「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけてきたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は2028年から導入される新適合球、いわゆる”飛ばないボール”について宮城さんの考えを聞いた。
画像: 飛ばないボールについてクラブ設計家はどう考える?(写真はイメージ)

飛ばないボールについてクラブ設計家はどう考える?(写真はイメージ)

プロの試合は観るのが面白くなる!?

みんゴル取材班(以下、み):2028年からプロやアマチュアの競技ゴルファー、2030年からはふつうのアマチュアも新適合球を使わなくてはいけません。『みんなのゴルフダイジェスト』でも様々なゴルファーの意見を集めた記事を配信しましたが、飛ばないボールについて宮城さんはどう考えますか?

宮城:いちアマチュアゴルファーとしてはがっかりですが、これ以上コースを伸ばせないのでプロは仕方がないと思います。でも観る側にとってはかえって面白いかもしれません。

み:どういうことでしょう。

宮城:いまは飛ぶ選手が圧倒的に有利で、キャリーで280ヤード飛ばさないと勝負になりません。でも飛距離差が縮まることで、勝つ選手の顔ぶれが変わってくると思います。テクニックのある選手が出てくるようになれば、観戦の楽しみが増えます。ぼくは、かねがねゴルフでも競馬のウエイトみたいにハンディをつけてもいいと思っています。飛距離によってティーをチョイスするとか。

み:3ツアーズ方式ですね。あの試合は男子、女子、シニアがけっこういい勝負をするので観ていて面白いです。

宮城:ついでにいうと初速だけでなく、アプローチスピンを制限してもいいくらいです。ラフに入れたらボギーを覚悟しなければならない。そうすればゴルフのゲーム性が取り戻せます。

み:飛ばした者勝ちみたいな風潮はさらに抑えられそうですね。ところで飛ばないボールに切り替わったらクラブ開発の方向性も変わってきますか? たとえば1990年にボールの規格がラージボールに統一されたときには何か変化はありましたか。

宮城:当時はチタンヘッドが出たばかりで、残念ながら対応する技術がありませんでした。鋳造技術が向上して薄肉大型ヘッドを作れるようになったのは1995年のグレートビッグバーサからです。

み:ボール初速に制限をかけるという意味では2008年に施行されたSLEルールも同じです。当時のルール適合ドライバーは一斉に高打ち出し・低スピンにシフトしてきましたが、飛ばないボール導入によってさらにスピンが減りますか。

宮城:スピンを減らすのはもう限界でしょう。すでに減りすぎて、飛ばない問題が出てきていますから。ボールがどう変わるかによりますが、やわらかくなるのであればフェースをもっと薄くできます。クラブのほうでどう対応するかはボールありきなので、ボールメーカーが有利なのは間違いありません。もしかしたらAIを使った裏ワザみたいなアイデアも出てくるかもしれません。

み:心情的に200ヤードは死守したいです。ヘッドスピードが速いと飛ばなくなるけれど、遅い人は現状維持か、もしくはよけいに飛ぶボールを作ってほしい。

宮城:ウッドの飛距離がダウンしても、アイアンは飛ぶようになることはあり得ます。UTよりアイアンが飛ぶようになれば、いまや絶滅危惧種のロングアイアンが復活するかもしれません。

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