新ボールはタイガーの要望を具現化
ゴルフボールには「飛んで、止まる」という性能が求められるのは周知の事実。ロングゲームでは「高初速×低スピン」、ショートゲームでは「低初速×高スピン」という「スピード&スピンコントロールテクノロジー」の考え方をベースにボールを造るブリヂストン。2月9日に発売する2024年モデルには、このテクノロジーだけでなく、さらに多くの契約プロから求められたロングゲームでの「風に強い弾道」とショートゲームでの「ディープ感」を追加したという。
ちなみに、この「ディープ感」を提唱したのはタイガー・ウッズ。タイガー曰く「22年モデルの『乗り感』に『軟らかな打音』をミックス」したのがディープ感とのこと。発表会で流されたタイガーが新製品を紹介について語る映像には、「私がゴルフをはじめたときには2つのボールがありました。糸巻きバラタボールと、サーリンカバー2ピースです。私はバラタを好んで使いましたが、その理由が『ディープ感』でした。サーリンは『クリッキー(※)』だったんです。このディープ感がいいイメージを生むのです」と語っており、また「今回のモデルはドライバーショットのボール初速は1m/s速くなり、アプローチでは200~300rpmのスピン量が増えました。ディープ感が素晴らしいのはもちろん、スピンをかけにくいライからでもしっかりスピンが掛かるのがいいですね」と話していた。
※クリッキーとは、マウスをクリックする際に出る「カチッ」という音から“カチカチ”という意
これを受けて、「タイガーのいう『ディープ感』はブリヂストンが独自に開発した“NEW リアクティブiQ・ウレタンカバー”が生み出しました。このカバー開発の難点は“衝撃吸収性”と“軟らかい打音”というのが相反するということです。また、“耐久性”と“生産のしやすさ”の点でも高いレベルが求められたのも開発を難しくしました」と商品説明をした技術担当執行役員の古山大樹氏だ。また「インナーカバーの剛性と比重を高めることで高初速を生み出し、風に強い伸びのある弾道を可能にしたのは、こちらも新開発した“NEW ハイスピード・インナーカバー”のおかげです。このカバーは、インナーカバーの比重が重いのでボール全体の慣性モーメントを高めることができ、パッティングでのもうひと転がりが期待できるのです」と説明。24年のゴルフ業界では“慣性モーメント”がキーワードになっているが、ボールにもその波が来ている。
原英莉花も桑木志帆も軟らかくなった『ツアーB X』の打感に惚れた
発表会の終盤には、ブリヂストンとボール契約を結ぶ、宮里聖志、宮里優作、堀川未来夢、清水大成、原英莉花、桑木志帆、馬場咲希という7人のプロが登壇し、新ボールについて各々の感覚で説明。
『ツアーB X』を使用する原は「球が高すぎることが悩みで、『ツアーB X』に替えたのですが、球が高いときに使っていたのが軟らかい打感のボールだったんです。だから、打感が軟らかくなるとスピン量が増えて、球が高くなるイメージがありました。新しいボールは打感が軟らかくなったので、『大丈夫かな』って思ったんですが、低スピンの強い球が打てるので気に入っています。私の感覚は“三感”が満たされるボールです。打感が“手”、打音が“耳”、ボールの飛び感が“目”なんですが、どれも私のイメージどおりなんです」とべた褒めする。
また、桑木志帆は「昨年まで『XS』を使用していたのですが、新しいボールは『X』を使用予定です。新しい『X』は芯の硬さはありながらも、フェースへの食いつき感があり、それでいてスピン量が抑えられるので、スウィングではなくボールで悩みが解決しました! アプローチの感覚も22年モデルの『XS』同様にいい感じです」と高評価だ。
1932年にゴルフボールの研究開発を開始し、35年に国産第一号のゴルフボールを発売したブリヂストンスポーツ。ボール開発のフロントランナーといっても過言ではない同社とタイガーをはじめとしたプロが納得したボール、一度使用してみてはいかがだろうか。