異例の快挙? 廣野GCが建設業界から「土木賞」表彰。その理由とは?
画像: 19年改修工事が終了後2カ月後の11月に撮影した廣野ゴルフ倶楽部(撮影/横山博昭)

19年改修工事が終了後2カ月後の11月に撮影した廣野ゴルフ倶楽部(撮影/横山博昭)

全英オープン開催コースも手掛けるマーティン・イーバートが改修

(一社)日本建設業連合会は昨年末「日建連表彰2023年」を開催し、㈱竹中土木によって19年1~9月に廣野GCで実施された改修工事が土木賞(特別賞)を受賞したと発表した。

同賞は優良なプロジェクトや構造物を紹介することで土木技術の進歩発展を図ることを目的としており今回で4度目の開催。

なぜ同GCが選ばれたのか、その理由とは? 

受賞作品の表題は「名門ゴルフ場を90年前の美しい原形へ復元する─英国人設計者とともに歩んだ9か月─」。

同GCは1932年開場、設計はチャールズ・H・アリソン。自然の地形を生かした設計は開場以来、常に日本最高位を堅持し、39年には「世界トップ100」の7位に(ナショナルゴルフレビュー誌より)。

戦時中、軍の接収によって原形が損なわれ、後に改修工事を行うも復元には遠かった。そして同GCは現代のプレースタイルに対応しつつも、"90年前の復元"へと舵を切った。

そこで起用した設計家が、アリソンを敬愛し全英オープン開催コース改修を手掛けてきたマーティン・イーバート。

幸いアリソンの設計図が同GCに保存されていたが、設計図は平面上のもの。それを正確に復元していくために現地に毎月1週間逗留し、外国人シェイパーやグリーンキーパー、果てはドローン技術者までチーム化して取り組んだ。

施工するバンカーやグリーンがどの程度設計者の意向に沿っているかを把握し、レーザースキャナーによる3D測量まで実施している。

数値化できない造形美を回帰させた工事はまさに芸術品であり、土木の世界に新風を吹き込んだことから、同賞に値すると認められたのだ。受賞の感想を同GC支配人の高塚勝久氏は、

「当クラブから告知など特に行っていませんが、公に認められるようなコース改修を関係者一丸となって成し得たのはとても名誉なことだと思います」

名門の復活、ぜひこの目で見てみたい。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年2月13日号「バック9」より

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