ホルモン治療でドライバーの飛距離が30ヤード落ちた
その女性とは30歳のヘイリー・デビッドソン。フロリダを拠点とするNXXT女子プロツアーで1月に行われた「NXXT女子クラシック」を制した。
米ゴルフウィーク誌によると、デビッドソンはウィルミントン大学やクリストファー・ニューポート大学の男子チームで活動。男性として出場した最後のトーナメントは15年全米オープン地方予選だった。
そして同年9月24日にホルモン治療を開始。21年1月には6時間に及ぶ性別適合手術を受けた。
治療開始以降、ヘッドスピードが時速9マイル(約4m/s)低下し、ドライバーの飛距離も30ヤードほど落ちたという。
NXXTツアーは昨年10月から今年3月まで13試合が組まれている。
今シーズンから米女子ツアーの下部ツアーであるエプソンツアーとパートナーシップを結び、ポイントランク上位5名には同ツアー2試合に出場する権利が与えられる(平均出場者が40人を超えた場合)。
デビッドソンはNXXTツアーの開幕から5試合に出場。今回の優勝でランキング1位に立った。
このままいけばエプソンツアー2試合の出場権を得ることになる。
米女子ツアーは10年に「出生時に女性であること」という要件を撤廃。デビッドソンは21年にトランス女性としてはボビー・ランカスターに続く2人目となる同ツアーのQスクールを受験したが、1次予選で124位に敗れている。
折しもスポーツ界では、昨年あたりからトランス女性のアスリート問題が表面化。
「生物学的に女性より有利だ」という意見もあり、同年3月には世界陸連が、トランス女性の国際大会での女子カテゴリー出場を禁止した。
デビッドソンがエプソンツアー出場権を得て、2試合で上位に入れば次戦以降の出場資格を獲得できるが、最終的に賞金ランキングでトップ10 に入れば来季女子ツアーの切符を手に入れることになる。長い道のりだが、この先が気になる。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年2月13日号「バック9」より