ツアー4勝で大ブレークした19歳
インタビューの始めに、彼女がゴルフを始めたきっかけから聞いた。
「ゴルフ好きの父がいて、練習場に連れていかれたのをきっかけにゴルフを始めました。残っている映像を見ると意外にちゃんとボールに当たっていました。当時の記憶はないですが、楽しかったんだと思います。地元の練習場にはスクールがあったので小学3年生くらいまで通って、その後は園田(謙介)さんという長崎の男子プロに教えてもらっていました」
では、どのようにゴルフにハマり、プロを目指すようになったのか。
「初めて試合に出たのは小学1年生の頃。スコアはハーフで70いくつで、多分ビリだったと思います。でも6年生のときに九州小学生ゴルフで勝って。その頃、地元長崎のパサージュ琴海アイランドゴルフクラブで日本女子プロゴルフ選手権があったんです。そこでイ・ボミさんを初めて見て、本当に可愛くて。しかもキラキラしていてめっちゃ上手い。そういう世界に憧れを持って、プロを目指そうって思うようになりました。
また中学1年から高校3年まで九州ゴルフ連盟の強化選手だったのは大きいかも。ナショナルチームの子たちがいて、トレーニングの方法とか、コースメモの書き方とか教えてもらったし、マネジメントもそう。今めっちゃ活きています」
九州でゴルフといえば沖学園が有名だが、出身は長崎日大高校。その理由は?
「高校を選んだのは、県内で唯一ゴルフ部があったからです。強くはなくて、お兄ちゃんの代から廃部の危機だったんですけど、だんだん部として成り立っていきました。練習は2時間弱くらいしかなかったんですけど、日曜日は近くにあるパサージュで1日練習させてもらっていたし、環境は良かったですね。高3で全国優勝したときは、地元の新聞に載りました! とはいえ、今とは違って街で声を掛けられたりということはなかったけど」
全国優勝ということは、プロの試合も良く出ていたの?
「アマチュア時代は『保険の窓口レディース』に1回だけ出ました。ステップは『九州みらい建設グループレディース』と『フンドーキンレディース』。緊張というか、先輩の邪魔をしちゃいけないっていう思いが強くて、楽しいとは思いませんでした。
男子の試合は石川遼さんの試合に行ったことがあります。ドライバーの音だったり、弾道の高さだったり、ギャラリーの多さだったりを見て、すごいなって思って憧れました」
実家がパワースポット
史上3人目の”10代4勝”を本人はどう思っているのか。
「とにかく練習しました。ツアー中の月曜もオフなしで、ずっと休みなしで戦っていました。練習の成果だと思うけど、本当にわたし下手なんです、下手だったんです。特に開幕戦のときはやばくて。ステップ5勝でレギュラーに来たけど、周りの人がみんな上手くてめっちゃ落ち込みました。
ツアー中はずっと長崎に帰りたいと思っていました。気持ちが落ちたり、後半は体も疲れてくるし、そういう時は一回地元に帰るんです。帰った後の試合で優勝したりもしました。家はわたしのパワースポットですね。
思い出に残っているのは初メジャーの全英女子。全英女子は通用しなさすぎて『あ~あ』って、悲しかったです。やっぱり球なんです。スウィングの再現性もそう。全英は多くの選手が低くて強い球でした。風が強いのもありますけど、やばかったです。上手すぎです。マジで球がすごかった。
楽しかったのは優勝争いですね。競い合っている状況が好きなんです。でもスコアボードは見ません。自分が崖っぷちの状況でやっている、追い込まれている感がワクワクします。それで優勝できたときの達成感がたまらないので」
インタビュー後半になって饒舌になってきた櫻井の23年シーズンを終えて見えた課題や、24年シーズンの展望など、インタビュー全編は1月23日号の「週刊ゴルフダイジェスト」かMYゴルフダイジェストで掲載中!
PHPTO/Osamu Hoshikawa、Hiroyuki Okazawa、Tsukasa Kobayashi