ゴルフ界の“コスメ番長”あるいは“おしゃれ番長”と呼ばれる吉田優利はプレーヤーとしてもデビューから常に好成績を残し続けている。23年は「ワールドレディスサロンパスカップ」で国内メジャー初優勝。米女子ツアーの最終予選会・Qスクールでは7位タイで来季の出場権で獲得。実績面でも、人気面でもさらなるステップアップを果たした1年だった。
5月に行われたサロンパスカップは厳しいコースセッティングに強風と雨が加わり、例年以上の我慢比べとなった。優勝スコアは1オーバー。苦しい戦いを制した吉田は涙ではなく、とびっきりの笑顔で1年8カ月ぶりの通算3勝目となる初のメジャー制覇を喜んだ。ファッションやメイクと同様に笑顔にはこだわりがあるようで、昨オフにはインスタグラムで歯のメンテナンスを行ったことをファンに報告。「笑った顔がいいねと言ってもらえるようにモチベ上げていきたいですっ!」という言葉が添えられていた。
高校3年で「日本ジュニア」を制した際、優勝インタビューにメイクポーチを持って現れた際には集まった報道陣を驚かせた。今思えば、表彰式で記念撮影をする前にメイクを直しておきたかったのだろうと納得できる。当時はもちろんプロではなかったが、自身が目指すプロゴルファーが人に見られる職業だということを強く意識していた。カメラマンたちがとらえた試合中の吉田の姿がコースで映えるのも、その意識を今も持ち続けているからこそだろう。
ファッションへのこだわりも強く「トレンドもあるので、できれば、シーズンごとに洋服を全部買い替えたい」と話していた。年間表彰式に当たる「JLPGAアワード2023」には自らデザインしたというマーメイドをイメージしたドレスで登場。JLPGAが公開している舞台裏の動画を見ると、周囲の選手たちも吉田のドレスには興味津々だったようで、女子ゴルフ界のファッションリーダー的な存在になっている。
スタッツを見ると、2年連続でリカバリー率1位とショートゲームの巧みさが目立つ。また、ドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率を総合したトータルドライビングも22年6位、23年7位でツアー屈指のドライバー巧者でもある。その他の部門も軒並み上位で、スタッツからは弱点らしい弱点が見当たらない。バランスの良さが吉田の強味と言っていいだろう。
自身のインスタグラムでは他の選手との食事会やプロ野球やアイスホッケーなど、他のスポーツを観戦に行った様子を多数投稿。練習するときには集中して取り組み、プライベートな時間は思い切り楽しむ、オンオフの切り替えがしっかりしているの吉田らしさを感じさせる。
来季からは米女子ツアーが主戦場となる。常に準備を怠らない吉田だけに、同じ辻村明志コーチに師事する同門の上田桃子ら、経験者からさまざまな話を聞き、出来る限り態勢を整えて臨むはず。プライベートでは新たな環境を楽しみつつ、コース上ではしっかり力を発揮してくれそうだ。