どんな状況でもゆったりしたスウィングリズムを守り続けポーカーフェースで着々とバーディを重ねたカーク。トップからスタートした最終日もノーボギーの8アンダー64にまとめ通算29アンダーで2位のサヒス・ティーガラに1打差をつけ先頭でゴールを駆け抜けた。
圧巻だったのは終盤の17番パー4。残り209ヤードの第2打をピンそば80センチにピタリと寄せ楽々バーディを奪い1打リードすると18番を無難にパーに収め、昨年のザ・ホンダ・クラシック以来およそ1年ぶりのツアー通算6勝目をゲットした。
「現実じゃないみたいだ。まったく予想外。充実したオフシーズンを過ごせたし、気分良く新しいシーズンをスタートさせることができたけれど、まさか29アンダーをマークできるとは思ってもいなかった」と感無量のベテラン。
「他の選手のスコアはコントロールできない。ただひたすら自分のプレーに集中するだけ。アグレッシブなゴルフができたのが良かった」
マスターズがおこなわれるオーガスタのお膝元、ジョージア州アトランタに生まれジョージア大学を卒業後、07年にプロ入り。11年のバイキング・クラシックで初優勝を挙げると15年までに4勝を挙げるなど順調にキャリアを積み重ねた。しかし19年の誕生日(5月)直前、アルコール依存症と鬱病の発症を公表。1年近くツアーから離れリハビリに専念した。
現在は「アルコールは一滴も飲んでいない」といい、家族の協力でメンタル面も改善。昨年のザ・ホンダ・クラシックで8年ぶりに復活優勝を挙げPGAツアーから勇敢なプレーヤーに贈られる「Courage Award」を受賞した。
勢いのある若手が続々登場するツアーで不屈の闘志を持つベテランの活躍に勇気をもらったファンも多かったことだろう。
ちなみにシグネチャーイベントは今年8試合開催されるがいずれも優勝賞金は5億円。2位のティーガラには216万ドル(約3億円)、今回ブービーメーカー(58人中57位)に終わった松山英樹も5万500ドル(700万円強)を獲得した。