立ったのはツアー未勝利のアリセン・コプースだった。
【史上最多】米国女子ツアー12人が初優勝
史上最多の初優勝者が誕生した2023年の米国女子ツアー。そのなかには今や世界ランキングのトップ2に立つリリア・ブとイン・ルオニンも含まれている。そのほかにもTOTOジャパンクラシックで来日したローズ・ジャンなど新世代の強者が続々と頭角を現し始めている。(写真はアリセン・コープス)
PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos、Yasuhiro JJ Tanabe、Getty Images
※週刊ゴルフダイジェスト2024年1月2日号「2023 ツアーマニア総決算」より一部抜粋